壊れたものを借りて、 壊れたまま返しただけだ。
先に書いておくと、とても大きなものを僕に残してくれた作品。なのだが、それは言語化できないような、批評を書くのが難しいと感じた作品でした。
プレイを終えた後に作品紹介の文章、ジャンル、タイトルを飲み込んでもう一回やるとさらに考えさせられた。
また、各回想シーンのタイトルも話の流れと構成から見て、とてもうまいと感じた。
短い文章ながらも、とてもテキストがよく「さようなら」や「死」というワードの絡め方がとても良かった。
純粋な自分というものの死。好きでもない人に汚されてしまった自分をまた別の好きでもない人に汚されることで上書きしていく…その行為がもはや手遅れなことだと気づいていてもなお。そんなことがあったのだろうと感じさせる揺子の言動。
ジャンルとしては鬱ゲーにはいるのだろうが、僕個人にはとても美しく映った。
完全に雰囲気に飲み込まれてしまい、ここまでダメな主人公"俺"に共感できる作品は久々に出会ったし、プレイ中常に無意識に勃ち続けていた。
ある意味では、僕の探し求めていたエロゲの完成形の一つなのかもしれない。