新たな夏の名作。結局Keyに僕は帰ってきてしまう。麻枝さん、Keyは終わってません、健在でした。
大切な人との思い出を育み導く夏があった。
限られた時間を眩しく思い出に変える夏があった。
小さな冒険から始まり大きな絆を繋ぐ夏があった。
諦めないことで広がる可能性を知った夏があった。
ーーーそして、おかーさんと過ごすことができた、最後の夏休み。
すべてが楽しかった。
すべてが嬉しかった。
すべてが愛おしかった。
とにかくすべての完成度が高かった。
過去作の「CLANNAD」のAFTER STORY、「リトルバスターズ!」のRefrain。
これらほどの感動や衝撃はALKA・Pocketにはなかったかもしれない。
しかし、ヒロインの数を絞ることで、すべてのルートでワクワクしたし、純粋に楽しかった。
いつまでもこの世界観と言うより、雰囲気に浸っていたくなる。鳥白島で生活していたくなる。
とはいえ、グランドルートの羽未としろはには文字通り涙腺崩壊でした。
こんなに自然と涙がこぼれてきたゲームに出会えたのはいつ以来だろう。
エロゲにエロはいらないなどとよく言われるが、僕はそうは思っていない。
しかし、全年齢だからこそ描ける物語もある。恋愛だけがメインでありストーリーの軸ではない。
ただ心から夏休みをたのしむ。そこに主題をおいているように感じた。
最近、積みゲーを崩す、コンテンツを消費する。そんなことに囚われて忘れていた、
純粋にゲームを楽しむこと。そういう大切なことを思い出させてくれた制作陣に最大級の感謝を伝えたい。
初回版の特典の冊子が手元にあるなら、ぜひ原案とシナリオライターさんの部分を読んでほしい。
ーーー以下2周目プレイ後、個別ルートについて追記途中
・鴎ルート ~小さな冒険から始まり大きな絆を繋ぐ夏~
おそらく担当は新島夕氏。
「むごっほ」という特徴的な口癖が頻発したり、アホっぽいヒロインを輝かせる言い回しであったり。
新島節のようなものが多く感じられた。
新島氏の夏、といえば自分が100点の評価をつけている「ナツユメナギサ」である。
ー君がいた夏、君がいない夏、君といる夏ーといのがキャッチコピーであり、
これこそが、メインシナリオ兼ディレクター担当の新島氏の夏に対する価値観であろう。
これを本ルートにも当てはめると、
君がいた夏:ひげ猫団の冒険の物語自体の作品内での夏。
君がいない夏:鴎が姿を消したあと。それでも鴎の願いである「みんなのために」(もちろん自分自身も含む)
を叶えるべくみんなを巻き込んで楽しむ夏。
君といる夏:鴎とともに二人で大冒険をして夢を叶えた夏。
まさに本作ディレクターの魁氏の目指した、
「夏を好きになって欲しい。
夏休みを思い出してほしい。」(参照:初回限定盤特典 鳥白島観光日誌)
が新島氏の雰囲気で体現された、全ルート中最もワクワクし、どこか楽しかった子供の頃の夏休みの懐かしさを思い出させてくれるような素晴らしいお話でした。
・紬ルート ~限られた時間を眩しく思い出に変える夏~
2周してようやくキャラクター個々の設定や同じセリフを使っているんだという気付きが多くあり、更に泣いた。
まさに紬という夏休みを全力で駆ける抜けるお話。また……ね。
挿入歌の「紬の夏休み」これが全てです。歌詞だけ見ると電波曲っぽいのにここまで感動的な曲になるなんて。
ラストのボーカル付きがインストになるところで完全に涙腺崩壊でした。グランドエンディングよりも長い時間泣いていたかもしれない。
理由やきっかけなんて何でも良い。多少の後ろめたさなんて無視して全力で今を楽しむ。
これもまた、楽しい夏のストーリーでした。
・蒼ルート ~大切な人との思い出を育み導く夏~
個別のなかでは一番王道なルート。
もう少し島や七影蝶に関する説明があると嬉しかったが、それでも蒼と藍のお互いを思う強い気持ち、自己犠牲もいとわない思いの強さには心を打たれました。
キャラデザは和泉つばす氏のらしいキャラクターで立ち絵CGとも綺麗で可愛く一番好みでした。
しかし、島モンのラストでまさか藍が出てくるとは驚きましたw