【注:ガチ変態な感想です】データ数:3、中央値:79(この感想投稿時)というこのゲームの評価からお察しの通り
はい、これは「人を選ぶが選ばれた人にとっては究極になり得るゲーム」です。ある意味こんなに凄いゲームは他にありません。
正直ツクゲーとしてはイマイチです。「レベルを上げれば勝てる」RPGで、マップの広さと要素の多さにやや焦点もぼやけ気味。絵のクオリティもご覧の通りです。
しかし「中学時代辺りの人間関係の生々しさ痛々しさ」にうわあああしたい方にとっては本当に素晴らしい作品(ヒロインはJKですが)。じっさい私も減点法では70点ですが加点法だと90点くらいの感触を得て、点数を付けるのにとても悩みました。
作者さんは実に変態で悪趣味(褒め言葉)ですね。
もう少し具体的に説明してゆきましょう。
ゲーム紹介を見ると、
>少年誌的セクハラの「いや~ん」なノリをなるべく抑え、18禁作品だからこそ書けるテキスト性を押し出しています。
とかよく分からんことが書かれていますが、これはセクハラを笑って済ませるようなものとして描かないという意味です(理恵子が許してあげるのにはワケがあります)。一見明るいながらも底に極めてリアルなシリアスがある。それを描くテキストも端的ながら偏執的にネチネチしており、作者さんは実に(ry
ヒロインの理恵子はきっとクラスで3番目くらいに可愛い女の子。「元気だけが取り柄」のおちゃらけアホキャラを演じていて、よく考えもせず魔法少女になっちゃう痛いところもあります。そういう隙だらけの子に対して男達がどういう目を向けるか、という描写が本当に気持ち悪い。
大人はやっぱりズルイ。立場を利用するなり理由をでっち上げるなりして保身しながら、あるいは理恵子の心の闇(詳しくは後述します)に付け込んでセクハラする。子供はやっぱり単純で残酷。陰キャラが理恵子に劣情を抱いていることがクラスメイト達にバレ、居場所を失って引き籠もる様にはうわあぁってなれます。弱者を喰い物にするイジメも容赦がなく救いがありません。
理恵子は常に明るく前向きで、セクハラされても笑顔を崩さないんですが、これは一種の虚勢なんですね。レイプされた直後ですら「立ち直りが早いのが私の取り柄なんです」と普段通り振る舞うけれど、後でフラッシュバックに苛まれ「将来友達と初体験の話題になったらなんて話すの!?」と人知れずボロボロ涙を流す。そこまでの目に遭ってもつらい魔法少女をやめられないお人好しでもあります。
言うまでもないことですがリアルとリアリティは別モノで、この物語は完全にリアルに描かれているわけではありません。不思議な力で心の闇を暴かれるようなイベントもあります。そうなった時の理恵子は本当にチョロくて、人に見て貰いたいという理由だけで全裸になったり、自分が必要とされている実感が得るためだけに小汚いオッサンとセックスさえする。――ここに至って「私がセクハラされる理由」というサブタイトルの答えが浮き彫りになってきます。ああこの子、自分には何もないという思いに絶望しているのだと。だからどんな目に遭っても哀しいくらい唯一の取り柄=笑顔でいることにしがみつき、刹那的な肯定を得る為に全てを差し出してしまうのだと。そんな弱くて強い理恵子だからこそ、尊厳を奪われ尽くした兎波の救いになれたのでしょう。
物語は見事に収束します。終わりの余韻がまた見事でした。