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elevenさんの残暑お見舞い申し上げます。 ~君と過ごしたあの日と今と~の長文感想

ユーザー
eleven
ゲーム
残暑お見舞い申し上げます。 ~君と過ごしたあの日と今と~
ブランド
めろめろキュート
得点
85
参照数
1636

一言コメント

残暑お見舞い申し上げます。業界への不振感が蔓延するなか皆様いかがお過ごしでしょうか。おかげさまで、私どもはここに新作をお目にかけることができました。二人のライターによる雰囲気の異なる物語を楽しめるお得な作品となっております。時節柄、新作買いは控えておられるでしょうが、どうぞこの機会にご自慰くださいますようお祈り申し上げます。平成20年○○

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

こんな宣伝打ってたら、叩かれていたかもしれませんね(オイ




○癖のないライターのがみ氏(無臭型)と独自色を持ったライター藤崎氏(特化型)、
正反対と言ってもいい二人の書き手を起用したおかげで、なんだか微妙なことになっている、この「残暑」。
まず初めに断っておきますけど、私は両方とも好きです。というか、体験版第一弾の共通ルートをプレイした段階で(のがみ氏担当部分)、
「うっは。キタコレ。良作キタコレ」な私だったので、ここでの低評価はちょっと残念だったりします。
まあそれも仕方ないことかもしれません。
好悪を抜きにしても、キャラの魅せ方、テキスト、そしてシナリオなど、藤崎氏が一人勝ちしています。
特化型と無臭型では相性が悪いというのもあるでしょうが、こうも力量に差がありすぎるとある意味引き立て役になっている感も否めません。
私自身は、キタコレ、麻薬ゲーキタキター状態なんですけど、だからと言って、手放しで人に薦められるゲームでないことも確かです。
感情的には100点付けたいですけど、さすがにそうもいきません。
もっとバランスよく仕上げてくれたらなあ・・・たられば、いかさま、はひはひ。





○菘奈、柊子、梗子先生、アリサがのがみ氏担当ですね。

第一部 学生編(あさひな村の最後の思い出として皆で映画を撮ろう)
第二部 大人編(その後の生活)

四人全てこの構成になっていますが、「残暑お見舞い」しているのは、菘奈シナリオのみ。残りの三人に関しては
第二部→ちょっとながめのエピローグ
と、ぶっちゃけネタ思いつかなかったのでいちゃいちゃHさせますから勘弁してください、といった内容になってます。
ちょっ、おまっ、これ手抜きかっと突っ込まれてもしょうがない内容です。
ただフォローしておくと、恋人同士になったその後の生活を見たい、エピローグをたくさん見たいって人には十分楽しめるんじゃないでしょうか。

とりあえずのがみシナリオがなーんで評判悪いのか考えてみました。

1、この空気シナリオつまんねー。テキストも味気ねー。
2、うおい、なんかいきなりH始めましたよ。
3、ちょ、第二部手抜きじゃねーか。内容ないしエロだけかよ。つーかこれエピローグだろ。
4、めろめろは藤崎以外使うなよ。


こんなところかなーと。
テキストなんかは読んでいて丸戸氏あたりを意識してるのかなとも思わなくもありません。
あのレベルに至ってはいませんが、読みやすくはあります。

でまあ以下のがみ氏擁護しておきます。

1、何もない普通の日常いいねー。メールのやりとり普通だ。あるある。うは。読むの楽チンだー。
2、あーこの流れでエチか。愛だのなんだの重くなくていいね。青春だよ。若さだよ。
3、菘奈以外残暑見舞いしてないけど別にいいや。事件とかええよ。疲れるだけだし。甘い日常頼むわ。
4、それをいっちゃおしめえだ。「このメーカー+藤崎氏=買い」の方程式で動いているユーザーは、普通の萌えゲーはやってらんねーぜって人たちが多そうなので、こればっかりはどうしようもないかなと思ったり。エロシーン? もちろん笑えるんだよな? とか考える末期な人たちですからね。私も含めて。やれやれです。なので、今回は回避した人も多そう。うーむ。

