ゲーマー目線だと魅力を感じるのは断然友梨亜と桜花。
○短評
ツールがキャラを引き立てる下地として機能していた良質のキャラ萌えゲー。
ヒロイン間の構成の固め方は一長一短?
○攻略順
なつめ→杏音→璃々子→友梨亜→桜花
全攻略後の推奨は
なつめ→杏音→璃々子→友梨亜→桜花 or なつめ→璃々子→友梨亜→杏音→桜花
・杏音は桜花以外の最低一人は攻略後を推奨
・桜花は最後を推奨
・時間が無いなら友梨亜→杏音→桜花
○ストーリー
ダラダラとウィジェネしながらバーチャルセックスをキメる
くらい低いハードルから開始してたので、早々に現実での魔法要素が発覚したのはワクワクした点。
ただヒロインが早いうちに全員出てからウィジェネ参加パートを描いていく間に
ほぼ毎回、夜パートで各キャラの思惑や交流が描かれる分
共通パート終了まではダレ気味に感じたところも。
ウィジェネについては設定面の裏付けを固めつつ、実態としては
「キャラの伏線の視覚化」「メンタルの上下や親密さの視覚化」「ファンタジーコスプレ萌え」
の三点に終始してたというのが最終的な印象ですね。
ウィジェネパートの描写のこだわり云々より、あくまでツールといった感じ。
結果としてはうまく機能してたと思います。
これでキャラビューワーもあって、読み進めるごとに最新ステが確認できるとかなら+5点でしたね。
あとはヒロイン間で特別横の繋がりが濃い点。
具体的には「杏音⇔桜花」「璃々子⇔友梨亜」ですが…
「被保護者⇔保護者」「弄り⇔弄られ」「ゲーマー⇔非ゲーマー」というシンプルな対比で
テキストの簡便性に大きく貢献している一方、ちょっとした問題も。
個別に入ると、保護者→被保護者は付き合うまでの大きな支えになって保護者側の魅力アップに繋がる一方、
弄り→弄られはどうしても囃し立ての域を出なかったんですよね。
しかも共通で変化が大きい(=描写が多く割かれてる)のは必然的に非ゲーマー側なもんだから
ますます差ができるという。
この辺はゲームというテーマが、ヒロインの属性幅をやや狭めたと言えるかもしれません。
○キャラクター
・敷島 なつめ
キャラ 75 ストーリー 65 エロス 80
スケジューリング大好きな不審者のお姉ちゃん。
プレイ中は不定期ネカフェのみのプレイ時間でネトゲの有名プレイヤーになれるもんかな?
というのが気になって仕方ありませんでした。
現実パートでは唯一ヒロイン間の特別な繋がりに含まれないため影が薄いものの、
ウィジェネパートだと出るたび安心感があるため一定の存在感は確保しています。
ルートについてはイチャラブまでの時間が長く
(恋愛と無関係のトラブルでウィジェネパートを1ミッション分跨いで、さらに時間を要する)
世界観の真相も他4人と比べて60%くらいしか明かされないため消化不良。
あと終盤の展開も萌えゲーとして過激性を抑えた分いまいち緊迫感に欠けたり
父親が郷土史に詳しいならそこを説得の糸口に使えたのでは?
