果実の文章量を思うと大分ボリュームが少なく感じる。また、風呂敷を広げすぎて全員にスポットライトを当てる必要が出たせいで、1人1人の印象が霞んでるようにも思う。悪くない出来だが、若干の期待はずれ。
前作の続き、3作目の「楽園」。3を作るために、1,2を作ったという印象を受ける。
ミリタリィ系のネタの話は凄い臨場感がありとても楽しいし、具体的でしっかりしてると思う。
特にシナリオをサポートするイラストの量やスクリプトなどはとても素晴らしく作り込んでいる。この辺に力が入ってるからこそ、「大作」というものを感じる。
また、日付や時間もあってシーン管理がしっかりしてるのも好印象。
が、
ヒロイン全員や迷宮で出てきた登場人物など、フルキャストで出している為に1人1人の登場シーンが少ないく印象が薄いように思う。
特に、実践向きなマキナと幸辺りは活躍シーンも派手であるが、みちるなんかはちょっと可哀想。海底の作業のシーン切られてるし。
主人公の奪還を決めて、すぐにチートキャラのタナトスシステムからアプローチから始まり、ご都合展開の予定調和だし最後の真オスロも意味がわからない。だた殺されてったトラビスが右腕的なポジに居るのか分からない。
タナトスシステムが通信網を掌握して傍受してるのは良いが、信号機のハッキングとかはなんでもアリに感じてしまうし、逃走用の車が軽トラとはどう考えてもおかしいように思う。戦闘ヘリで発砲だのミサイルだの撃ってるのに、追跡車両からの銃撃が無いのが不自然。
チートキャラの一姫にしてみれば、肉体を持ってからは小難しく長々と喋ってるだけでウザく感じる。そしてその左手はなんだ。
主人公が助かったと思ったら単身凸って終わりってのも。ラストバトルなわけなのにあんまり盛り上がりも感じなかった。
シーンが変わると視点も変わってるのに、別の視点でしか出てきてない情報などが認知してるシーンが多い。こういうのはミステリ小説なんかじゃご法度のはずで、折角現実感だした作品なのだから徹底して欲しい。
本編が終わって、アフターとかエロとか開放されるが、どうせなら本編に混ぜろと言いたい。
なんの前触れ無く取って付けのエロシーンとか…ファンディスクかよ
完結したということで、グリザイアシリーズを振り返って見て見てれば、
「迷宮」は他人が語る主人公像と、実際の過去に時系列的なアラや、誇大な表現が目立って、逆に主人公のイメージを固めてしまい小さくするだけだったし、
「楽園」は起承転結の結に当たるせいで、常にクライマックスだが話の山場が分かりにくく、全体的にスポットを当てたせいもあって全員が全員登場シーンが少なく感じる。
また、両方とも文章量が少なく感じて物足りないというか、味気なさがあるように思うし、継ぎ足しの継ぎ接ぎ感が否めない。
シリーズ展開して後作品がコケるというのはよくあるパターンだと思うが、そこまでじゃないにしろ振り返ってみれば「果実」が一番良かったと思う。