システム面は決して手放しで褒められるものではないが、それを補って余りある完結作に相応しいストーリー
システム面はかゆいところに手が届いてない部分が多い。
例を挙げると
・周回前提のシステムでありながらスキップ機能が微妙
・チュートリアルもスキップできない
・「戦闘のやり直し」があるのはいいが、戦闘前にセットした準備までリセットされる
・戦闘終了後のリザルト画面(アイテムドロップ判定画面)では「戦闘のやり直し」ができない
など
また細かい部分に追求すると
・戦闘で3R以内に敵を撃破すると経験値+50%、1R内で敵HPを100%から撃破すると更に+50%という補正がある。だがランダムで割り込みが入り敵にダメージが与えられる・そもそも1Rで一気に倒すには弱点をつかないと厳しいが弱点は毎ターンランダムでついたりつかなかったりする。当然狙うなら「戦闘のやり直し」を行う、といった具合に「やり直し」を誘発するだけのめんどくさい作りが多い
・周回では戦国ランスのような面白いボーナスを期待していたが、「初期★(≒レベル)強化」「経験値増加」「初期部隊ボーナス強化」「レベルアップマス強化」「宝箱からどんなキャラでも出るようになる」のみ。最後のものを除いて面白味にかける
・後半になった仲間の★の低さを補うために「食券」というアイテムがある。これを使うと大幅に経験値が入るため、一躍レギュラーまで伸びる・・・のだが、汎用キャラ・モンスター・宝箱からどんなキャラでも出るようになる」で仲間になるストーリー上は仲間にならないキャラなどには使えない。また食券が使えるキャラはランダムで選ばれた中から選択なので狙ったキャラに使いたい場合はS&Lが必要
などなど
戦闘バランスは優秀だし(ボス戦が毒特化になりがちだが)、普通のゲームにありがちな「レギュラー落ちするキャラが増えても戦力に影響しない」といったことがないのは非常によかったが、それでもアラは少なくない。
だが、それらの欠点を差し引いてもストーリー面で最高に満足させてくれた。
ランス10はランスと魔人たちが戦う第一部、そしていくつかの条件を満たすと可能になる第二部がある。
第一部はある意味で予定調和だった。
プレイ前からユーザーが予想していたとおり、人類圏に攻め込んできた魔人を撃退し、最後は総大将であるケイブリスを倒す。そこにたどり着くまでに何度かBADエンドを繰り返して周回ボーナスを得る必要はあるものの(1周目でも一部のエンディングは可能だが)、おおよそ予定通りであった。
無論、第一部でも熱い展開やケイブリスの過去語りなどいいシーンはあるが、この世界の神ルドラサウムを後に控えていることを考えればあくまで「途中」でしかない。
そして第二部。第一部のAエンド(正史)から15年の年表が語られてから始まるランスの子どもたちの物語。
正直なところ、第二部自体がよかったかというとそうでもない。
いくらランスの子供とはいえ、突然出てきた新キャラたちがメイン。これまでのキャラクターもある程度は脇を固めるものの、一部と絵柄をガラッと変えてきた事も含め、ランスの同人ゲーをやっている気分になる。
また、(じっくりやられてもそれはそれで困るが)全体的に駆け足で進んでいくストーリー、第一部の最強クラスのキャラが軽く置いてきぼりになるほどの第二部主人公勢の成長などは、過去キャラが好きなほどやるせない気持ちになる。
だが、そういった欠点全てを差し引いても、ラスボス戦とエンディング。この2つが秀逸すぎた。
これまで設定としてしか語られてこなかった歴代魔王、せいぜいイベントCGがあれば上等だと思われていたその全てと戦うという予想を超える熱いラスボス戦。
戦闘にケリがつく直前に入るランスの
「おい、お前ら見てるか?」
「俺様の活躍、ちゃんと見ているか?」
のセリフ。
エンディングで流れる100歳まで好き勝手冒険して生きたランス、からの
「シィル、そばに・・・おれ、よー・・・」
「はい、ずっといます」
で大往生する2人。
満足そうなランスの表情と合わせて、これ以上なくすべてを見届けた気分にさせてくれた。
人が苦しむ姿を見て喜ぶ悪神ルドラサウムのオチについては、どうやら賛否両論らしいが、個人的には大満足だった。
・ルドラサウムは倒せない(世界を維持している神なので、倒せば世界が滅びる)
・ルドラサウムをなんとかしないと神に弄ばれる運命から逃れられない
・ルドラサウムを眠らせる(≒封印)する結末は鬼畜王で既に描いている
これらの条件に応える素晴らしいアンサーだったと思う。
ランス世界はルドラサウムが暇をつぶすために作られた世界で、これまで数千年間、絶対に勝てない魔王・魔人に人間が苦しめられる様をみて楽しんできていた。
それに対し傍観者ではなく自分自身がプレイヤーとなることの楽しさを教えることで改心させる。
いわば、無理ゲーを作って人に押し付け苦しむ姿を楽しんでいた神が、適度な難易度と展開で自分でプレイする面白さを知った。
一時的な封印ではなく恒久的(とまでは言えないかも知れないが)な解決方法を出したと言っていいだろう。
強いてその結末に苦言を呈するなら
・クルックーにスタッフの愛が向きすぎ(便利キャラだったとは思うが)
・クルックーが時の輪から外れて神のためのゲームマスターになるのは、自身が否定した「世界を消滅させて永遠に孤独の中で生きる」アムと形は違えど同じなのでは?という気もする
といったところか。
システム面は直してほしいところが多いし、シナリオ面も気になる点がまったくないとは言えない。
だが、何度でも言うが、それら全てを覆すほどにラスボス戦・エンディングがひたすらに深い満足感を与えてくれた。
長い時間をかけて続いてきた話を、様々な伏線・布石を回収して綺麗に締めてくれたことへの感謝も含め、100点以外つけられない傑作だった。
これでランスシリーズが続かないのは残念だが、今作で全てをやりきり、全て描ききったのだからそれも仕方ない。
ありがとうランスシリーズ。本当に本当に楽しかった。
戦国から入ったあと1から(01に非ず)プレイしていて良かったと本当に思える作品だった。
いつか04が出たらまたプレイするだろうが、これで一旦は終了ということで、締めたいと思う。
またいつかランスの外伝でも再会したいものだなぁ・・・。
あ、エロはクッソ薄いので期待しないように。