前作テイストを多分に残した、「続編」。前作と比べると若干インパクトの弱さを感じたが、単体で見れば十分良作。ただ、前作と物語が関連しているので、前作未プレイの人がついていけるかは不明。
前作キャラが半分以上出てきて、前作の黒幕が今作でも黒幕。
SEの設定などが物語を深め、前作の焼き直しではなく、胸を張って「続編」と呼べる内容にはなっているが、果たして前作の知識なしで楽しめるのか。
前作未プレイの方の意見も聞きたいところです。
前作もそうでしたが、今作も既読率表示と2Dマップのおかげで、ただクリアするだけというゲームから脱却し、自分でイベントを探し、読み進めていく楽しみも味わうことができました。
また、先ほども書きましたが、SEの設定が現実界のミステリアスさを演出していて、とても良かったと思います。
幻想界も、序盤は少しダレますが中盤以降の展開はなかなか見るべき物がありました。
しかし一方で、「物語としては破綻無く、適度によくできている」けれども、心を動かされたのは佳奈シナリオのみでした。
これは、恋愛色の薄さも含めて、人と人の心のぶつかり合いみたいなものが少なかったせいだと思います。
せっかく、心と心を接続するという特殊能力を扱った物語なのですから、これはもったいないように感じました。
誰も望んでいないかもしれませんが、接続システムは現行の「一問一答式」ではなく、もっと「舌戦」みたいな激しいやりとりの中から、相手の心をいやしていくように、選択肢を選ぶようなシステムの方が、楽しかっただろうなと思いました。
後は、トリスメギストスと関係なく、学園生活をもっとエンジョイする描写があっても良かったかなと思います。
前作の七不思議探索イベントのように。
キャラクターも、サブキャラクターはとてもいい味を出していたのですが、ヒロイン勢は悪くはないものの、前作ヒロインほどのインパクトに欠けているように感じました。
私事ですが、前作をプレイしたのはまだギャルゲー初心者だった頃のことですので、インパクト・衝撃を受けやすかった可能性はありますが、今作で一番好きなヒロインである由香も、前作14ヒロインの中に混ぜると4位か5位になってしまいます。
前作を度外視して、単体で見れば問題のない良作なのですが、前作と比べるとやや落ちる感じはしました。
そして、前作を知らないで、今作を楽しめるのかな?という疑問も残りました。
ただ、発売前は前作から発売が10年も経っていることもあり、「地雷でも特攻してやる!」という覚悟でしたので、想像以上にきちんと前作テイストが残っていたことには
安心と、軽い驚きを覚えました。