個別の短さが残念でならないが良作かと
一言通り、個別の短さが作品の魅力を半減させている。
キャラ、声優、CGのレベルの高さは数あるエロゲの中でも稀に見る出来だった。更に共通ルートも良い部分を殺さないように無難に仕上げた感じで好印象。
だからこそ、個別ルートのレベルの低さは残念でならない。短さ故に、折角共通ルートで築き上げたストーリーに起伏や最良の結末をつけられていないし、何よりキャラが良い分、ユーザーの期待に応えられていないように感じる。そういう意味では、一応は完全に個別で仕上げたミコトルートが一番楽しめたとは思う。
以下各ルートについて
優姫ルート
キャラ自体としては、限りなく満点に近い。絵的にもキャラ的にも大満足。特に主人公の告白の場面での諸セリフはツンデレとは何かと言う問いに対する答えであり、僕のエロゲ史に刻まれるものであった。
その衝撃から始まっただけにあっさりと終わってしまったのは非常に残念であった。FDを出して、ある程度の補足と再展開を期待したい。こういうヒロインこそ、劇的展開が似合うのだから、遠慮しないでもらいたい。
湊ルート
絵、キャラ的にも非常にレベルが高いが、反面シナリオのレベルが低すぎる。大した展開も無く、動きが出てきたと思ったら一瞬で解決しあっさり終わってしまったので残念だった。優姫と両頭でこのゲームを立てていることが、同じ改善点を強調してしまったようだ。
つかさルート
こういうどうでもいいキャラがいない作品が名作であり、そういう意味でこのゲームのなり損ね感を大いに出している。皮肉にも最も今作を象徴しているキャラクターかもしれない。全てにおいて、本当にどうでも良かった。感慨なんてありゃしない。
なごみルート
中々良い味を出している。サブヒロインということを考慮すれば、短い個別ルートも納得できる出来といえるし、絵、キャラ的にもそこそこ。
不思議系という立場に反して、今作では一番無難なキャラかもしれない。好きがちょっと、嫌いがいないという感じか?
観月ルート
キャラとしてもの凄く味があり、それを演じる声優が素晴らしい。立絵に差がありすぎたのがちょっと減点だが。ストーリーはなごみルートと同じくそれなりの出来。この2者のストーリーはメインヒロイン2人のルートが拙い分引き立っているのは間違いない。
ミコトルート
他ヒロインとは全く別の立場で、別のルートを立てているだけに、味が出ている。泣けるゲームではないが、少しぐらい泣けるのはこのルートか。なごみルートなんかよりよっぽどSFだが、それなりに理論の骨組みもしっかりしているのでそこそこ楽しめる。
キャラクターは薄いが、絵は中々良い。