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folcsさんのまじからっと☆れいでぃあんとの長文感想

ユーザー
folcs
ゲーム
まじからっと☆れいでぃあんと
ブランド
Parasol
得点
39
参照数
229

一言コメント

雑記

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

シナリオ 18/50
キャラクター 8/20
グラフィック 6/10
音楽 5/10
システム 2/5
個人的補正 0/5
合計39

・リシェル√
過去のことから、そして友人であるエルトリンデに対する対抗心やプライドから、ヘルムスを手に入れることに強く固執し、さらにそのヘルムスである奈乃と上手く心を通わせていき、魔法をうまく扱えるようになっていく過程で広秋と恋人同士になっていくという、王道的な歩み。リシェルは過去に妹に怪我させてしまった出来事と現代で魔法の行使による失敗による奈乃にしてしまった仕打ちから魔法を拒絶的になってしまうが、広秋と共に過去に自分が起こしてしまったこととその思い出と向き合うことで、さらに広秋の魔力を基に魔法の練習をしていくことで、リシェルは自身を取り戻していくが、自身のヘルムスでなく、広秋の微々たる魔力で魔法の練習をしていた結果、リシェル自身の魔力が失われていき、マスターであるリシェルからの魔力が奈乃の核に対して供給できなくなってしまい、奈乃が消滅する自体が起こってしまう。そのため、広秋とエルトリンデはリシェルのために時間を戻す時の魔法を行使し、もう一度リシェルと菜乃の関係をやり直そうとする。リシェル√の前半の流れを簡潔には纏められるのではあるが、作中ではやたら回りくどい描写が多いので非常に長く感じた。ワンパターンな部分も多いし。恋人になってからのリシェルがちょっと依存気味だったけど、まぁこれは今まで甘えられる相手が居なかったせいかもしれないが。ただそのせいで、精神面はあまり成長しなかったのが勿体ないかもしれない。時間を戻してからの世界がなんだか理想郷というか、思った通りの世界というか、リシェルがあっけなく菜乃と心を通わせて魔法は使えるわ、妹と悶着あった出来事はどうしたやら、リシェルが風の魔法をあっさり使えたりとか、色々突っ込み所はあるが、無難な収まり方ではあるのかもしれない。というよりも禁呪を使って時間を戻したことは魔法協会とかいうところにも知られているはずなのに何故だか一か月以上も放置してるやらで、スケールばかり大きいことやってのけてるのに、のほほんとした雰囲気なのは如何なものか?
宗治とは何だったのか?主人公の友人ポジに居る割には全くと言っていいほど出番はないし、むしろモブのクラスメートの方がよっぽど存在感あるし、さらには東(あずま)なるモブの存在が一番主人公の友人ポジとして相応しいのはどういうことなんだ?宗治はビジュアルもあるというのに…。
吹雪の暴君ぷりはちょっと度が過ぎていると思う。校長とかも吹雪の決定に従っている節もあるし、どんだけやねん。
エルトリンデ√にて、広秋が持つ能力は中和能力らしいけどそれ自体は魔力をかき消されずに使えるのか?そもそも魔力持った相手も発動するんだからリシェルの魔力がかき消されるのでは?自発的に広秋⇒リシェルの構図なら問題ないってこと?

・エルトリンデ√
エルトリンデの真の目的が明かされる、物語の根幹と言ってもいい話。アリスティアが不完全なヘルメスであるために余命幾許もなかった、故に在原の地に流れる地脈を利用してアリスティアを儀式によって人間にすることがエルトリンデの切実な願いであった。このことはエルトリンデが過ごしてきた過去と照らし合わせれば、両親を失ったときの気持ちを味わいたくないというものに直結しているため、尤もなんだろうと思う。
展開的には、泳げるようになることより当初の目的を強調させた方が良かったんじゃないかと思う。余命なんてさらっと出てきたけどそんなに猶予があったのかよと…。他√での結末が気になる…。
ところで魔力過剰の状態に陥った時のエルトリンデとアリスティアと二人の治療のために行った性行為、エルトリンデはともかくヘルムスのアリスティアにも有効なのかよっ!と思ったり。
序盤あたりにエルトリンデが奈乃が生成された核生成(ストラップ)が秋奈から広秋にプレゼントされたことに驚きを感じていたのはなんだったんだ?
結局、在原市の神木に地脈が流れてる理由も偶然扱いだったし…。秋奈√では謎とか言ってた割には…。

・秋奈√
魔法使いの二人の話と比べると小粒だった印象。秋奈も魔法能力の素質やらが垣間見する話ではあるけど。まぁそれはいいとして、外からの思念を闇雲に自身に吸収するがために発作を起こすと原因が判るのだが、共通の時点で1-2回程度しか発作起きてないから正直?な感じだった。共通の時点で地脈の魔力を浴びたはずだと言うのに他√でもそんな描写は一切なかった。つまりは他ルートではもう症状そのもがなかったことになっていた。だからこの√だけ前面に出てこられても正直話の都合に合わせたとしか感じなかった。エロゲは基本物語が分岐するからかもしれんが。後、エルトリンデ√で判明した広秋の持つ中和能力の定義がやっぱり曖昧。受動的に発動するなら秋奈が魔力を使って思念を広秋に送るならそれをかき消すのでは?リシェル√では自発的に広秋からリシェルには干渉してたからエルトリンデの説明の理屈は通るけど…。でも性交は良くわからない、どっちからも干渉はしてるってことだろうが...。

・涼莉√
こちらもストーリー的には小粒。テーマ性は悪くは無いけど、一番魔法的な意味合いで印象が薄い。そもそも発端としてだからかもしれないが。涼莉自身がかつての内面性と向き合うことはいいけど、あっさりしすぎかなー。ギスギスな雰囲気がこの作風に似合わんかもしれないから、というよりもキャラ的に?

●総評
話の筋は良いと思う部分はある。でもキャラとか物語の構成的な部分で損してる部分が大半を占めている感じ。