重度のコミュ障の主人公が、インターネットの世界にダイブしてインターネット上のラウンダー(アバター)と実際に触れ合うことができる『こころナビ』と言う不思議なブラウザを手に入れたことから、コミュ障を改善して恋愛に結びつく話です。本作の最大の魅力はそのキャラクター描写。魅力的に描かれているのはもちろん、それぞれのキャラクターから『個』を感じるので、日常会話も飽きさせません。以下、詳細な感想等。
【グラフィック:80点】
12年前のゲームなので、グラフィックそのものは65点程度ですが
この作品で特筆すべきは、グラフィックとテキストが非常に上手くリンクしていることです。
表情差分一つ取っても、そのキャラクターがしていそうな表情を
見事に描いており、かつ、テキストの進行と見事にリンクしています。
これは立ち絵だけでなく、イベントCGにおいても同様です。
このグラフィックとテキストのリンクは、ライターさんと原画家さんが
相当なこだわりを持ってゲームを制作しないと達成し得ないものなので
個人的には大きな加点要素となっています。
個人的な話になりますが、昨今のエロゲにありがちな
不自然に胸を盛っていない点も良かったですね。
【システム:50点】
あまりにも昔のゲームなので…。
【音楽:75点】
今聞いても悪くないと思います。
【声:採点不能】
極めて一部しかないパートボイスなので、なかったことにしておきましょう。
【キャラクター:88点】
このゲームの肝はここです。
日常会話の中で、キャラクターの個性を魅力を引き出す
ライターさんの力を感じます。
すべての会話からそのキャラクターらしさを感じるので
日常会話を見ているだけでも楽しいですね。
以下、キャラごとの感想。
『ルファナ:70点』
本作のメインシナリオの肝ではありますが、出番も少ないですし
キャラクターの魅力は弱かったですね。
『小春:90点』
最高にいじらしくて可愛いかったです。
また、初体験シーンで最後まで痛がっているにも関わらず
主人公と初体験すると言う好意への満足はあったりと
生生しさと、主人公を好きと言う気持ちが凄く伝わってきて良かったです。
IRIS上でのラウンダーを介してのHシーンにおいても、ラウンダーに嫉妬する等
とても人間らしくて魅力的なキャラクターでした。
『凛子:85点』
家族愛としての話になりますが 日常会話の淡々とした態度の中にも
主人公を別に嫌っているわけではないと言う感じが、ちらほらと感じられるのが良いですね。
当日は実妹とのシーンは描写禁止だったらしく
本人同士の本番シーンがないという異色のルートになっていますが
その分、ラウンダーを介したシーンやPCを通したシーンが引き立ってましたね。
『アイノ:65点』
キャラクターは物理的に可愛いのですがシナリオが不遇なこともあり
あまり魅力を感じられませんでした。
『みまり:88点』
シナリオが恵まれているとは言い難いですが、主人公との相性がばっちりな印象で
とても仲の良い夫婦になりそうという意味で、個人的にとても満足でした。
『夢:55点』
ルートそのものもそうですが、キャラクターとしても色々と残念でした。
『主人公:90点』
このゲームの主人公は典型的なコミュ障からスタートするのですが
「こころナビ」との出会いを経て
徐々に前向きで魅力的な人間になっていく姿が眩しいですね。
そんな変化を見せられると、主人公とヒロインが付き合うようになるのも頷けます。
【シナリオ:70点】
一般的に言うところのメインシナリオは、それ程面白いものではないですね。
特にアイノルートと夢ルートは擁護のしようがない感じです。
【総評】
このゲームの魅力はキャラクター描写にあります。
そこをしっかり抑えて、所謂メインシナリオに期待しすぎず
日常パートを含めてテキストをしっかり読みながら
キャラクターの反応を楽しめば、このゲームを最も楽しむことができると思います。
個人的には、発売から12年経過した今でも、買ってよかったと思えるゲームでした。