シナリオは確かに弱い!それでも次回作に期待を持たせる意欲的な作品
目指していたのはシナリオ+エロのバランス。シナリオでこけたがコンセプトは大いに評価。絵は◎。綺麗で純そうな絵がエロいのは新鮮。
シナリオ重視のゲームをやっていると、シナリオだけに集中して、エロシーンはctrlなんてことは、私だけではないと思う。エロシーンが取ってつけたように薄く面白みがないからだ。最近のゲームをやっていると、特にこの傾向が顕著で、パッケージを見ただけでジャンルがわかり、ジャンルがわかるとエロさLVも予測がつく。
メーカーがジャンル分けをしっかり行って、ユーザーのニーズに応え安くするのは、間違ったことではない。しかし、だからといって、シナリオゲーにエロ要素が不要なわけではない。
なぜなら、あるマンガが面白ければ、続きが気になるのと同じように、例えば恋愛モノの場合、その物語に愛着が持てれば、恋愛成就の続き、行き着くところ(エロ)までの物語を見てみたいという欲求が働くからである。お手々つないでキスして終わりでは物足りない。だからこそ、シナリオゲーであろうともコンシューマーではなく18禁を買う。エロシーンが力の入ったモノならシナリオの重要な構成要素になり得るのである。シナリオを読んでキャラを好きになったあとのエロシーンはヌキゲーにはない感動を与えてくれる。
しかし、最近のシナリオ重視ゲーはこのことを考慮していないように思えてならない。エロはあくまでおまけ程度、あまつさえ経費削減のため(CG枚数)にエロを省いてるんじゃなかろーかと邪推してしまうような作品が多く見られる。「シナリオ重視」を言い訳としてエロに手を抜くのでは、ユーザーの真の期待に応えられるとは思わない。
この作品を私が評価したのは、このような問題意識を持っていたところに、パッケージをみて、どう見てもシナリオゲーなのに、ヌキゲーのようにエロく、ヌキゲーのようにエロいのに、ヌキゲーではなかったからである。すなわち、シナリオとエロを両立させようという意図を持った、問題の解決策のような作品だったからだ。
確かにシナリオは弱い。二線級レベルである。この程度ならば、シナリオを捨てたヌキゲーか、エロを弱めたシナリオ重視の作品にするべきとの意見も納得である。
しかし前述したように、「18禁」シナリオゲーを求めてしまうのは、キスの先のエロ、物語の続きとしてのエロがあるからである。物語の構成要素としてのエロだからこそ、単なるヌキゲーではない味が出る。シナリオ重視に関しても、前述したように、シナリオとエロのバランスが崩れる可能性がついて回ることになる。
以上のことを考慮したならば、必ずしもYES or Noの差別化ではない、エロを重視したシナリオゲーという一見、中途半端なこの作品のコンセプトは十分に、これからのトレンドになれる可能性を秘めていると考えられる。
他のシナリオゲーにはない充実したエロをシナリオが構成要素としてしっかりと生かし切れるようになれば、次回作は十分期待の持てる作品に仕上がるだろう。