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ensenさんの殻ノ少女の長文感想

ユーザー
ensen
ゲーム
殻ノ少女
ブランド
Innocent Grey
得点
90
参照数
775

一言コメント

コンプリートして絶望するまでが殻ノ少女です

長文感想

猟奇殺人事件の全容が少しずつ明かされる展開には心踊り、自然に描かれるキャラクター達の個性には他作品にはない好感を覚え、惨殺される女体にはなんとも言えない背徳的な興奮を覚え、主人公の身の回りに起きる悲劇には心痛めた。
ここまで捨てキャラがいないシナリオも早々ないと思われます。しいて言えば山ノ内女医や朱崎寧々くらいですか。印象の薄くなりがちなキャラクターは。
個人的には被害者の友人キャラとして登場した佐東歩がお気に入りで、探偵助手を志望する彼女になんとも言えず萌えました。普通のゲームなら完全にモブキャラのポジションにいる彼女でさえ、こうした魅力を発見できる。
(フラグがクソ面倒臭いものの)イベントの充実した良テキストの本作ならではだと私は思いました。つまりは名作であります。

ですが、このゲームはプレイヤーがコンプリートして絶望するまでが一連の流れになります。いくらルートを探しても避けられない悲劇があまりに多すぎるんですよ。
いや避けられる悲劇もありますよ。ありますけどね、全プレイヤーが全力回避したいイベントが不可避なんですよ。不可避なんですよ。
全エンドを迎えてなお不完全燃焼感、理不尽感を植え付けられたままという、なんだこの、なんだこの納得いかない名作は!! 何なんだ!!

物語は次回作に続くそうで!! そういう問題じゃねえけどな!!
俺は頭ハッピーな抜きゲでもやって心スッキリさせるわ!! あばよ名作!!