サーカスが14年遅れて作った初代D.C.
初めに断っておくが、自分はこのゲームにエロさを求めていなかった上でこの点数を付けた。なのでエロシチュが非常に少ない(ほとんどのヒロイン5人に1回ずつ。乃絵里のみ2回。ひまりは体位を変えた2ラウンド目がある。)この作品を所謂抜き目的で購入することはおすすめできないことを理解した上で読んでいただきたい。
また、今作の作風はFD等を除いたサーカスの前作、D.C.ⅲというよりも初代やⅱに近いので度々文中で使ってきる「D.C.シリーズ」という単語に違和感があると思われた方は初代やⅱのことだけだと思っていただけたら大変ありがたい(ⅲが前2作に比べ異質なことが最大の原因だが)。
そして何よりあくまでもこの感想を1人の意見として読んで、自分で結論付けてほしい。
全CGを回収した結論から言うと、おもしろかった。普通にサーカスがD.C.を踏襲しつつもチャレンジした新シリーズと謳うだけあって、D.C.のあの学園物のノリが好きな方なら間違いなく最低限は楽しめる。と、思う。
たにはら先生と鷹乃先生のグラはほとんど(後述有り)完璧だったし、音楽も場面に違和感なくフィットしていて十分よかった。声優さんの演技も(エロシチュ含め)全員しっくりハマっていてよかった。シナリオも、日常パートからじっくり読んでも楽しめるようにできていたし、あの杉並の後継者、新キャラの大和が程よいアクセントになっていて楽しかった(各キャラごとのシナリオは後述。一言書いておくなら全キャラ概ね良好)。また、大和以外にもD.C.シリーズをオマージュした点がちらほらバラついていてファンサービスも良かった。そしてなによりなぜDa Capoではなく、Dal Segnoというタイトルにしなければならなかったのかも最後のD.S.シナリオ(シリーズ恒例のD.C.シナリオと同じ。ちなみにal fineは無し。)をやると理解できたし、シナリオも筋が通っていた(細かいところで疑問点が残るがそこはもうご愛嬌)。
個別ルートだと(以外特に個人的感想強め)
ひまり:ラストの成長が一番すっきりとしたヒロインだったなあというのが今の感想。性格はからかったり、ノリを合わせたりと一番現実世界の女子に近い感じ。ただ、他のキャラと違っていちゃいちゃできる時間が短いのがちょっとネック。正常位と騎乗位。何がとは言わないが。
遥月:クライマックスのトリックがご都合主義っぽい感じもするが、概ね良好。デートシチュかわいい。ただ、エロCGのおかしな乳首の位置だけはやめて欲しかった。貴重なエロCGなだけに致命的すぎる。あとお嬢様の割に案外股が緩いなぁって印象もある。後ろからの側位。やはり何がとは言わないが。
依愛:正直この手のキャラが苦手だった自分だが意外にも楽しめた。思ってた以上にかわいい。台詞の回りくどさに慣れれるかどうかと言ったところか。ただところどころ「痛たたたた」と言いたくなるシーンもあるが仕方ないと思われる。背面座位。何がとは言わな(略)。
乃絵里:確かに妹「系」キャラだった。由夢や音夢とかけ離れた容姿だったが性格も全然2人と違うが、なかなか楽しめた。妹属性のある方に一番オススメ。唯一の2回H。そして唯一の主人公の部屋以外でのH。抱きあいながらの座位と腕膝つけたバック。何がとは(ry。
天:めちゃくちゃいい子。さすが楽園の管理人。天使。宇宙人に手を出した前シリーズに負けず、プログラムが作り出したホログラムと恋愛する主人公ってのもどうなのかと思ってたけどかなり上手い落とし所で構成もよかった。デートシチュもすごく楽しめる。あと一番感動的。ただし致命的なネタバレになるから伏せるが、2人で永遠の愛を誓う終わり。ではない。多分この子狙いでこのゲーム買ったら喪失感を感じるんじゃないかと思うので注意してほしい。あとホログラムだけど立ちバック。ホログラムと立ちバック。大事なことなの(ry。
大和:杉並の後継者。杉並に比べて主人公と等身大の人間っぽさがあるけどやはり男前。あと杉並エンドならぬ大和エンドもあるがそこで回収できるCGはD.C.ⅱ、ひいては由夢ファンは是非確認して欲しい。
長くなったが以上が面白かったところである。D.C.のファンでなくともやったことがあってそれなりに面白いと感じた方なら是非やって欲しい。
