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futami-fさんのAliveZの長文感想

ユーザー
futami-f
ゲーム
AliveZ
ブランド
ALICESOFT
得点
42
参照数
2072

一言コメント

アリスソフトだからと手を出すと痛い目を見る作品。絵柄、配役はすばらしいのに良さをすべて打ち消したひどいシナリオでした。クリアしてこの物語はいったい何がしたかったのか?と疑問に思った作品ははじめて。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

最初に耐えられなかったのは、回想描写の多さ。

物語において、今のこの事柄が起こってるのは過去にこういうことがあったと説明するのはとても重要なことであると思います。しかしこの作品は回想にさらに回想を重ね一体どこに重点をおいて物語を読めばいいのかわからなくなってしまった。

主軸は当然現在であるはずなのに話に広がりを持たせるためかは知りませんがこの手法はプレイヤーの読む気をそいでることになってるのを知ったほうがいいかと。ここまで回想を小出しに出されると不快感持つってことをはじめて知りました。
つまりは軸がぶれてることによって話が切れているということです。
回想の主体がころころ変わってることもありましたね、え?今誰の話?と考えなきゃならないことも物語の質を貶めていました。

そもそも物語の約半分は回想として説明するなら、まとめて過去編なり独立で話をつくれば良かっただけの話。今回は大失敗といわざるを得ませんね。

最後までプレイしても結局何がしたいのか?ということがよくわからなかった。
柚希ENDなんて本当にポカーンとしてしまった。

次に、本当の主人公は誰?
公式見ても、物語序盤でも主人公は骸であるのはわかるとおもいます。しかし物語が進むにつれ本当の意味での主人公は芙蓉では?と思う描写が目立ってしまった。そもそも主人公が居なくても芙蓉が決着つけれる設定にしたはミスだったのでは?結果的に話としては正の草薙を折ることが重要なのであって主人公は蚊帳の外の存在、もっと言うとただの賑やかしキャラに成り下がってたのが残念だった。

さらに黒が敵でありながらも、人間と普通に接することが出来る時点で悪になりきれず敵としての描写が曖昧すぎた。そもそも黒のKINGとして君臨している芙蓉が正常な思考をもち裏で行動しているようじゃ骸という主人公はただの道化でしかないでしょ・・・悪は悪のまま話を進行させるべきでしたね。これも大失敗。

芙蓉に1番近い人間であるのはずのスンヤの行動の意味不明さや言葉を失ったはずのリコリスが父である銑鉄に会うと急に普通にしゃべりだす唐突さ、なんで百音だけがいきなりグール?など不満点上げれば本当にキリが無いのでここまでで。

ベテラン声優を多数採用しとても力いれて発売したのでしょうが、正直地雷としか言いようがない作品でした。私自身もアリスソフトは好きな会社だけに失望も大きかったです。