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esperanaさんの蒼海のヴァルキュリア ~孤高の皇女ルツィア~の長文感想

ユーザー
esperana
ゲーム
蒼海のヴァルキュリア ~孤高の皇女ルツィア~
ブランド
アナスタシア
得点
80
参照数
1249

一言コメント

普通に良作。

長文感想

この手のゲームで 潜水艦を題材にしたタイトル自体少ない(ほぼない)ので、ミリタリー・美少女の組み合わせに関心がある方は買って損はないと思います。
正直、潜水艦のCGを見て おおⅦ型だー と素直に感動できない方はあまりお勧めできません。
おもしろさの半分はそこかもしれませんので。(のこり半分はシナリオ)
また、パッケージにも記載がありますが 凌辱系を生理的に受け付けない人もおすすめできません。

-大まかな内容- (ややネタバレあります 注意)

前作と違い 同じ女性クルーだけで編成された潜水艦を中心に展開していきます。
前作は、輝かしい戦績を残し 初の女性クルーの潜水艦で活躍して 国民に歓迎され それこそ英雄的な存在でありましたが、今作はその反対です。
極秘任務であり、その存在も明らかさにれず 作戦行動中に殉職すれば よく耳にする『訓練中の事故』として 戦没者慰霊式典もないままその生涯を終えるでしょう。そういった、誰の目にも 耳にも触れず 最終的には捨て駒として 祖国のために陰で活躍するといった要素です。
こういった黒子的な存在をベースに展開が進むので なにがどうなろうと 極端に言えば 戦時下における国際法や倫理・道徳などは通用しません。必然的にブラックな方向へ話が進むことになります。
こういった 苦難や理不尽さを乗り越えて 『無事に乗員とともに祖国へ帰還できるのか?』 を軸におき物語が展開していきます。
序盤から中盤にかけて 伏線部が何本か用意され 中盤に展開が変化していき 終盤で伏線回収という形になります。 序盤⇒引き込み 中盤⇒感情炸裂(なんでだよ・・ どうしてこんな目に合うんだよ 的な) 終盤⇒解決(ああ なるほどね でも 救われてよかったわ 的な) 流れになります。
無論、凌辱を前面に押してますので、人によっては中盤の展開時に 特定人物に対してかなり感情的になり 殺〇衝動までこみ上げてくるでしょう。私もそうでした。 でも、おそらくヒロイン中一番最低評価であろう ターニャが一番好きですね。
全体的シナリオを評価としては まあ ボリュームが足りませんね。10時間ほどは行けるので人によっては満足しますが 個人的には30時間クラスが丁度いいので これは人によります。
エロ要素を排除すれば 1クール編成で映像化展開も問題ないシナリオレベルかと思います。
途中、その手のシーンが邪魔(私はほぼスキップでした)に感じることもありますので、通常のADVで制作し、ヒロインが涙目で登場し なにが行われてしまったのかはプレイヤーの想像にお任せ 的なスタイルでもよかった気がしますね。(あくまで抜き目的ではなく 純粋に物語を楽しむのであれば)
あとは、終盤の終わり方ですね。 なにかが引っ掛かり なにかもどかしさが残ってしまう感じでした。
せめて、後日談があればよかったかな。 あえてそう言った手法で終わらせるやり方もありますが 今回の作品性は 『歴史の闇で人知れず活躍する』 ですから 最後は正直もっと泣きたかった。 ホントによかった すくわれて良かったよ と泣きたかった。個人的に30分くらいの追加テキストを書きたかった。これが正直な感想ですね。 続編が出るなら別ですけどね。

-システム面-

システム面では特に問題ないかと思います。 ただ、ミリタリーという題材を使っていますので 専門的用語が出るのは自明の理。 ある程度の補足説明はありますが、個人的には 階級の説明はもう少しあってもよかったかもしれません。詳しい方なら問題ありませんが 正直、下士官の階級わかりにくいでしょう。
下士官以下は基本階級+兵科が入りますからね。まあ どうでもいいことかもしれませんが 個人的にはその辺が気になったくらいですね。

実際の潜水艦勤務 とくにWWⅡ時代の潜水艦は地獄です。
とても女性が務まる仕事ではありません。
この作品のモデルとなった国でも いくら独裁国家といえど 戦時初期のころはすべて志願兵のみでした。
この作品でも触れていますが 志願と言っても それしか選択肢がなかったというのが多数です。(士官クラスは別)
そういった史実と照らし合わせて プレイされるのも面白いかもしれませんね。