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farewellさんのEVE new generation Xの長文感想

ユーザー
farewell
ゲーム
EVE new generation X
ブランド
TYRELL LAB.
得点
90
参照数
1631

一言コメント

久々にシナリオで満足できた逸品

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

とりあえずネタバレチェック入れてますが、内容に触れることはないようにします。内容を書いてしまうと面白みが70%ほど損なわれそうなので。

まず【システム回り】から。

EVEシリーズでの恒例「マルチサイトストーリー」は今まで通りで、今作でもきっちり機能していました。小次郎ルートで発生した謎がそれとなしにまりなルートで回収される、その逆もしかり。比率的には今回も相変わらず小次郎が目立ってましたが、特に気にすることもなくシナリオを進めることができました。

面倒くさかった全画面クリックに関しては今作も相変わらず。一度読んだ文章を何度も読んでしまうこのシステムには憤りを感じました。しかしテキスト回りは読みやすく、スキップも快適だったため、既読スキップにしておけばストレスは軽減できました。

セーブ数も89個とそれなりに多く、難解なパートやヒントになりそうなパートをセーブしながら進んでも余りました。


シンドイと思えたのは、PC版で設けられた「記憶の欠片取得システム」。攻略サイトなしで全部取得するのは相当根気が要ります。取得の期間が一瞬しかないものもありますし。。。まぁ攻略サイトみたら問題ないからどうでもいいですが。



次は【キャラクター】ですか。


EVEシリーズの主役である小次郎、まりなはもちろんのこと弥生、氷室、室長と一通りはでます。しかし、初プレイヤーでもわかりやすいように説明も入るし過去作品が分かっていないとついていけないってことはなかったです。逆に既存プレイヤーからして「この説明ちょっと違うくね?」的な表現はありましたが、特に気になりませんでした。
ここで今作のキャライメージみたいなものを。

・過去からのキャラ

小次郎:相変わらずかっこいい男です。今作でも正義の味方やっちゃってます。
まりな:相変わらず無茶苦茶。しかし、キャラに引き込まれますね。
弥生:特に思ったことはなし。相変わらず小次郎に惚れてますな。
室長:この人好きすぎ。こういう中年になりたいもんです。
氷室:あれ、登場。。。。あれだけ???


・ゲストキャラ

乃依:記憶喪失娘。正体その他は本編プレイで。今作の目玉キャラといえる美少女キャラ。謎が謎を呼びます。

アルト:まぁパッケージみたらなんとなく分かりますね。乃依と対をなす美少女キャラ。性格が真逆にみえるためか、一キャラで2度おいしいシチュエーションを楽しめるイメージ。間違いなく目玉キャラ。

エフィ:設定が反則ですが、私はアリでした。美人だったらすべて良し。


ゲストキャラを含め、総じて「魅力的なキャラ」達が謎に直面します。

ただ、キャストに関しては難しいところ。PS2版では超有名どころが起用されているため、そちらをプレイしていた方、もしくは過去コンシューマでプレイされた方は微妙な印象を受けるかもしれません。しかし、小次郎はともかくまりなはしっくり来ました。年齢を重ねた感がよく出ていた気がします。



【シナリオ】について

冒頭でも言っているように、謎深まるシナリオのためそれについては一切触れません。概要的には、一言感想でもあったとおり「シナリオで満足させる逸品」であることは間違いありません。序盤からトリック満載。トリックの質は過去の名作「ever17」のTrueシナリオに少し似ています。内容は全く違いますが「プレイヤーを騙し続ける(主人公達)」という点で思い出さざるを得ませんでした。
とにかく序盤からラストまで息つく暇がありませんでした。引き込まれる作品が好きという方は、前作からの因果律は至って少なめですので「EVE」シリーズをプレイしたことがなくても是非プレイしてみては如何でしょうか。


【PS2版からPC版変更によるHシーン追加】について

素晴らしいの一言。無駄がありませんでした。逆移植で生じるHシーンは総じてそのシーンがシナリオ的に強引かつ「無駄」になることが多いのですが、本作はそれすらもシナリオの一部に食い込んでます。魅力的なキャラによる絡みも濃厚かつ無駄な表現が少なく、ノーマルユーザー向けといった感じ。グラフィックも非常に奇麗なため、魅力を感じれた人なら率直にヌけますし、共感できます。


【音】に関して

OP、EDとありますが特に記憶に残りませんでした。普通の名曲といった感じ。BGMは雰囲気に合っているものが多く、「流石」といったところ。雰囲気を大事にしています。




【最後に】

全体的に見て「非常によくできている」と思えました。人が主軸になるからにはテーマの根本は「心」に起こりうるシンプルなありふれた感情。しかし、その心によって起こりうるシナリオ主軸となるものの着眼点と、その展開力に震えました。そう、「感動した」のではなく「震えることができる」作品でした。

首謀者といえる者の発想、それに至った動機、その結果起こった今回のヤマ。それら全てが一つにまとまったとき、私と同じような感動を抱いてくれれば嬉しいです。


ちなみにEVEシリーズの中でいうとburst errorの次に気に入った作品であったといえます。


参考になれば幸いです。