ループの設定が作品全体を覆う「違和感」として機能しており全体をとおして緊張感を持って読むことができました。とはいっても、やはりこの設定や世界設定についての説明が弱すぎて、投げっぱなしの印象があることは否めません
6通りの「対決」については論点が錯綜しているため分析をひとまず見送り。
それぞれの「対決」の勝敗が主人公の選択によって決定されるという構図は、本作でキャラクターがそれぞれ抱える「がらくた」相互の対峙が、どちらが正しいと究極的に決定できないとの意見表明とも取ることができるでしょう。その点では元長の態度は、倫理学が結局はポジショニングの問題であるように、居直りであり決断でもあります。そもそも論の立て方にムラがありそうなところはさておき、この点については好ましいし、評価したいです。