対戸塚時の八幡のキモさ、江口氏の演技が光っている
原作4巻のキャンプ回および5巻の夏休み中の話を素材にした作品。原作挿絵の構図を流用したスチルがいくつかあるものの、話としては半分くらいはオリジナル、5巻の内容に至ってはスチルは同じでも使われているシーンが全く異なっており、実質書き下ろしスピンオフのような内容。原作者の渡航氏は監修のみで実際に執筆は行っていないようだが、テキストのノリは殆ど原作に近く、俺ガイルが好きならやって損はないかと思われる。
ゲームは探索型と選択肢選択型のADVだが、フラグ管理や隠し要素が以外と多く、昨今の省エネな分岐のエロゲに慣れきっていた身としては久々にADVとしてのやりごたえを感じた。また、細かな分岐に合わせてその後にテキストが複数パターン用意されており、ラノベ原作アニメのファンコンテンツとしては破格の作り込みであった。
上述のようにテキストについては原作をかなり忠実にトレースした質の高さがあるが、シナリオに関しては凡作と行ったところだろう。俺ガイルは2期、文化祭や修学旅行あたりからの加速がすさまじい作品で、序盤は大きなカタルシスも用意されていない。そのため、その序盤を下地に作られた本作の話もいまいち起伏にかけており、あくまでもファン向けのコンテンツの領域を脱しきれていない。この点はやや残念だった。