複数ライター制は失敗だった だがやはりねこねこ作品
スカーレットのような少数ライターによる製作と比べると
やはり外注による√が浮いて見えるため個別√はイマイチだった。
ただとも氏、海富氏による√はやはり安定して読める良シナリオ。
発売前発表のサナララ+ナルキ(うろ覚えだが)というイメージのとおり
心温まるストーリーと死生観(人生論)が調和した心に響くシナリオだった。
印象に残っているのはやはりマリカ√。
作中の人物でも「疑う」ということを知らない彼女は
危ういくらいに純粋で「無垢」の象徴ともいえるような人物だった。
だから飼われていた猫が捨てられ、保健所で殺されるという現実は彼女には到底受け入れがたいものだった。
世の中誰が悪いわけでもない『しょうがない』ことが存在する。
これをある程度割り切ってしまうことが『大人になる』ことなんだろう。
この子供故の純粋さは、自分も子供だったことがあるわけで懐かしさと同時にある種の哀しさを感じずにはいられなかった。
このあたりの表現は\120シリーズから踏襲されたものでもあり、とも氏がたびたびテーマに取り上げる部分でもある。
こういった表現のテキストを期待してねこねこ商品を買う自分にとって本作は所謂「あたり」になるのだろう。
しかし、ねこねこの特徴でもある妹系キャラが(兄主人公で)攻略不能不能ということもあり、
そのあたりを期待していたねこファンが期待はずれだったと思うのもしかたのないことだと思う。
また特定√は攻略順が決まっているため、外注√で投げてしまった人もいるだろう。
しかし、自分が確かにいえることは、ねこねこらしいシナリオは健在である、ということである。
途中であきらめたねこファンには是非マリカ√まで見て欲しいし、
ねこねこのことをあまり知らない人もマリカ√までプレイしてとも氏独特の表現を味わってもらいたいと思う。