真摯に「愛するとは何か」ということを描いた作品です。シナリオがいいだけにシステム面に少々不便な所があるのが悔やまれます。
誰もが愛の代替可能性を知っていながら、たった一人の運命の相手を探し求めるという人間の持つ矛盾。これを逃避行と薬物依存を交えて真正面から描いたのがこの作品だと思います。ドラマ等のような上辺を取り繕った「キレイ」な愛などあるはずがありません。行き着く果ては肉欲だ、とまでは言いませんが行き着くまでの過程に回避不可能なものとしてそのようなものがあるのは確かだと思っています。ただ欲求、空隙を満たすためだけの行為でなく、それに唯一の価値を与えるのは何なのか、答えは作中では語られません。自分もさっぱり分かりません。答えは人の数だけあるのかもしれません。ですが、それに興味があれば手に取って損は無い作品です。