名作といってもいいくらいの出来の良さであり満足のいく作品であった。続編ということらしいが前作をやっていない私であっても物語にすんなり入っていけるつくりであり不満に思うことはなく単体でも満足のいく物語であった。出来るならばもっと人目に触れて欲しい作品ではある。
とりあえずクリアして最初にしたことは、前作「果てしなく青い、この空の下で…。完全版」の注文であった。
このような伝奇物は数多くあれどそうそう満足いく練られた作りの作品は少ないが、その点においてこのアトリは非常にレベルが高い作品であった。
やはりどんな作品においてもプレイヤーを飽きさせないということは非常に大切。
私が感心したのはこの点でしょう。
立花においても三葉においても砌においても朝においてもそれぞれが物語において重要な力を持った人物でありルートにおいてはその力を中心にして話は進んでいく。
全体的に見るとやってることはどのルートでも堂島、上蔵の来訪から村の不和、本家の滅亡、山神の降臨、時神の降臨そして撃退という流れはほぼ同じであるが、どのヒロインを選んだかで視点が変わり、例えば立花では話だけで関わらなかった事象が朝では当事者になっていたり、ヒロインの動き一つで人が犠牲にならない流れになっていたり、2周、3周と物語を再度なぞっているにもかかわらず少し角度をかえただけで「ああ、このような事だったのか」と、新しい発見があり、そしてさらに深くこの物語を楽しめてしまう作りであったのはライターの力量に素直に感服するとともにとても満足のいく話であったようにも思う。
フラグ回収という言葉があるが、ここまで丁寧に守っている作品もそうそう無いのではないだろうか?
まとめルートである、月乃、文乃ルートにおいてもそれまでに疑問に思った行動の回答になっておりすっきりできる作品である。
とまぁ、アプローチが少し違うだけでここまで違う話に膨らんでいく展開は非常に面白いといわざるを得ないのではないでしょうか?
もしどのルートも全く同じでほぼスキップしたというのであれば読んでないんだなと言うことだと思いますよ。
ああ、でも終盤を同じにしてしまったことにおいて、そのような感想も理解できるし、なんにせよ盛り上がりに欠けてしまう展開であったのは残念であった。もう少し何とかならなかったのだろうか・・・アプローチを変えてきたことがなかったことになり面白さが欠けてしまったのもまた事実。
どうでもいいことかもしれないがCGごとに輩人の顔が全然違うのはどうにかしてほしいものである・・・いや、文乃も月乃もそうであったが絵が安定してないのでは?
このような独特のタッチは好きであるがさすがに顔の統一くらいはしっかりやって欲しいですね。いい作品であるだけにこんなことで評価下げてしまうのはちょっと残念。
とまぁ、いい作品であることは間違いないが不満もそこそこありますね。
あくまで等身大なホラーかと思いきや山神、海神、時神といった存在がはびこり陳腐に言うなら妖怪大戦争みたいな流れに行く前に止めることが出来たのはあくまでそういった人外のものを形にせず文字だけで表現させたからではないだろうか?物語が安っぽくなるかならないかの岐路だったように思う。ホラーと銘打ってあるがホラー要素なんて無いんだからね!!
さて、予断だが文乃ルートを終えたのならわかると思うが、このシリーズは終わりを迎えていないように思うのだけどどうなのでしょうね?