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fqd46qvvさんのまいてつの長文感想

ユーザー
fqd46qvv
ゲーム
まいてつ
ブランド
Lose
得点
85
参照数
1190

一言コメント

ウィッチズガーデンで可能性は感じてたけど。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

背景にキャラの立ち絵を乗せて表情差分を切り替えるだけだった、従来のADVから一歩前進した演出がされていました。クリア後の立ち絵鑑賞モードでは立ち絵の操作が可能になっていて、頭部、身体それぞれを左右にねじる、傾ける、目や口もわずかに開く、閉じるといった微妙な調整が楽しめます。

立ち絵のみならず、イベントCGも会話に合わせて細かく表情が変わって没入感を高めてくれますし、演出面に関しては現時点で頭一つ抜けている印象です。

一方のシナリオですが、鉄道関係の用語が多いものの、それぞれ細かくボイス付きの注釈が用意されているので理解できないものではありません。一度も蒸気機関車に興味を抱いた事の無い自分が、機会があれば見に行きたい、乗ってみたいと思うようになったくらいですから、十分に牽引力をもった内容だったんだろうと思います。

微妙な言い回しになってしまいましたが、プレイを終えて全体を振り返った時、やや物足りなさを感じたのも事実。その原因は主にグランドルートにありました。

大雑把に言うとこの作品、各ヒロインごとに違ったアプローチで鉄道の復権と、エアクラ工場誘致の撤回を目指す話です。

プレイヤーは各ルートでヒロインと一緒に必死でアイデアを捻り出す双鉄くんを見てきてその結果、最後の最後にグランドルートに辿り着いている訳です。

が、グランドルートに入ると関係者全員を巻き込んだ話し合いの場が持たれ、各ルートのアイデアがその場でポンポン飛び出し、最善の未来を見据えるリレートレイン、ナインスターズ計画が始動。俺達の鉄道はこれからだ!といった展開でエンディング。ずっと終着駅に辿りつけなかった、失ってしまった家族が笑顔で旅立っていくラストは美しいものではありましたが、うーん。その辺大体ハチロクルートで一回乗り越えちゃってたしなぁ。

ぶっちゃけjこの作品にハーレム的展開なんて求めてなかったんで、双鉄くんの目の前で結ばれる淑女協定(抜け駆けして双鉄くんに告白したり露骨なアプローチをかけたりしない等)には苦笑いしか浮かばず。

最後の最後でエロゲーという枠組みのせいで不自然な辻褄合わせになっちゃったかな、という感じがしました。ヒロインより鉄道の事書きたかったんちゃうの?

後は、えーとポーレットルートのマイントレジャー計画。炭鉱をアトラクション的に演出するのは良いんですが、その後の川下りといい、雨の日に出来る事何も無いような。安全性という面から見てもちょっと厳しすぎるプランかな、と。大臣視察の日が雨だったらどうしてたんだろう。

とまぁ、演出面は素晴らしく、足を引っ張らないだけのシナリオもあって、最後の締めがちょっと惜しい。そういう作品でした。
なんだかんだで次回作にも期待しています。間違いなく予約して買うでしょう。それだけの価値はある作品だと思います。