とちょいちょい詰めが甘い印象でした。
「求められると全力で応えたくなる」というエロゲ力の高いワードに相応しく
エロスはなかなかのもの。フェラシチュが飛び抜けています。
しかし当初は性知識に乏しい天然成分もあったのに、勉強したで過程がすっ飛ばされたのはマイナス。
そこはイチャラブならもっと掘り下げる部分でしょ。
・雪之宮 杏音
キャラ 75 ストーリー 85 エロス 50
正妻分を桜花に、魔法分を友梨亜に持っていかれたわりと残念な子。
語彙が少々男子寄りで裏表もないので、共通や他の個別だと攻略したいと思わせる要素が
いまいち乏しいんですよね。
マジメな会話中も一服の清涼剤になったりで親友ポジとしての好ましさはあるんですが、
自分と桜花のルート以外では特に意識もしないので親友で印象が止まるんですよ。
とはいえルートに入るとさすがに可愛い。
趣味が共通してて相性がいい異性の気の置けなさがうまく活かされていました。
合宿という青春力の高い展開あり、事態の真相にもだいぶ迫り、
ウィジェネパートも尺を割ける範囲でキャラ全員に見せ場を与えるものとして機能しており
(分割して因縁あるボスと対決するのは王道)
作品の特徴をしっかり纏め上げたルートと言えるでしょう。
まぁやっぱりヒロイン以外で株が上がるのは友梨亜と桜花なんですが。
エロスは個人的事情で実用に使えなかったので低めの評価に。
気にならない人なら十分使えると思います。
・海棠 璃々子
キャラ 70 ストーリー 55 エロス 70
小姑にもなる甘えたがり系妹。あと詠唱がハイセンス。
セリフが面白いのと他個別のヒロインを兄の恋人と認める=上げる役割、というくらいで
正直非攻略枠でも納得する、敦盛と同じくらいの位置でした。
ルートについても都合のいいモンスターが出るのは
ファンタジー成分の活用と解釈できないこともないものの、他にも個人的にダメダメな展開の一つ
「当事者に 聞こうとせずに 荒れ模様」をやらかしたり
異性への意識が特徴になってた厨二病をかえってスポイルしてしまったり
展開が二人の関係に寄り過ぎてて
ウィジェネパートを削ったり他メンバーも友梨亜以外は特筆するほどの出番がなかったりと
こっちは逆に作品の特徴を扱えてなかった感が強かったです。
ルートでちらほら出てくる我こそ創造主という厨二ネタや龍脈からの影響の受けやすさを見るに
「原初の魔法使い」と絡ませる予定が回収しきれなかった…
なんて推察もできそうではありますが。
評価は50点ですがマッド・ファイトを使ったコントと射精再現は笑ったので+5点で。
エロスについても自慰からの見抜きは独特な執着を感じられたのですが
いざ結ばれて以降は普通のエロスの域を出ない感じでいまいち乗り切れませんでした。
質としては充分なんですけどね。
・紅藤 友梨亜
キャラ 90 ストーリー 100 エロス 85
貧乳小悪魔理知的テンパりキレツッコミ効率厨仲間思い解説要員のアデプト(魔法使い)。
見ての通り強烈な属性を持ち、内容も噛み合ったサキガケ二強ヒロインの一角。
落ち着いた声音の解説、璃々子へのキレツッコミ、ウィジェネ戦闘での勝ち気さ等々
遥そらさんの好演も友梨亜の魅力を余すところなく引き出しています。
個別での告白→初体験→事後の破壊力は異常。冷静ってなんだよ。
杏音が面倒くさがりキャラなことで魔法絡みの解説を一手に引き受けてるので
他ルートでも出番が多いのも大きいところ。
最初は一歩引いた立場だった分、仲間としての親密化もより伝わりやすく、
言動がハキハキしている一方で礼儀は弁えているので日常会話でも好感を持ちやすく、
ウィジェネの楽しみ方にも現実部分の要素が精緻に絡んでるので一際芯が通ってます。
そんな友梨亜の魅力をさらに活かすのが個別ルート。
個別に入るや否や意識からの告白を迅速に済ませて流れるように同棲へ持ち込み
真っ先にヒロインの魅力へ釘付けにしてからストーリー進行へ移行するのは、まさに職人技。
イベントも親子の対立・交際の承認・主人公の魔法への接触と経験・ウィジェネの解析・
