歴史題材ゲーの一つの到達点
こういうゲームって某三国志ゲーみたいにキャラゲーになるのかな(キャラも多いし)って思っていた自分を殴りたい。
これやる前まで、大石内蔵助って名前を微かにどっかで聞いた程度(もちろん、何をした人なのかは知らない)で、
「赤穂浪士? 何それ美味しいの?」って思っていた自分を殴りたい。
これが正しい歴史題材の使い方。個性豊かなキャラ、時に切なく、時に熱いシナリオ。
泉岳寺や赤穂に行きたくなったくらい心抉られた作品。
【ゲームの成分】
歴史ゲー、シナリオゲー、キャラゲー、バトル
【やる前のイメージ】
某三国志ゲーのような系列
【√順】
1章→2章→3章→4章→5章
【シナリオ】【93】
ルートは一本道で、選択肢も三章に一個あるのみ。ほとんど読み物に近いかも。
評価としては、1~3章>4~5章。連続しているので、ルート評価はあってないようなもの。とは言え、三章までが一つの区切りで、四、五章が補完シナリオというイメージ。三章まででもう名作。(このメーカーが同人時って、三章までだっけ?)四、五章はギャルゲー的にはしょうがない蛇足的な面が強くなったけど、それでも全体の評価は揺るがない。
シナリオ的には、タイムスリップとループものの複合物。この作品では江戸時代の元禄に主人公が赤穂へと飛ばされ、赤穂事件に巻き込まれると言った内容。自分は赤穂事件全然知らなかったんだけど、一章がまんまそれを辿ってくれるから理解しやすく、違和感なく世界観に浸れた。
テーマとして強いのは、武士の矜持。主の汚名をすすぐための仇討ちの為に命を捨てた武士たちの生き様、そして思いが伝わってくる。忠臣蔵の作品から想像から膨らませたのがこのゲームなんだろうけど、これを考えた人は忠臣蔵が絶対好きなんだろうなと思えるような丁寧なシナリオ、構成、そしてキャラたちの心理描写。本当にこういう武士たちがいたのかと思うほど、それぞれに血が流れている。
主人公もまた、最初は強くなくて、ただ流されるだけの存在だったけど、シナリオが進むにつれて武士として成長していく姿もいい。戦闘、駆け引きの熱いシナリオに、章のラストにある切ない別れのシナリオがいい感じに融け合ってます。
特に三章のラストは良かった。心が揺さぶられるような場面が目白押しだった。
【キャラ】【89】
最初に「姉の首おかしくね?」と思ったくらいで、CG、画風は違和感なし。
自分的に好きなキャラは、安兵衛と主税の二強。安兵衛は雰囲気、主税はシナリオで好きになった感じ。特に主税のシナリオはいい。百花魁のシーンは美しいし、石のくだりも本当に良かった。
四、五章の評価が下がった原因は「もうこの二人とイチャイチャできないのか」という絶望感も含まれていると思われ。
【泣き要素】【○】
特に三章。揺さぶられる。
【喪失感】【○】
三章終わった後の喪失感がやばかった。自分は区切りを決めてギャルゲーするタイプなんですが、ここでいったん区切ったせいで次にやるまでかなり悶々としていました。
【総括】【91】
本当に三章までは文句なし。伏線回収のためやご都合主義のための四、五章もギャルゲーだから仕方ないとは思いんす。
赤穂浪士を題材にするギャルゲーはこれが初めてだと思いますが、この作品の完成度が高すぎて他のメーカーは題材にしにくいでしょうね。ある意味「歴史ゲー=キャラゲー」という概念をぶち壊した金字塔の作品だと思います。
この感想書く前にもうFDやってるんですが、それと合計すれば95はつけていい作品。
文句なしの神作品。ぜひやってみてください。