とはいえ、雰囲気は妙にツボにはまったので、私の中では「こりゃおもすれー」なんですが。



以下個別に、雑感やら。

○菘奈
残暑お見舞いメインシナリオ。
この作品のテーマがこめられているがゆえに、メッセージ性が高め。
「約束された終わりに向けて、自分たちにできることは何か」というのは有名所でいうと「この青空に約束を」のノリに近いかも。
菘奈は置き去りにされることに恐怖を抱いてぶるぶる震えてしまう典型的な依存系ヒロインで、第二部のエチーも現実逃避の色合いが濃いです。
そういうの背景に匂わされると抜きづらいですね。なっはっは。
とはいえ暗くなりすぎずさわやかにまとめてあるので内容は悪くないです。
*一番初めに攻略しましたが、結構盛り上がったしまとめ方もよかったので菘奈でこの出来ならと期待は膨らみまくりでした。
あとで気が付くのですが、どうやら菘奈シナリオでのがみ氏力尽きた模様。なんか笑えます。

*一周した時点での全体的に見たゲームの印象
1、立ち絵のおぱーいの盛り上がり具合が、なんだか妙にエロい(ウエストのしまり具合が良いのもある)(菘奈と柊子)
2、あっ写真撮れるんだ。うはっこういう細かな試み大好き。スタッフロールで見れるとかよいもてなしだ。
3、エロシーンはズーム使ったりして絵を動かしていて、がんばっているなあ。
4、演出は楽しめるし、システムも安定している(ように見える、ここ重要)し、ストレスを感じずに物語に集中できるのはありがたいかぎり。
*台詞切り替わる時たまに出る残像とか気にしちゃだめ。
5、やっべー。梗子先生キタコレ。vipperかw 梗子先生は百点だおっおっお。


○柊子(巨乳委員長)
感情センサーとしてあほ毛を一本搭載。
梗子先生を先に攻略しようと思ったけど、見た目や性格が一番好みだったのでこっちに。
第二部がちっとも残暑お見舞いしないシナリオ(辞書的な意味で)に、まあこういうのもありかなと思ったり。
普通に好きになって、結婚して一緒に働いて、ずっとずっと好きだよっていうお話なので、退屈に感じる人も多いでしょうけれど。
梗子先生はガチでダメな人ですなあ。だがそこがいい。
特別なことなんてない二人の日常をにやにやして眺めることができる人向け。
でもあれ、・・・なんか短くね?

*一口メモ
取引会社倒産の報を伝える社員の声が万栗太郎っぽいと感じたのは私だけ?


○アリサ
梗子先生の前にちゃちゃっと片付けることに(オイ
いやだって、立ち絵が微妙すぎて。気分が盛り上がらないし性格も普通のツンデレで特筆することが何一つない。
菘奈ルート以外だとほとんど出てきませんしね。
せめて委員長と菘奈みたいな妄想を刺激する立ち絵があれば・・・。一枚絵は悪くないんですけどね。
シナリオは、ツンデレやきもち焼きお嬢様との再会とそれから同棲(結婚)に至るお話。
そして第二部がちっとも残暑お見舞いしないシナリオその2(副題的には合ってるけれど)。
この頃になると、あー菘奈以外のシナリオは全部この流れっぽいなと悟りを開いちゃったり。
とりあえず思ったことは、このルートの主人公情けないなあ、ですね。


○梗子先生

そして真打登場でっす。
姉ってことでセンサーニ本装備。
とにかく喋り口調がやばすぎ。なんかもうこの人が出るだけで笑ってしまう私もやばすぎ。
もうほんと成瀬未亜の演技が冴えまくってます。
シナリオは第二部がちっとも残暑お見舞いしてないシナリオ(もういいって)その3だけどそんなことはどうでもいいんです。
内容も、委員長とかぶるけどいいんです。
Hへの入り方とか、「何この本能に従った野獣」状態でシナリオもへったくれもないんですけど、いいんです。
空気読まない先生が好きだ。
新婚夫婦の妹の新居に転がり込んでくる先生が好きだ。
ニートでvipperな先生が好きだ。
フヒヒと笑う先生が好きだ。
絵文字だけメールを送ってくる先生が好きだ。
梗子先生が梗子先生なだけで満足なんだーーーーーーーーーーーー。おっおっお。
「梗子は悪くないおっ」まったくもってそのとおり。ごちそうさまでした。
*でもこの時点で私の感情としましては妹の委員長も俺の嫁状態だったので、姉妹丼がなかったのは残念です。・・・残念です。



○壬生と華菜を担当したのが藤崎氏ですね。(一番初めの選択肢で上:のがみ氏、下:藤崎氏の親切設計となっております)

