恋愛の重さというか、人生に占める比重の大きさというかそんなものにフォーカスを当てた話。○○を取るか、恋愛を取るかというレベルの恋愛を経験するのはまあごく一部なんでしょうが、創作物ならではのリアリティがあって、登場人物たちの葛藤や選択の結末などとても読みごたえがありました。あとどちらかというと主人公は攻略される側でした。
「鬱ゲー」POVが多いのである程度予想の上でプレイしましたが、実際その通りでした。全体的にトラジェディックな雰囲気がすごい。
何かを諦めて・捨てて恋愛を取るか、もしくは何かのために恋愛を捨てるかという択一で話が進行していくのですが、何かというのが例えば夢であったり友情であったり家族であったりするわけです。そんなものを天秤にかけてようやく恋愛とつり合いがとれるのです。恋愛がいかに重いものであるかというのが非常にうまく表現されていました。
まあ現実では両方とも得る、両方とも失くすというパターンも往々にしてあるはずですが、そこはやはりこの択一の葛藤というところが今作のミソだった気がします。
どちらしか得られないという性質上、終わり方もハッピーエンドとは程遠かったですね。
アイネは1つ、それ以外は2つずつEDが用意されていますが、どれもほかのゲーム基準でいうと良くてノーマルエンド、ほとんどがビターやバッドエンドに近い終わり方だった気がします。個人的には嫌いじゃありませんが。
赤い糸に関する設定も斬新で良かったかと思います。ゼロサムゲーム的でこちらも救いがないですが、世界観にはピッタリマッチしていたのではないでしょうか。
何もかも手に入るような都合のいいことは無いんだぞと言わんばかりの厳しさを感じるゲームですが、そのあたりも含めてなかなか面白かったです。