定番崩し・バグチェックというゲームギャグ・伝承の分析・
縦横無尽のバトル・ナビ子の出番・このルートならではのラスボスと
本作の構成要素の9割をテンポよく網羅してる上に
友梨亜の願望まで叶えてヒロイン成分を引き出してるものだから本当に濃い。
なつ姉のルートで長々使った要素の一部をちょっとの尺で回収してみせるのは
ヒロインごとの属性配分に疑問を抱くくらいでした。
エロスも孕んだら胸が大きくなるかも→積極的に孕みたがるだの
ウィジェネの解析でセックスだの、房中術の実践だのとにかく理屈をこねて
ヤってるのがかえって刺激を強めていてグッドでした。
あと付き合う前からオカズにしてしまう展開もツボを突いてきます。
ただし背面座位で秀穂が乙女座のシャカみたいな面して映ってたのだけは許さん。
・星咲 桜花
キャラ 90 ストーリー 85 エロス 75
失恋描写を一手に引き受ける誠実な委員長。隠れ設定の塊。
友梨亜が世界観を引き受けたヒロインなら、桜花は秀穂にとってのヒロイン。
共通の時点でゲームを認めるという成長が描かれていて、他ルートでも
副部長ポジや生真面目さや失恋の悲しみや部活として部員を守る発言でどんどん株を上げていく。
特に杏音ルートで一回ロストした時のセリフは実に素晴らしい。
家族関係が秀穂との仲にもうまく繋がってたり
回想という形で惚れるきっかけがはっきりしていたりと正妻分はかなりのもの。
桜花ルートを先に見てからだと他ルートに入るのに抵抗を覚えそうです。
個別も友梨亜同様スムーズに恋人関係へ移行、イチャラブ&桜花の成長を
存分に堪能させてから本題へ移るため読む側の満足感はなかなかのもの。
ウィジェネパートに明確な目的が生まれるため展開が学園物+αに留まらず、
スキルも話を進めるのに活用されたり戦闘にアクセントを付けたり
何よりこのルートでしか解決しない設定があったりと
最後に回しても退屈しない内容でした。
まぁここでも親友の杏音の次に活躍するのは友梨亜だったりしますが。
友梨亜と桜花が強すぎる。
エロスは初々しい純愛エッチ…と思わせてからの
ほんのりベッドヤクザな秀穂と従順に尽くす桜花という路線で刺さる人には強烈に刺さるかと。
あと一部とんでもない巨根のシーンも。エンハンシング+10でもかけたのか?
一回ごとが濃いものの実質4枠な点は注意。
・サブキャラ
いわゆる男友達ポジの敦盛もウィジェネに参加してるのがいいですね。
男が主人公のみの完全ハーレムだったりサブの男がネタまみれの道化だったりせず
しっかりゲーム的な戦力にカウントされてるのでメリハリがあります。
そしてナビ子を演じるまきいづみさんはさすがの一言。
まきいづみという概念が形になったような、脳が蕩けるボイスを堪能できます。
○CG
各キャラの家族の出番が多いので立ち絵無しなのが惜しいくらい。
戦闘の演出も、多用される一枚絵が綺麗でモンスターもしっかりしてるので見飽きない程度にはなってました。
学園物とファンタジー物の二重構造にも関わらず、
そういった面での素材不足を感じさせなかったのはさすが。
○BGM
対してこちらは学園とファンタジーで分割されているためか
学園パートは曲数のわりに少なく感じられるところがありました。
話のムードが変わってるのにBGMはゆるいまま、というのが何回かあったのは気になったところ。
逆にファンタジーの方はしっかりバトル曲を複数用意してあります。
「アルバトロスは飛んでいく」「夕焼けに誓うとき」「Burning Battle」「Mystery Night Fever」がお気に入り。
○総評
学園×ファンタジーのジャンルでは学園寄りのマイルドイチャラブもの。
萌えゲーとしてのそつの無さ、反発を抱かれそうな部分への配慮も行き届いており
楽しみやすさは健在な、まさにエンターテインメント。
友梨亜か桜花が気になった人なら迷わず買い。
○本作で一番笑ったテキスト
「エロゲじゃないんだから野外や店内で初体験なんてしないよね」(要約)
過半数が当てはまってるんだよなぁ……。