武...
狂気ゲーということで知名度のある本作、セール中ということで購入し即日読了しました。狂気は狂気で主人公も、また彼を守ろうと動く理沙もおかしいことは明らかなのですが、彼らはその狂った中で狂っているなりにも誠実であろうと努めていました。
その狂った主人公のもう一つの人格であるところの武は個人的には一番マトモかな？と思いました。というのも彼は主人格である学とトラブルを起こしたり嫌なことがあると理沙に対し暴行を行っていましたがそれは見方を変えれば理沙に対する愛情表現であったと思います、歪んでいますが。暴行を加えたあと、罪悪感を感じているような素振りを見せたり、詠美に暴行をするなら私をと言った理沙に対して躊躇を見せたりとマトモな面を見せました。これは表面上おとなしいようで本質的に狂っている学と対照的です。ここもこの作品の描く狂気や歪みの一つなのかなぁと思いました。
そしてそんなマトモな武くんも学を守ろうと子供の頃から色々やったわけですが最後の最後まで報われず都合が悪くなると記憶が飛ぶ(ということになっている)学に色々な物を押しつけられて気の毒でした。
最終的に彼らは彼らなりの答えを出して物語を終えるわけですがやはりというかなんというかこの世界は不条理で自分達が狂っているとしても、それでもこの世界で生きていくという肯定的で前向きな終わり方をします。不条理をその身と心に受けた少年少女たちのお話としてここまで出来たものはないと思います。