個別に入った瞬間から藤崎節全開なのですぐ気付きます。というか、色々設定自体が変わってるので混乱します。
実際、開始一分で悶絶ですよ?
おぱ、おぱ・・・あわわわ。なんじゃこりゃーー。委員長のおぱーいをもみもみし始めましたですよこの主人公。
そしてコーちゃんなる年上の同級生登場。・・・誰っすか? 立ち絵あるしサブキャラっすよね。兄貴分? 超重要キャラぽくね?とか。

まあ色々驚きつつゲーム進めていって、ちょっと面白かったのがなんか心臓がどきどきしていたことです。
このどきどき感には覚えがあります。えーえー、寝取られシナリオ読んでるときのあれです。
いやーもうなんというか、ヒロインたちの設定が別ってのはいいんです。姿と声は同じなんで同一人物補完できますもん。
でも主人公は色々変わりすぎだろ、おいこらってくらい全くの別人となってます。なもんで、
なんか、知らない男にヒロイン寝取られているみたいで(おっぱい揉ませたり、ちゅうしたりとか)もう涙目ですよ。ギンギンですよ。
まあ、しばらくすると慣れましたけど。

とにかく主人公がのがみ氏主人公とはまったくの別人です。
のがみ氏のは典型的なギャルゲー主人公だけれど、藤崎主人公はまあひとくせもふたくせもある奴です。
変に理屈屋でいざとなるとへたれ。おっぱい大好きで、「男はおっぱいのある生き物にはかなわない」とか名言吐いたりしてくれます。
物語自体は、

第一部(学生編)
第二部(その後)

と、こちらもこの構成なっています。
両シナリオともググらないとちょっとついていけないくらい情報をちりばめまくった藤崎テキストをご堪能あれってところでしょうか。
でまあ、この人の書くテキストは面白いですね、やっぱり。ちょっと感動しちゃう良い話とかでも最後に必ず「落ち」を用意しておく藤崎クオリティには素直に乾杯しておきます。


○壬生
野上ルートでの壬生の声なんだか微妙だなーって思ってましたが、このルートだと、合ってる合ってると妙に感心しました。
新堂さん、中途半端に大人しいのはダメなのね。もっとトーン落としたこっちの演技はしっくりきます。
つか壬生かわええ。のがみルートだと特になんとも思わなかったのに。うむむ。声って偉大。いやテキストもか。


*そいや全然関係ないけれど陽春の許婚の女性(こっちのルートだとユキさん)とのお話。
華菜ルートでもちょくちょく出てきますが、この二人の小話はもうちょっと読んでみたかった。許婚っうはっ。

*あともう一個。壬生ルートはスク水女子満載でしたけど、スク水の写真撮りまくりましたよね?よね?よね?

*最後にもう一個っ。梗子先生vipperじゃなくなって凶悪ちびっ子系になってるけど破壊力は変わってねええええ。

閑話休題。

このルートは、恋を恋として楽しめる(否定的な意味合いでなく健全に)主人公がどんどんどツボに嵌っていく様を
にたにたしながら眺めるに限りますね。ああ青春だーねと。
シナリオ自体、ヒロインのピンチに「俺は今ヒーローになる」ってな感じで盛り上がったりと、なかなかよかったかと。
壬生は最後に死んでしまいますけれど、余命四ヶ月が八年まで延びたのだし、子供も産んでるので、ハッピーエンドではないかと。


○華菜(とりあえず、まず一言。OHPのネタバレ人物紹介自重しろ)
「残暑」中、唯一ファンタジー全開なシナリオで、かわしまりのは神(両方の意味で)。
カトリーヌとか、もうお約束な感じがします。ひめしょのポチを思い出したですよ。
あと、マ○コマ○コ連呼しすぎ。壬生とのHシーンで笑いがそれほどなかった分こっちで頑張ってます。
つか笑かすな、と(笑)
ああ、でも魔乳化した華菜様には挿入しないですか、そうですか、・・・最後の最後でしてやられたぜ・・・がっくり。



○まとめ(敬称略)
神村ひなは最高だ。ろれつ回ってなかったりするけどそこがいい。
北都南は鉄板だ。いつもお世話になってます。
一色ヒカルはよくやった。だけど今回は役に恵まれなかった。
成瀬未亜には脱帽だ。文句あるやつあかかってこい。
新堂真弓は意外だった。だけど全然問題なかった。
かわしまりのは神。これも異論は認めない。


おそまつ。