キャラはいい、エロもいい。シナリオの大筋は個人的には気に入っているが、フルプライスにも関わらず絶望的に短い。良作キャラゲーになれる要素がたくさんある分、とても惜しい作品。逆に、あっさりとしたキャラゲーを手軽にやりたい方には、手にとって貰う候補に入れてもらいたい作品。長文はネタバレ無し、のはず。
【シナリオ】
共通での静海と幽香の扱い、主人公のフリークスに対する態度の裏づけなど、
シナリオでヒロインに関する最低限の繋がりに関してはしっかりと触れており、
個別√にて曖昧化されていた部分を回収している。特に幽香√と九十九√。
こうして書くと普通に悪くないキャラゲーのシナリオである。
実際、シナリオに関してイライラする場面があったかと問われると、個人的にはなかったと断言できる。
だが今作において致命的に足りないのは、””それ以外””の描写である。
簡単に言ってしまえば、上記以外のことは一切触れていないに等しい。
キャラゲーといえば、ヒロイン達の恋愛模様もそうだが、その世界とヒロイン達によって紡がれる
なんてことのない日常、学園モノのイベントも楽しむ要素なのは言うまでもないだろう。
そういうった要素が、全くといっていいほどない。
例えば、文化祭。
多種多様なフリークスがいるという世界設定なら、お化け屋敷をやっていれば
間違いなく今作でしか出来ない描写ができたのではないだろうか。
例えば、体育祭。
それこそ町を巻き込んでのものにすれば、様々なフリークスが活躍する
賑やかな体育祭を展開することが出来ると考えるのは自然なことではないだろうか。
プレイ中にふと思いついたこの2点。
これが共通ルートに入っているだけでも、ヒロイン達や世界観の魅力をより伝えられたのではないだろうか。
そして、個別√。
上記の通り、ヒロインとの関係に関しては投げっぱなしな点は見当たらない。
ただ、こちらも圧倒的な描写不足である。
5回あるエロシーンの前に申し訳程度のイチャラブ→エロシーン。
後半でヒロインの問題、読み手が疑問に思っている点の核心に触れて、あっさり終わる。
これでは余韻も何もあったものではない。
あまりにも長ったらしい個別√も飽きてくるものだが、コレはあまりにも短すぎる。
エロシーンを全て飛ばしていたら各ルート1時間もかかることなく終わるのではないか。
そう思えるほどの内容の無さだ。
良作になる要素はたくさん転がっているのだが、それを生かせていない。
大筋は悪くは無いのだが、非常に残念だ。
【キャラ、ボイス】
ヒロイン勢の中では静海がお気に入り。
短いシナリオの中でも、おせっかいお姉ちゃんとして一番輝いていたのではないだろうか。
さすがセンターに陣取らせるだけあって、最も優遇されていたように思える。
逆に一番端っこにいる九十九は、共通√の数少ない日常でそこまで輝けなかったこともあり、
共通終了時に一番影が薄かったのではないだろうか。
その九十九√がある意味一番キャラゲーのシナリオとして優秀だったのは皮肉なものである。短いが。
ボイスに関しては、美月さんの躍動が素晴らしい。
静海の魅力を前面に押し出してくれていて、聴いていて楽しかった。
【絵全般】
初のエロゲ原画ということもあってか、少々不安定な部分も見受けられたものの、
全体で見るとわざわざ文句をつけるというほどではない。
ただ、なんで主人公はあそこまで細マッチョなんだろうか。そんな描写なかったのに。
ちなみに、主人公はおっぱいが大好きである。
エロシーンも、そちらのほうに重点を置いたものが多くなっている。
授乳手コキも2種あり、攻める側と攻められる側と分けられていたのはよく分かっている。
そういえば、OPムービーで歌が入る前に出てきた猫はなんだったのだろうか。
てっきりどこかで出てくるものかと思っていたのだが。
【BGM、システム】
BGM、OPは地味にクオリティが高い、サントラも同梱されているので是非どうぞ。
OPはギターリフがもう少ししっかりしていて、へなへなしたシンセのソロではなく
ピロピロしていたらなおよかったのだが……(あくまでメタラーとしての感想)
システムは最低限のものが揃っていたので基本は文句は無いが、
大した演出も無いにも拘らず、やけに重いように感じた。
プレイ中に他の作業をしようとするとすぐ固まる。
高スペックPCでプレイされていない方はストレスを感じるかもしれない。
【総評】
大筋は悪くなく、キャラゲーとして良作になる要素はあったのだが、
致命的な短さによってゲームの印象が薄れてしまう惜しい作品。
ただ決して悪い作品ではない上に、エロシーンが優秀なので、中古で安くなったら狙い目。