良くも悪くも、シナリオライター・とり氏の一人相撲。
緩やかに何らかの破局へ向かう世界のなかで、
登場人物たちは非常に人間くさいヤツらばっかでコレは良い。
とり氏の文章力もあって、
各キャラクター(主にサブキャラクター)は非常識な世界の中で
ごく良識的な人間として動いてくれていてすごく魅力的です。
ただこの作品、割と色々な所で損をしている感が強いかも。
まず、メインヒロインのましろがちょっと意味不明。
引きこもりという設定だけど、
引きこもったきっかけは、きっと神秘的な要因が絡んでいるに違いない…
とか思ってたら、普通に引きこもってただけだし、あれ~?とか思ってしまった。
引きこもりになっちゃった人の精神状況に詳しいわけではないので何ともいえないですけど、
なんかちょっと、僕は惚れられないかなぁ…とか思ってしまいました、すいません…。
世界観もちょっと説明不足。
「世界観がメインじゃなくて、非常識な世界においての人間の行動に重点を置きました」
と開き直られたらソレまでなんだけど、
あの世界で起こっている歪みの原因(脳のバランス云々とか)は、
もはやこの現世でも発生しかけている事なので、
もうちょっとファンタジーな方向でプレーヤーを納得させる何かが欲しかったのは事実。
BGMは各々一曲ずつ取り出して聴く様な趣向では作られていないけれど、
「BGM」としては非常に優秀。
絵はカーネリアン氏。問題ないです。
エロはあんま期待しないほうが良いですね。
とり氏の質感ある文章はエロにしても映えますが、
量が少ないし音声も無いので、エロに期待して購入するのは正しく無いと思います。
あと、オマケエンドの中には3秒で終わってしまうような物もあって、
ちょっとプレーヤー置いてきぼり気味だなぁ、とか思ってしまいました。
「う~ん、とりさん、遊んでるなぁ」とか
生暖かい視点でアリスソフトのゲームを楽しめる自信があるなら問題ないですが。
でも3秒で終わるエンディングがある一方で
スタッフロールがスキップできないのは、ちょっと極悪ですね(笑)