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dontiさんのヒマワリと恋の記憶の長文感想

ユーザー
donti
ゲーム
ヒマワリと恋の記憶
ブランド
MORE
得点
87
参照数
1610

一言コメント

基本はリアルな青春学園モノです。ほとんど会話したこともないクラスメイトに恋をするような、等身大の学生の恋愛を描いている点が好印象。また、それだけでは終わらない伏線も。以下、項目事の評価。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

【グラフィック:85点】

基本的には、普通に綺麗なグラフィックなのですが
イベントCGを設ける場面が上手く、満足度が高い作品でした。

例えば、主人公とヒロインが付き合い始め、初めて手を繋ぐ場面等、
ちょっとした関係性の変化があった画面でイベントCGが設けられています。

その他の作品ではスルーされがちな場面ですが
恋愛を描くゲームにおいては、これらのちょっとした関係の変化は
とても重要な場面だと思うんですよね。

これらの場面を大事しているこのゲームは、私をとても満足させてくれました。



【システム:70点】

普通です。



【音楽:85点】

ED曲の『First Love』は曲単体でも良い曲ですが
作中にも関連した曲で、より一層好きになれました。



【テキスト:90点】

この作品において、私が最も満足した点です。

一言感想の繰り返しになりますが
ほとんど会話したこともないクラスメイトに恋をするような、
等身大の学生の恋愛を描いている点が、エロゲーでありそうでない要素で、とても満足出来ました。
会話の内容も同様です。

このような作品がもっと増えて欲しいですね。



【シナリオ:85点】

茜に偏ったシナリオなので、賛否両論ありそうです。

短くカットされているカナ&汐里ルートは、パンチに欠けるのは否めませんが
テキストとイベントCGの差し込み方等々で演出されていたので
私はそれなりに満足することはできました。

亜依ルートは、主人公が本当に亜依のことを考えて行動しており、好感が持てました。
このルートは、主人公の亜依に対する考えが、現実の主人公の茜に対する考えを全く逆にしたような構成で
現実の主人公にとっては皮肉のようなルートでしたね。
だからこそ、亜依ルートを経験した主人公が、TRUEのような行動を取れる原動力になったとも言えますが。


茜&TRUEルートは、伏線の総回収と言う意味合いが強かったように思います。
体験版の範囲から、『茜に偏った作品だな』とは思っていましたが
最後まで通して茜に偏ったゲームだとは予想していませんでした。
良い意味で期待を裏切られましたね。

全体としては、風呂敷を広げすぎずに、いい塩梅にまとめているなという印象です。



【キャラクター:80点】

ラブリーエンジェル、嫌いじゃなくなくない?



【総評】

リアルな等身大の学生の描写と、ちょっとした心境の変化を大事にした作風が
個人的にとても気に入った作品でした。
今後もこのようなテキストを書いてくれるのであれば
引き続き注目していきたいブランドですね。