幸福の先って。
<総評>
幸福のその先は、一体何があるんでしょうね?
少しくらいは自分の答えを見つけられるかなって思いながら読んでたのですが、
結局あまりよくわからなかったな。
それはきっと、自分の学のなさが原因で、ちゃんとこの作品を理解できてないからだと思う。
『素晴らしき日々』(以下、素晴日々)をプレイし終わった時にも感じたのですが
衒学的な表現で散りばめられた本作はエロゲーの枠を越えてる。
(と同時に、エロゲーというジャンルでしか表現しえないものだよな、とも感じていますが。)
けど、読み終わった時の喪失感とか、処理し切れないレベルの感情の振れ幅とか。
とてつもないものがいろいろと襲いかかりました。自分で理解できていないことを感じていても。
そういったものを得ることができる作品は総じて「良いもの」として分類しています。
本作は、そういった類の作品でした。
オフィシャルアートワークスの"すかぢロングインタビュー"に、
―テーマ的には完結しており、物語的には完結していない―
というような言葉がありました。理解できていないわりに、しっくりきました。
テーマ性が強く難解で、俗的な終わりを迎えないから、簡単には理解できちゃいけないんだなって。
と同時に、こういったような言葉も続けています。
―ハッピーエンドで気持よく終わる事こそ、物語的完全性。高尚なテーマ性であってはならない。
しかし、それに負けないほどの説得力のあるラストというのがあり得る。草薙直哉は、その先へ進むことが出来る―
自分は俗的なハッピーエンドが好きです。ゲームでくらい、そういうのを味わいたいという思いがあります。
幸福の先の、その先。
『サクラノ刻』(以下、刻)のリリースを心待ちにして、その時まで本作を何度も読み込もうと思います。
<音楽について>
各シーンを彩るBGM、本当に良かったです。
終盤はピアノ主体のアレンジ曲が多かったですが、特にお気に入りの曲は『夢の歩みを見上げて』。
一番盛り上がる所の、ハモりながら駆け上がるメロディが好きです。
サントラが出たら聴き込みます。それまではゲーム内Musicを垂れ流ししようかなと。
<ルートについて>
プレイ順は
PicaPica(真琴)
Olympia(稟)
ZYPRESSEN(里奈)
Marchen(優美)
A Nice Derangement of Epitaphs(雫)
Ⅳ→Ⅴ(藍)→Ⅵ
でした。真琴と稟、里奈と優美は選択肢によって前後するのかな?
基本一本道のようなもので、ちゃんと順を追って情報が小出しされていきます。
エンドは各キャラ用意されていますが、Ⅵがその後を描くだけに正史?みたいな感じ。
<キャラについて>
プレイ順で分かる通り、最初は真琴推しでした。
稟は登場当初から何か得体の知れない感じがして、好きになれず。
なので初回の選択肢は全部真琴寄り。
素晴日々では希実香の自分を貫くところが好きだったのですが、わりと我の強い女の子が好きみたいです。
(とはいえ真琴は希実香ほど突き抜けている印象はありませんが。)
などと言っていますが、一番好きなのは藍です。
どうも姉キャラに弱いようで、素晴日々でも由岐姉が一番好きでした。
本作のラストでは、直哉が誰とも結ばれることなく藍と寄り添い合うように終わりを迎えますが
藍が一番好きな自分としては得な展開でしたね(思考停止)。
しかし、この立ち位置の藍が刻でメイン級になりえるのだろうか・・・?
とギャルゲー的な思考がもたげると、不安ばかりが残ります。
ぜひとも直哉と藍の甘くただれ依存し切った性活を・・・!!
エロが足りないんじゃー!!!(本音)
他のサブキャラに目を移してみると、片貝。
多分一番感情移入できそうなキャラってこいつなんですよね。親近感湧きました。
刻でも出てこないかなぁ・・・ないだろうなぁ・・・。
<細かいこと・どうでもいいこと>
2部"Abend"ラスト前、『櫻達の足跡』の完成品を見ても「なんじゃこりゃ」という感想しか出てこなかった自分には
美の神様がいないんだなって感じたけど、6部ラストの新『櫻達の足跡』が発表される瞬間は、良いなって思えた。
この差ってなんだろ?読んだ時の情報量の差なのかな。刻が出るまでにわかったらいいな。
それから『櫻六相図』、一枚ずつ完成イラストが見たかった・・・。
健一郎を納得させる程の絵で、説得力を持たせるのは並大抵ではないとは思いますが。
それでも、見たかったなぁ。
すかぢさんって、実物を拝見した時はどこぞの無名大学の教授みたいなうさんくさい風体でしたが(失礼)、
本当に繊細で緻密な文章を書く方だなぁと、本作で感じました。
素晴日々の時なんて、勢いで書いてるだろこんなの、って思ってました。
完全に間違いです。申し訳ございませんでした。
凄い方です。何でエロゲー会社の代表やってるんだろ?好きだからか。刻、いつまでも待ち続けます。