なんだか物凄く惜しい作品。でも嫌いじゃない。
何が惜しいと感じたのかと言うと、どっちつかずな作品のベクトル。
エロもシナリオも!という公式サイトでの触れ込み、心意気は評価したいのですがいかんせん中途半端。
エロミストをもっと乱発させて様々なシチュでのHシーンが可能だったろうし、
各シナリオ終盤の記憶忘却に関する描写はもっとやれたんじゃないかと。
シナリオ寄りの作りにすればもうちょっと評価されてたのかなーとも思いました。
でも、嫌いじゃない。
と言うのもやはりキャラの魅力と溢れるB級感がそうさせるのだと思いますw
別に丸投げなシナリオでもないし、キャラのやり取りは楽しいし、Hシーンもエロいですし。
主人公・太一も共感できるキャラかつ面白キャラでした。
半端な印象は受けたけどあっさり楽しめた良作エロゲーだと思います。
以下各項目でコメント。
■シナリオ・テキスト
超設定のオンパレードでしたが、なんとか納得できる内容のシナリオ。
細かいとこを突っ込めばボロはたくさん出てきそうですが…シナリオ自体あんまり
掘り下げられていないおかげでそういうのは気になりませんでした。
ホント、なんだか惜しいシナリオ。やりようによってはこの作品も
「シナリオゲー」なんて呼ばれていたかもしれない設定でしたね。
クリア順は鈴果→紗希→なずな→結里→○○○○。
設定の核心に触れる結里ルート以外では、終盤が読み手置き去りの展開でちょっぴり?です。
でも結里ルートは一番最後が良いかなーと思いました、一気に伏線が回収されるので。
もしくは一番最初かな、ひょっとしたらルート制限があるかもしれませんが、最初にやっておけば
この作品の構造がよくわかるので他のルートで切なさ爆発するかなーと。
個人的には周囲の記憶忘却によって駄目になっていく主人公とヒロインの精神描写を
もっと執拗に描いてほしかったのですねぇ、もしくは本当に駄目になってしまうエンドを用意するとか。
とは言えかなり鬱入りましたねー、人間の承認欲求ってのは案外大きいものだと気付かされました。
特に好きなシナリオは鈴果ルート。最も記憶忘却に関する描写が多かったのが要因かも。
テキストに関しては普通のエロゲーテキスト。
太一のギャグセンスが寒いのを通り越して突き抜けて面白かったのが良かったかなと。
あと歯が浮くような台詞が多かった気が。別に不快ではありませんでしたが。
■グラフィック
特筆すべき点はなし。
どちらの原画家さんの絵も良かったと思いますよー。
立ち絵のバリエーションも多くてナイス。
■音楽・ボイス
音楽、切ない場面や悲しい場面に流れる曲はどれも印象に残っています。
曲数が少ないので被る回数が多かったのですが、マンネリっぽく感じることはなかったです。
欲を言えばED曲が欲しかったかなぁ…せめて結里ルートには。
ボイスはどのキャラも○。
特になずなの桜川未央さんはハマッてたかなーと。
自室での太一とのやり取りで演じた様々なキャラが生き生きしてましたw
■システム・演出
ちょっぴり動作がもっさりしてたかなと。
自分のマシンが貧弱なので他の環境ではそうでもないのかもしれませんが
推奨環境を満たしている環境なのでもちっとさっくりいってほしかったかなと。
他は概ね○です。
演出に関してはプロローグ部分がシナリオ的に大きな意味を持っていて良かったと思いますが
どのエンドも同一エンドムービーだったり、他の演出がなかったりしたのでちょっぴり淋しい印象。
■キャラクター
アブノーマルなキャラが集まってますw
特に主人公・太一は言動だけピックアップしていくと間違いなく職質アウトな人物。
でもその実、最も人間っぽいのが太一だったりするわけです。魅力的ですね。
ヒロイン陣で特に気に入ったのはなずな。
重度のブラコンという設定で好き好き言いまくってますが、実際は割りと距離を置いていて
兄妹という関係ありきな態度で接してきます。で、個別ルートでの感情の触れ幅の大きさ。
たまらんです。この距離感がたまんなく好きです。設定も一ひねりありますし。
あんまり妹キャラって好きにならない自分ですが、なずなは別でしたね。
あと結里、鈴果、流花あたりも良かったです。
和葉は翔太の嫁として、紗希さんは何の役にも立ってないです(を
■総括
なんか中途半端だけど、このB級感がたまんなく心地良い作品でした。
たまにこういう作品をプレイすると改めて自分のエロゲー好きを認識させられますね。
あっさりと楽しめて良かったと思いますよー。
コンプ日時:2009年4月12日