クリア済。キラーペイン使ってる時ってなんて言ってるの?
○短評
ハードな部分もコミカルとポップに薄皮で包んだRPG。
スピーディーなゲーム性は少年少女の刹那的な生き様とリンクしている。
○ストーリー
町(世界)を牛耳る大企業「亜総義」(帝国)をぶっ潰そう、と書くといわゆる王道。
亜総義と戦う理由はメンバーごとにそれぞれ…というより
亜総義と関係なく仲間としての繋がりから、な面子の方が多いくらいですが
その覚悟の希薄さと敵の強大さからくる揺らぎ、それを乗り越えるといった展開は
一通り入っており、キャラの掘り下げは充分なものがあります。
あとは戦う手段として弱者を資金源にするという悪こそ為していますが
決して重いピカレスクロマンしてるわけではないのもポイント。
悪を徹底してしまった結果、破滅へ落ちる人物がいるのは主人公たちとの対比とも言えるでしょう。
また、因縁という要素は希薄ながら敵の強さ、殺意はゲームパートと合わせて
要所要所で描かれており、否が応にもそれらと真剣に向かい合うことも盛り上がりを提供してます。
ポップでスタイリッシュなピカロは薄皮一枚で危険性を隔ててるだけで
ひとたび油断してその皮が破れたらもうぐっちゃぐちゃのでろんでろんですよ。
○ゲーム
ストーリーでも触れましたが、敵が装備を更新することで
文字通り「殺しに来る」のが本作のポイントでしょう。
中盤以降、火力が高い敵はとことん高いので撃たれれば紙屑のように吹き飛びます。
なら殺られる前に殺る大味なゲームなのかといえばそうでもなく、
強力な耐性を持ち長期戦を迫られるボスもいたりしますし
デバフや防御バフの効果が非常に大きいので、それらを意識した立ち回りも重要になります。
特にアイテムによるデバフは全体必中なので非常に強力。
筆者は最終武器を1つも揃えないままラスダンに入ってみた結果ラスボスに蹂躙されたものの、
VP回復からの菊千代のV技のみにダメージソースを絞って他はバフ・デバフ・回復で凌いだ結果、
4回目のリトライで本当に辛うじて勝つことができました。
ラスダンが撤収不可の長期戦なのもあり、試しで突入アイテム大量投入でギリ勝利なんて
久々の体験でしたよ。この点は金の力で勝つゲームに違わぬ形になっていました。
メンバー交代にターンがかからず即座に行動できる仕様や
戦闘不能になってもそのマップ中使用不能以上のデメリットがないので
やられるのを気にせず毎回総力戦ができる点、
ジンザイ捕獲のため倒す順に射程が重要となるのもあり、最大10人パーティーでありながら
全員を使いこなせるのでキャラにも愛着が湧きやすい、良いバトルシステムでした。
あとはグリグリ動くし2倍速まで設定可で大変スピーディーなところ、
そしてホイールで直感的な操作ができるのもプラス。
ただ、装備による伸びが大きいわりに更新にはマップでのランダム素材がいる上に
1マップ1人分しか手に入らないのは少々作業感が出てしまう部分かなーと。
毎回必ずドロップしても10人分に10日かかるわけで、それこそ金の力で
即更新できるようにしてもよかったのでは、と思います。
ヒトカリが長くなったのでハルウリは省略。
メンタル補正かけまくった不沈のジンザイと客を追い払うブスを揃えるのが鉄板ですが
一応ピルという制限もあるので脳死にはならなくなってますね。
○キャラ
特定キャラの掘り下げよりもチームとしての掛け合いに力点を置いているので
ナユタのメンバーは自然と全員気に入りました。
中でも菊千代は特に可愛かったですね。
剣士の側面と乙女の側面、それぞれに強さと弱さの両方が描かれていて魅力的でした。
登場人物の構成が最小限なのもありますが、敵となるクランも安易な使い捨てではなく
いい感じに群像劇を引き立ててくれています。
公式に載っていない重要ポジションも多いので、あまり情報を仕入れずに遊んだ方が
新鮮な驚きを得られるでしょう。
○CG
埋まっていないので推測ですがポルノ12枠、キラキラ11枠、メディコ・アンテナ・アリス・菊千代10枠、
ユニークキャラ各2枠×13人、他のキャラにもありとボリュームは充実の一言。
終盤は戦闘関係のCGも増えそちらの方でも盛り上げてくれます。
エロに関してはクマとの和姦も高クオリティながら、作品的にはやはりユニークキャラのハルウリや
ヒロイン勢の凌辱になるでしょうか。
長さは並ですが、シチュでハードな代物を求める人でも満足できる内容となっているかと。
○BGM
全42曲。作風にマッチしたポップな曲が主で、長時間聞くのに相性が良いものとなっています。
「easy as pie」「Breakthru>>>」「濡羽色GUSTYWIND」「Tight Fever」
「Shoot for the Moon」「クロウラ・オーヴァスピード」がお気に入り。
○総評
大きな仕掛けこそ無いものの、絶妙な緩急をつけて立ちふさがる障害を
越えていくのはRPGの醍醐味でありゲームバランスの妙。
久々に下調べや攻略情報無しで全クリまで没入できる、いいゲームでした。
○追記
エピソードタイトルはアリスの過去作を知ってるとニヤリとできて
作ってる側もアリスソフトの作品好きなんだなぁ、というのも嬉しくなるポイントでしたね。