ただ、不満点も当然ある。
不満点(と考えられる点)としては、昼休み及び放課後の移動の単調化。
個別ルートの選択肢カット。
一点の致命的な作画崩壊(遥月)。
天の攻略方法及び結末ぐらいだっただろうか。
作画崩壊は前にも書いたがやはり遥月のそれだ。自分は決してゲームの粗を探すのに必死な人間でもないし、むしろどうさ買ったなら楽しもうというスタンスなので、少々の違和感には目を瞑るし、そもそも気づかない。が、こればかりは少しテンション(深い意味含む)が下がった。
選択肢の激減も個人的には少し残念だったが手間が省けると考えればまだ良いと考えることもできなくはない。
そして最大の問題は天の一連だ。彼女は楽園システムの根幹に深く関わっているためか、他の4人をクリアしてからでないと攻略できない(攻略可能か否かはタイトル画面の変化でわかる。)。かつては音姫や由夢が、ヒロインを最低2人攻略してからでないとルートには入れなかったが、今回は4人となったためすごく道のりが長く、体験版から天が好きだった自分も多少ストレスを感じた。また、もし馬が合わないキャラ(特に依愛)がいたら、そのキャラのシナリオにがっつり付き合うことになるのでなかなかの苦痛になるかも知れない。こかなはもう少し上手いことルート開放を設定してほしく感じた。また、そこまでして開けた天ルートも他キャラルートの疑問点を解決してくれなかったことは少し辛い。この点は続編やFDでなんとかしてほしいと思う。
結局、長所短所を書き綴ったが、結論としては「サーカスの安定した良作」と言うことであり、この点数をつけた。
以上が「1作品としてのD.S.」に対する自分の感想である。
だが、ここからは自分がここまでを前座にしてでも言いたかった「1人のサーカスないしはD.C.のファン」としての鬱憤を書きたいと思う。もしかしたらここまで読まれた方の中には勘付いた方もいるかも知れない。そう。確かにD.S.は良ゲーだ。やってよかった、面白かった。という気持ちもある。
しかし、D.C.シリーズの後継者としてはいささか役不足感が否めないのだ。
D.C.シリーズは枯れない桜を通じた物語が(初代からいきなり眞子という例外があるが)展開していて、その桜の秘密がヒロイン達との恋愛に良いアクセントを与えていった結果、こそばゆい学園恋愛ADVのジャンルを確立していった。
対してD.S.では「枯れない桜」が「楽園システム」となってこのシステムが主人公とヒロインに影響を与えるのだが……それが、D.C.シリーズそっくりそのまんまなのだ。シナリオの起承転結も完璧にD.C.シリーズと同様なので安心して遊べる。何も変わらない。悪く言うと、進化していないのである。
少しわかりにくい例えになるが、このD.S.を端的に表現したら、
「サーカスが14年遅れて作った初代D.C.」
これに尽きる。
この作品に新しいサーカス、サーカスの進化を期待した人間ほど、残念さは大きいと思う。実際に自分も一年前から楽しみにしていて、発売を心待ちにしていたが故に煮え切らない何かをかんじている。
もっとできたんじゃないか。何か桜や魔法を超える秘密やドキドキを仕込んだ物語を用意できたんじゃないか。楽園システムには桜や魔法を上回るポテンシャルが十分あっただろ。
という苛立ちも少し残っていることを正直に告白しておく。なので、D.C.からサーカスに惹かれて、新シリーズに「進化」を期待したファンはこの作品にことごとく裏切られることとなるだろうなぁと思っているのが今の正直な感想である。
あまり愚痴を長々と書くのも気がひけるので後数文でまとめるが、この作品をこれから遊ぶ予定のD.C.ファンは「偉大すぎる先輩に潰された後輩」と寛大な心でプレイされることをおすすめする。また、この文章はあくまで1人の主観であって、全然進化してるじゃないか。と思われる、思われた方もいると思うがやはり冒頭でも書いたが1人の意見として受け取っていただきたい。これで感想文を終えたいと思う。拙い文章に最後までお付き合いいただき本当に感謝します。この感想文が皆さんのお役に立てますと幸いです。
枯れない桜の魔法に一番踊らされているのはサーカスなのかもね。曲芸なだけに。