演出とBGMがシナリオを見事にサポートした一作。
本筋の過去に戻っても未来は変えられないという点について、結果という”点”は変えられなくても、過程という”線”は変えることが出来る。
そのことを活かし、結果が起きた時には後悔を残さないようにする。というのが各ルートの共通した主人公の、そしてライターさんの考え方だと思いました。
事象よりも人物の内面の精神的なところの問題を解決し、物理的に変えられないことは受け入れる。そういう展開でした。
最初にやった3人はいずれのルートも何か悲惨なことや大きな後悔の残ることを経験した主人公が、起こるタイミングをしってから過去に戻り対策を取りみんながハッピーになる未来へ向かわせる。そんな話でした。
そして、メインの詩乃ルートですが、くり返す前と後の二つの展開を読むことができました。
ここでキーになったのが時間を巻き戻す時計をくれて主人公も昔思いを寄せていた漣さんでした。
最初の方のルートでは漣さんは未だに主人公の中に存在していて、それを詩乃に重ねてしまう。それを詩乃にも悟られとても大きな絶望と後悔を残して詩乃の死を迎えてしまう。
しかし、後のルートでは漣さんとあっていた頃まで時間を戻し、過去の思い出と後悔を払拭し詩乃だけを見ることで先のような後悔は残さずに済みました。それでも詩乃の死は避けられず、主人公はそれを受け入れて旅を再開して行くところで物語は終わります。
詩乃の最後のEDでの曲に合わせて時計が止まり、そして動き出す演出には思わず感嘆し感動しました。
とにかくBGMと演出が光ったゲームだと思います。