単品で見れば十分良作。ただし、1と比較するとやや落ちるか。旅の要素が減った分、鬼のようだった難易度は下がり、やりやすくなった。反面、自由度が減り旅の楽しみが落ちた印象。旅ゲーではなく、ギャルゲーと考えれば、水準以上の出来ではある。
……沖縄より北海道の方が行ってみたいなぁ……
で、済ませるのもなんなので、ちゃんとレビューします。
全体的な不満点は、旅の自由度が落ちたこと。
確かに実写の背景は相変わらずきれいなのだが、前半は行かれる場所が少ないし後半は『○○と一緒に行きたいけど、いないようだからまた今度』とか言われて、自分の行きたいところにいかれない! おまけに移動システムがちょっと変。移動ポイントを消費して移動するのだが、ヒロインの送り迎えにはポイントを消費しないので、同じ場所を回っても順番によっては1日で回れる場合と回りきれない場合に分かれてしまう(文字だと説明しにくいですね)。
もう一つの不満点は、『旅情』に欠ける点。前作は、たまたまキャンプ地で出会ったライダー仲間との交流とか、何でもない料理をキャンプ地で食べた時の美味しさといった
感動が活き活きと描かれていた。
今作はそういった部分が弱い。家(居候先のガイアス)がちゃんとあって、毎日そこに帰るので、キャンプ地の侘しさなどを感じるシーンが無い。ガイアスに集まった面々は大家族の雰囲気を伝えてくれる。
そして全てのシナリオで、家族は深く関わってくるテーマではある。母を探す真鶴、義理の父母の元に居場所を見つけられない暦、実の母の決めたレールに戸惑いを覚える海琴。
芹沢夫妻やオバァなど、なかなかの好人物揃いなのだがそれでも。仮住まいとは言え、轍に帰る「家」を持って欲しくはなかった。旅というよりも、ただの観光のような雰囲気になってしまったのは、家があったからだろう。
さて、ここまで不満を述べてきたが、ここからは各キャラクター毎の感想に移りたいと思う。
・海琴シナリオ
結論から言うと一番冴えなかった印象。だって海琴に萌えないんだもん(爆)。
むしろオバァが熱かった。さすがオバァ。俺もオバァみたいに生きたいものだ(年も性別も違うって)。
・真鶴シナリオ
沖縄版『ロストパッセージ』。こんな機会でも無い限り知ることも無かっただろう沖縄の歴史(三山時代とか)を、知ることが出来たのは嬉しかった。中盤ややダレるところはあるが、終盤の展開はなかなかに熱く楽しませてもらった。まるで少年漫画のような展開ではあったが、こういうのも楽しい。
・暦シナリオ
暦には萌えた。前作の樹ほどは萌えなかったが、それでも轍とのバカップルには頬が緩みっぱなし。轍のジレンマを描いたのも良かったし、光に暦、樹との関わりを持たせたことで、轍を囲む温かい環を感じられたのも良かった。サバイバル生活の薀蓄も良かったし、暦の成長も描けた。……のだが。
……ひょっとしたら俺のプレイスタイルが悪かったのかもしれない。
私事で恐縮だがなかなか時間がとれず、暦編の中盤から後半をプレイするまで2~3日空いてしまった。
そのせいか、中盤までの盛り上がりに比べ、終盤は盛り上がりに欠けたような気がする。物語的にも、中盤と終盤でテーマが変わってしまった気がするのだが、これもプレイ中断のせいだろうか?
中盤までは確か光・樹、そして暦。轍が旅先で出会ってきた人々との絆、轍のジレンマを描いていたと思う。それがいつの間にか暦の成長にテーマが変わってしまったような気がするのだ。そして、中盤の轍を描いたテーマの方に魅力を感じたため、後半は「あれっ?」となってしまったのだ。中盤はすごく良かった。終盤はまぁまぁ。逆だったらもっと高い評価を出していたと思う。
シナリオは良いしキャラも適度に萌えるしで、なかなか良質のギャルゲーだった。ただし、風雨来記1は『斬新』だった。他のギャルゲーとは比べられない独自の魅力にあふれていた。今作はどうだろうか? 出来のいいギャルゲーではあるが、単純な点数では図れない楽しさの点が、やや弱かったのではないか。
風雨来記シリーズほど、製作者が楽しそうに作っているゲームを私は他に知らない。
また、製作者が直接プレイヤーに語りかけているような、そんな距離の近さを感じるのも風雨来記の魅力である。こういった温かさをFOGにはずっと持っていて欲しいと思う。
風雨来記3、出るといいなぁ。