テキスト量と体感時間が著しく乖離した、濃密な作品だった
序盤~中盤の泣き言、寝言を言い続けるフィリアに対するいら立ち。これは凄まじいものがあり、やる作品間違えたかなとも思わされた。しかし、終盤、瞳が赤くなって以降の彼女の成長を見ると、一転美しい記憶となる。元来出来事の意味は起こったその時ではなく事後的に定まってくるものだが、今作ほどそれを痛感させられたノベルゲーはない。我々を苛立たせたその弱さ、甘さが、フィリアの成長、父と娘の交流の記憶として最後に輝く。終のステラの魅力は、周到に練られたSF設定に限らずこのようなところにもある。