インパクトと言う点ではアメグレの方が上だった気はするが、総合力は間違いなく本作が上。
【シナリオ】
さいころを予約購入して以来、すっかり冬茜トム氏の作品をライター買いするようになったわけだが、
本作も期待を裏切ることのないとても上質な作品だった。
伏線をまき散らす序盤は少々退屈な側面もあったが、そこはもはやしょうがない。
蓮ルートのみ失速感があったものの、それ以外は全て楽しめた。
特にメリッサ√は、もう少し詰めればこの√内容だけでロープラ作品として出せるレベル。
怒涛の伏線回収も勿論健在。
ただあえて言うとするならば、前作のアメグレによる数字トリックによるが100点とすれば
例えば司の腕は80点の衝撃をぶつけられた感がある。ただし、それが複数あるわけだが。
とりあえず言えるとすれば、おそらく私の残念な頭だと1周では全て理解しきれていないということだ。
後日もう1周して余韻に浸りつつ、改めてこの世界観を見返していこうと思う。
【キャラ】
個人的なことを言わせてもらうと、前作のヒロインは強烈に残るキャラが居なかった。
今作は所長とメリッサがいる。これは勝ちだ。間違いない。
所長の司との相棒感が凄まじく、また√内のギャップも素晴らしい。
反面、蓮の蛇足感が目立ってしまった印象が強い。寝室では逆に印象が強いが……
また、さいころ以降冬茜トム氏の作品では必ず授乳手コキが存在するのをご存じだろうか。
今回もそれは健在である。素晴らしい。
【BGM、ボイス】
ボイスは一切文句なし。猫田みけさんの演技は特によかった。
BGMは前作と比べれば耳につく低クオリティのものはなかった記憶がある。
EDは各キャラのその後を見ながら適度に邪魔をしない塩梅。
そしてED後のBGMは余韻に浸るには十分な出来。
【絵全般】
前作のアメグレではどうしても好きになれなかった絵だが、本作はだいぶ良くなっている気がする。
ただ、洋服を着用しているキャラの不自然過ぎる胸部は気になってしまった。
また、寝間着は相変わらず薄すぎる。本作では所長くらいしか出てこなかったが、
その所長ももう少し普通のパジャマでも着させてあげればよかったのに。
気になるところもまだまだあるが、前作と比べれば特に立ち絵はだいぶ良かった。
恐らく目の大きさが少し小さくなった分だろうか。所長の立ち絵は特に良き。
【システム】
バックログジャンプがある、ボイスカットOff機能がある、最小化するとミュートになる。
これで十分評価はできる。現代のエロゲで、特に前者2つらできない作品はどうかしてる。
出来ることなら、ホイールや右クリックの設定が自由にできれば完璧だった。
作品自体にバグは存在しないはず。少なくとも普通にプレイしていて誤字等も思い浮かばなかった。
【総評】
一発のインパクトは前作に劣るものの、作品全体の総合力で名を遺す作品。
プレイ中に驚かされ、プレイが終わるとしばらく何もできずただタイトル画面を見つめる。
そんな素晴らしい作品に出会えたことに心から感謝をしたい。
ゆっくり休んでからで構いませんので、次回作をお待ちしています。