ErogameScape -エロゲー批評空間-

eins1さんの三極姫3 ~天下新生~の長文感想

ユーザー
eins1
ゲーム
三極姫3 ~天下新生~
ブランド
げーせん18
得点
50
参照数
1504

一言コメント

戦略SLG部分はスーファミに毛が生えた程度。ストーリーは魏・呉・蜀の共通ルートは盛り上がりとしてかなり良かったです。世界背景、主人公の心情、ヒロインとの出会いや行く末(呉を除く)、戦乱に生きる人々など中々読ませられました。ここまでは80点を付けられますが、本編に入ると序章の興奮が嘘のようにグダグダとなります。主人公やヒロインが空気化したり、内容がスカスカのまま登場人物が増えていくのでストーリーが更に薄まったりしてます。以下は各ルートについて簡単に触れます

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

基本的に登場人物の数に対してボリュームが少なすぎるのが問題でしょう。
散発的だったり、加入エピソードのみに尺を食われてストーリーとしての中身がありません。

サブキャラにもイベントがあるのですが、「好きでした~抱いて~」→セクロス→なんちゃって個別エンド、と
ただのエロ要員になっていて魅力も糞もないですね。主人公も竿要員に過ぎなくなってます。
こんな中途半端ならば、サブは飽くまで脇役として留めてメインヒロインに一本化した方がストーリーに深みが出たと思います。


○ストーリーとして割かし形を為しているのは「魏」と「蜀」の二つでしょうか。

■「魏」
王道的に曹操を中心として物語が組まれており、侵攻する多くの敵国にイベントがあるので物語に感情移入し易いです。
ストーリー上で登場人物が要所で存在感を見せてるのもポイント

ただ、戦記モノとしての戦略的な大掛かりエピソードはなく、主人公の成長や活躍も大して描かれるわけではない点は残念の一言。
折角、曹操が主人公に対して「将」としての成長を期待してる描写もあったのですから
そこら辺が濃厚に描かれるエピソードが入ってた方が良かったです。

曹操EDの締め方は賛否両論がありそうな形ですが、曹操が駆け抜けた物語を締め括るなら十分有りかと


■「蜀」
孤児で名無しの主人公が某人物から劉備の名を継ぎ、関羽・張飛の三兄妹として乱世に立ち、君主として掲げる理想と立ちはだかる現実に苦悩しながら歩む物語

各国を転々としながら乱世の現実に自分自身の答えを見出して成長していくストーリーは良いのですが
その答えに悩む過程がウジウジと長すぎて爽快感がないように感じます。

また、ポっと出のキャラがいきなり説教を始めたりもするので一体感がないでしょうか。
そういうポジションのキャラは早期にストーリーへ組み込んだほうが導き手として相応しいと思います。

メインヒロイン(?)関羽の存在感はイマイチ。主人公に迫る女キャラに対して嫉妬したりするシーンはあるものの
ストーリーの大筋に関わるもの特に無し。個別イベントも少なめです


○他のルートは大した見所もなくストーリーも中途半端だったりします

■「呉」
共通ルートで主人公とヒロインの孫策とのやり取りも薄すぎる。使えそうな男だから持ち帰ったってだけのノリです。
本編に入ってからも大して主人公×ヒロインの存在感を出すわけでもありません。

ストーリー自体も孫策が呉の有名な武将を仲間にしていく単発的エピソードが続いていく中
利用価値の無い者は無情に殺す非道を働き、苦渋を舐めさせられてきた袁術を打倒したかと思ったら、何故か何の描写もなくギャグ的展開で袁術が仲間に。
そんな流れにするならば、袁術は笑って済ませられる我侭娘なバカ殿にしておけば良かった。下手に君主として知恵を巡らせる要素が入ってるのでチグハグです。


そして、仕舞には後半で孫権へヒロイン交代の分岐が入り、孫権ルートへ行く際に孫策は関羽と一騎打ちの流れで暗転
場面転換で関羽と相打ちで死んでしまい孫権が呉の当主となります。

…色々と言いたい点はありますが、孫策の「呉」に対する想いとか、主人公と孫策や孫権の間柄に関わるエピソードが大してないので
孫策が死んだり、主人公が孫権を立ち上がらせるシーンを見ても何も感じ入る点がありません。

関羽が死んだ点についても、張飛は敵討ちに逸りますが目立つエピソードもなく野垂れ死にです。
そこはこれまで空気だった主人公に一騎打ちで出番をあげるとかしてやればまだマシなのに…。


■「漢」
ぶっちゃけ三国志のキャラを用いた伝奇モノですね。
魑魅魍魎の類が相手になっていて、君主との戦いは前哨戦に過ぎない流れです。

他ルートと差別化でアプローチとしては悪くないと思いますが
この手の題材は後日談のファンディスク、または完全に三国志との大筋とは違う流れでやるべきかと
イベント戦闘も多いので結構ダルイです。

ヒロインの皇甫嵩は微笑ましい存在感が出ていて可愛くはあります


■「呂」
呂布による一騎当千で完結

…いや、それ以外語るポイントがないというか。
各国イベントの流れは「呂布などただの伝説でこけおどし or 同じ人間なのだから倒せる」→「我が軍が壊滅だと…?強過ぎる!」

とまぁ、大抵このような流れで終始します。主人公も序章共通ルートと同じく、偽呂布を語ってる設定ですが存在感空気です。
ちょいちょいと呂布軍の強さの理由、呂布の抜け目無さは描写されますがあってないようなものでした。

呂布自身は口数が少なく冷静沈着ながら、主人公の裸を見て照れたりするなどギャップがある個別イベントが用意されていて
魅力を感じる点がなくはないですが、大筋としてはほとんど語られないので微妙かと