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folcsさんのリトルバスターズ! PERFECT EDITIONの長文感想

ユーザー
folcs
ゲーム
リトルバスターズ! PERFECT EDITION
ブランド
Key
得点
65
参照数
108

一言コメント

雑記

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

シナリオ 28/50
キャラクター 15/20
グラフィック 6/10
音楽 9/10
システム 3/5
個人的補正 4/5
合計65

#▼登場人物
◎直枝 理樹:主人公。
・ナルコレプシーを患っている。
・気弱で突っ込み気質。

◎棗 恭介:リトルバスターズのリーダー。
・恭介、理樹、鈴、真人、謙吾ら5人で幼少期からリトルバスターズのグループを結成
・興味を持ったことはそつなくこなす。

◎井ノ原 真人:筋肉馬鹿な幼馴染。
・理樹と同クラスで寮のルームメイト。
・馬鹿だが筋肉に関する知識は無駄がない。

◎宮沢 謙吾:クールな幼馴染。
・落ち着いた性格だが、たまにボケる。
・理樹と同クラスで剣道部所属。
・真人とは喧嘩友達。

◎棗 鈴:人見知りな幼馴染。
・幼少期を男子たちと過ごしたからか男勝りな性格。
・臆病で他人と話すのが苦手。

#Refrain(鈴)
最後のループ世界。初期リトルバスターズのメンバー結成から今に至るまでに想いが描かれている。今までの流れを汲み取ってきたかと言われたら、そうでもないかもしれないがそれでも一つの物語の決着としては大団円を迎えていたと思う。

◎神北 小毬:理樹のクラスメイト。
・ほんわかした性格。お菓子好き。
・絵本を制作したりしてる。

#小毬√
 幼いころにあった悲しい出来事を幻想として忘れていく。その時の周りの大人たちの行動が重要だと思った。子供が思うことなんてのは想像に難いが、優しい嘘はその人を時には蝕ませることもある。そもそも、フラッシュバックからの展開が正直微妙。
他ヒロインに世界によるどんな制約があるのかは知らないが、リトルバスターズのメンバーが登場しないのは可笑しい。いかに理樹への成長のため、理樹一人で解決させようとはいえ、首を捻らざろうえない。←これも恭介の意思だろう。鈴√の恭介の無理強いもあるため。

◎三枝 葉留佳:他クラス所属の整備委員。
・トラブルメーカーで数々の校則違反をしている。

#葉留佳√
 犠牲にして成り立つ日常。知っている者と知らない者、そんな環境に追いやった家系の連中の頭は古い慣わしとプライドにしかしがみつく事が出来ない哀れでもある。
だが、姉妹の両親はそこから変わろうと行動した。結果的に大きな傷と誤解を残すこととなったがな。古くから続く家ってのは新しい観念に目は向かないものなのか。ある意味悲しいこととも言える。だが、それで守れるものはあったのかもしれない。葉留佳と佳奈多以外の出番が少ないがこれも理樹への試練だからなのか?理樹と鈴以外は知ってるもんな。佳菜多は良くわからんが。

◎能美 クドリャフカ:帰国子女なクラスメイト。
・ロシア人のクォーター。引っ込み思案な性格。
・日本文化に影響された祖父により、クド自身も日本にかぶれている。
・英語は逆に苦手。

#クドリャフカ
 自分のコンプレックスはチャームポイントかウィークポイントか。というよりも話が2転3転するので何となく評価が難しい。
愛する人とはたとえ距離が離れてもずっと身近に居るってことかな。そうして二人はもう一度出会う…。
しかし情勢と言うものはほんとよく変わるものだ。これが創られた世界だと認知する要素かもしれない。

◎来ヶ谷 唯湖:姉御肌なクラスメイト。
・大胆不敵な性格で可愛い女子が好き。
・数学に関しては全国模試でトップクラスに近い成績。
・運動神経は真人や謙吾程ではないが高い。

#唯湖√
 不器用なままで続いていくことが、それとも知らないでいるままが幸せなのか。
夢うつつ極まれりってところかね?創られた世界でまた空間が創りだせてもそれは幸せを伴わないのは悲しいのかもしれない。
希望の芽生えも可能性止まりだし。

