短くとも美しい物語でした
ライアーソフトさんらしからぬ?王道展開の物語、発売前にも「なんだか嘘屋らしくないぞ」などと巷で言われていたこのゲーム。
プレイ後も感想は変わらず王道の”騎士と乙女”の物語でした。
√はジャンヌのみ(他のヒロインのHシーンはあります)、エンディングは5つほどあります。
一応処女しか無理って人は注意
あらすじは
ノルマンディー作戦に空挺部隊として参加した兵士ロランと親友のオリヴィエは降下に失敗し謎の異形世界<アンヌン>に落ちてしまう、親友とはぐれてしまったロランはそこで時計台に住む少女ジャンヌと出会い二人でオリヴィエを探す旅に出る。その道中黒いジャンヌやエドワルダなどの人物と出会うことで異形世界やジャンヌの秘密を知っていく。
という王道のボーイミーツガールもの。
異形世界では常人が通れば死んでしまう霧の森が存在しているので、旅をする方法は徒歩などではなく時計台を使った転移(ワープ)、少女と二人で常世ならざる方法を用いて旅をしていくのはどことなく同メーカーの「紫影のソナーニル」を彷彿とさせます。
ロランとジャンヌだけでなく時計台まで移動してくるのでまさに「時計台ののジャンヌ」という感じでした。ロランが来てから時が動き出すのも物語のはじまりにふさわしい演出でした。
時計台を使用した旅の道中は本編中で省略された話もたくさんありそうでそういう幕間の物語も今後出してくれたらな、と切に願っています。
メインヒロインのジャンヌは純朴で穢れを知らない乙女なのですが旅の道中で聖女としての力を開放し人々を救っていくのです。うっとうしい敵キャラ、嫌いな奴、プレイヤーのヘイトを溜めに溜めたやつまで救ってしまうので「おいおいジャンヌちゃんそんなやつまで救わなくても……」と思ってしまったり、それでも彼らを救ってしまうところが彼女が聖女たる所以なんでしょう。あの坊主救ったのはマジでアレだけどな。(聖女であることを捨てて乙女に戻るENDがあるんですけど正直それが一番のハッピーエンドだと思います。)
エドワルダや魔女ジャンヌもとても魅力的なキャラクターですが攻略対象ではありません。
魔女ジャンヌはジャンヌダルクの負の部分を体現したもので世界を呪ってるようなヒトですがロランとジャンヌには手を貸してくれたりするので憎めません(むしろ好き)、彼女とジャンヌは表裏一体のようなものなので聖女であるジャンヌを眩しく思えど嫌うことはできないんでしょう。
エドワルダは残酷な女騎士ですが正々堂々とした戦いを望んだり武人としての矜持を重んじている方なのでこれもまた嫌いになれない(むしろ好き)、とある理由からロランに執着してことあるたびに剣を交えるんですが「あいつは私の獲物だ」と言ってなんだかんだと手助けしてくれる、彼女のまっとうなルートも欲しかったです。
そのほかにも様々ないい意味でも悪い意味でも魅力的なキャラクターが物語を彩ってくれます!
王道のボーイミーツガールモノとして、騎士物語として楽しめました、主題歌のLa Pucelleも個人的にお気に入りです!
まだまだ展開できる余地もありそうなので今後にも期待したいです!
ここからはネタバレ注意の雑記
実は異形世界の住人たちは全員死んでいて罪や後悔に捕らわれてしまった人たち、その中で唯一命の輝きをもつロランは確かに眩しく、そして妬ましく感じてしまうのでしょう。
終盤オリヴィエが吐き出した
>「憎いに決まってるだろう!?
>この死者の世界にひとり、
>命を見せびらかせてやがるお前がよ!!」
彼自身のちに逆恨みだったとは言っていますがきっとこれも彼の偽らざる本心でなんでしょう。
どうして俺だけ死んであいつは……なんて思ってしまうのも仕方なくやるせない気持ちになってしまいました。
死んでしまった人たち、罪科に捕らわれてしまった者達だからこそ救いを求めてこのような世界に引き寄せられたのは悲しく、終わってしまった命のやるせなさを感じます。だからこそ魂の救済というジャンヌの救いは彼らにとって喉から手が出るほど求めていたものなのでしょう
あとテルールの軍勢に襲われたエドワルダの漏らした一言
>「馬鹿な……。
>一時代の戦でそれほどの死者が出るものか!」
という言葉にやはりWW2の戦死者の数は異常だったということに気づかされます。
登場人物の多くは中世ヨーロッパの戦争に参加した者達、彼らからすればたった一度戦争でこれだけ死者が出る言葉度思いもしなかったのでしょう。
正直なところ展開的には「やっぱりな」と思わせるようなバレバレの伏線張られてたりしたんですが面白さを損なうこともなく楽しめました。ガヌロンとかガヌロンとかガヌロンとか。
物語の結末としてはやはりロランとジャンヌが魔女ジャンヌたちの送り出されて現世に帰るのはハッピーエンドらしくて好きですが、ジャンヌが死んで闇堕ちするロラン君もそれはそれで魅力的ではありました。こっちのエンディングじゃないとロランと魔女ジャンヌの交わりは見れないしね!!!
ジャンヌの救いは罪に捕らわれ魂を浄化し神のもとに送り返すこと、死んでしまった人は救えないと多くの物語で語られてきましたが彼女のもたらす救済によって多くの人が安らかに眠ることができたと思うと、どことなく私も救われた気持ちになりました
でもあの生臭坊主は死ね