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feeさんのCLANNADの長文感想

ユーザー
fee
ゲーム
CLANNAD
ブランド
Key
得点
91
参照数
958

一言コメント

家族の温かさを主に描いた、大河ドラマ的作品。シナリオではことみシナリオが一番好きだったりします。杏が嫌いなので、杏ファンの方は長文感想は読まないでください。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

良い物語だったのだけれど、「泣き」に関しては力不足だったと思います。

最大の要因は、アフターストーリー。
渚の復活シーンが、あまりにもあっさりと描かれてしまっているのは非常にもったいなく、
また、ゲームとしてのバランスも悪いように思います。
このアフターストーリーは、

就職→結婚→出産→妻の死→子育て→子との死別
という一人の男性の歴史を描いた物語で、そこに早苗ー秋夫夫婦の歴史も重ねた
重厚な出来に仕上がっていると思います。

また、朋也とプレイヤーは、プレイ時間の長さもあって渚復活を見るために、
相当な苦労を強いられています。
だからこそ、渚の復活は単なるご都合主義の安っぽい奇跡ではなく、
たとえ論理的必然性がなくとも、努力の証と割り切って受け止めることが(私は)できました。

それなら、あそこで盛り上げてくれなきゃダメじゃないですか。
渚の復活で泣かせてくれたら、神ゲーになった可能性もあったのにもったいないです。


もっとも冷静に考えると、「渚や汐は病弱なままなのかどうか」もわかりませんし、
「渚が生き返るというなら、渚が死んだシナリオの先に汐が死ぬ必然性はあったのか?」という疑問も残ります。
渚が死んでも頑張る朋也の姿を描くなら、汐は死なずに、朋也と古河一家に囲まれて生きていく物語を描いたほうが良かったように思います。


他のシナリオでは、ことみシナリオが気に入りました。特に数ヶ国語が画面に飛びかうラストの演出力は、アフターストーリーよりも断然上で、非常にインパクトがありました。


キャラについて。

Keyのキャラは「繰り返しギャグ」向きの性格設定がされています。
それを好むかどうかは人それぞれですが、深みを出すのには不向きなやり方かなと思います。
春原などはとても愉快で好きなキャラですが、女性キャラとして好きなキャラはギャグ要員ではない、有紀寧くらいでした。

あまりキャラ叩きをするのはよくないのですが、敢えて杏は叩かせてください。
あまりに不快で、このゲームを2年も凍結するきっかけになったキャラなので。

何かと言うと人におごらせようとしたり、暴力を振るったり、バイクで轢いたり、
出席しているにも関わらず欠席扱いにしたりと、人格を疑う行為を繰り返した上、
全く謝ろうとしないこのキャラには心底うんざりしました。
杏シナリオは、わざわざ自分を慕ってくれる椋を振って、こんな杏とくっつかなきゃいけないので、本当につらかったです。
ちなみに椋は世間で嫌われているみたいですが、なんで嫌われているかもよくわかりません。
勝平という、これまた頭のねじがゆるいキャラにラブラブ光線を送っているからでしょうか。


システムについて


私は、アフターストーリーで完全に手詰まりになりました。
二度、渚シナリオをやり直したところ、ようやく早苗さんの塾のエピソードや
おっさんのバスのエピソードが出て、先に進めるようになりました。
原因は不明ですが、とっっても作業感がありました。
つくりとしては、とても不親切なように思います。


同様の不満を漏らしている人を見かけないのが、また謎です。
不良品でもつかまされたんでしょうか? それとも、パソコンとの相性とか??