◎西園 美魚:物静かなクラスメイト。
・非常に落ち着いた性格で読書好き。
・所謂腐女子でよく妄想する。
・運動神経はからっきし。
▽科学部部長曰く、NYP(なんだかよくわからないパワー)を持っている。

◎西園 美鳥:美魚のもう一つの人格。
・美魚と比べ、明るく小悪魔的な性格。

#美魚√
 自分という存在がどれだけ他の人にとって認識されていて、必要とされているか。普段影が薄い、「カゲナシ」と言われる美魚は他の人からの認識を外れて美鳥に成り代われてしまうも理樹だけが強く美魚を想い続けていた。又、美魚の残していた詩から美魚を見つけ出すというカタルシスは素晴らしいと思った。

◎二木 佳奈多
・風紀委員長。剣道部副主将。
・葉瑠佳とは姉妹。

#佳奈多√
葉留佳√でのお家事情を佳奈多観点で描かれたが、やはりこちらでも重い。葉留佳の方では現在から、模索していくのに対し、佳奈多の方は、過去の在り方から描かれて対比しているところは良かった。ただ、意外と三枝家とはあっけなく片が着いたの少々物足りなかった(正確には決着してないけど)。

◎笹瀬川 佐々美
・ソフト部のエース。棗鈴を一方的にライバル視している。
・過去謙吾に大事なものを拾って渡されたことから、彼に強い憧れを抱く。
 →後に、それは理樹と謙吾が共同で拾ったもの。とりわけ理樹の功績が高いと判明。

#佐々美√
終わったはずの創られた世界が歪な形でまた綴られることに。世の中ペットとして幼少の頃に何かしら飼っていた人は強い共感があるストーリーではないだろうか。リトバスの世界の秘密をある種活かした形だし。ただ、佐々美と理樹との関係の構築は見てい
て難しいだろうとは感じた。後、リトバス面子と佐々美の絡みが少なかったのは残念。

◎朱鷺戸 沙耶:学園に潜入しているどこかの組織のスパイ。
▼夜な夜な校舎で闇の執行部と戦い、学園に眠る秘宝を求めている。
▼本名は「あや」であり、朱鷺戸沙耶はあやの愛読書、「学園革命スクレボ」の登場人物である。幼少時に土砂崩れに巻き込まれ、生死の境を彷徨う中、沙耶に自身を虚構世界の登場人物として当てはめた。故に恭介たちが作り上げた、世界の枠組みからはイレギュラーな存在である。

#沙耶√
後の麻枝氏の作品「Angel Beat!」を彷彿させる、だーまえワールド炸裂の作品である。無印の追加部分の大半が沙耶のためといっても過言でもない手の入れようである。
イレギュラーな存在として恭介等が創り上げた虚構世界に踏み入れたあやはある作品の登場人物に扮して虚構極まれりな青春を駆け抜ける。優しさに包まれた世界(何度も残酷な死は迎えるが…)と沙耶自身も言っているとおり、現実世界での過酷な日々よりもこの世界に甘んじて理樹と出会えたのはある種奇跡と呼べるだろうもう虚構世界、ループ前提を取り入れた構成であり、作り込みは素晴らしいと言える。ただ元々のリトバスのテーマを考えると沿ってないくらい異端なエピソード。
しかし、最後の方の解釈は難しそうだ。あやは本当に現実世界に戻れたのか、夢のままなのかとか。オフィシャルブックでも麻枝氏は明言を避けてるのでこれ以上は仕方ないだろう。

◎時風 瞬:学園の秘宝を守る闇の執行部の部長。
▼戦闘能力は恐ろしく高い。
▼正体は虚構世界のマスターである恭介。元々は彼の愛読書である学園革命スクレボの登場人物である「朱鷺戸沙耶」が自身の一時的な欲求で具現化されたと思い込み、地下迷路等を創って、漫画の通り、沙耶を遊ばせようとすれば、いずれ欲求を満たし消えるだろうと踏んでいた。実態は外部から迷い込んできたあやだったので、排除を試みた。

#総評
作りこみに関しては流石keyと感じた。ただ、個々のシナリオは色々と安定はしていないようにも思えた。テーマが何かと問われると定まった印象がRefrainぐらいなんでは?