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dontiさんのフレラバ ~Friend to Lover~の長文感想

ユーザー
donti
ゲーム
フレラバ ~Friend to Lover~
ブランド
SMEE
得点
95
参照数
2079

一言コメント

――『恋愛シミュレーション』は、SMEEが完成させる…。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

【グラフィック:80点】
原画家さんごとに違いはありますが
ヒロインの可愛らしさを引き出す塗りの力で上手くまとまっています。
一部ヒロインのCGが、角度によって崩れることがありますが
その分立ち絵が良いので許容範囲内です。



【シナリオ:95点】
昨今のエロゲには珍しい、
主人公とヒロインが『ただの知り合い』と言う関係からゲームがスタートし
『友達→友達以上恋人未満→恋人』
と徐々に移り変わっていく過程を楽しめるゲームです。

また、関係を深めていく過程は
全て主人公の意志や行動によって進められていくと言う点も特徴です。
物語の流れに任せて自然と恋仲になるのではありません。
主人公が興味を持ったヒロインにアプローチをかけて、恋仲に発展するのです。

特に理由もなく、勝手にヒロイン達が主人公に惚れるゲームに飽き飽きしていた私が
求めて止まなかった構成のゲームです。


世界観やシナリオそのものも、現実が基準となっており
主人公やヒロイン達も(一部例外はありますが)
現実に存在していてもおかしくない範疇に収まっている等身大の学生であるため
より、現実の恋愛をシミュレーションしやすいように作られています。



【システム:95点】
特筆すべきはFriendパートの
たくさんの選択肢の中から話題を選択する形式のシステムです。

Friendパートでは、話題を2階層の選択肢から選びます。

例:
(1)
 『世間話』
 『学校生活』
 『休日』
   →『世間話』を選択

(2)
 『毎朝何時頃に起きてる?』
 『久々に同じクラスになったけど……どう?』
 『最近、天気めっちゃいいよな』
   →選択した話題で会話開始
 (選択肢によっては、会話の中で更に選択肢が発生)

この選択の結果により、ヒロインの好感度が上昇し
好感度に応じて各種イベントが発生します。


ここでとても重要なのが
『一度(1)の選択肢を選ぶと、もう(1)の選択画面には戻れない』ことです。
システム的に、一つ前の選択肢に戻れるように作ることは簡単だっただろうと思います。
ならば、なぜ『戻れないように作ったのか』が問題となってきます。

ここから先は私の想像でしかありませんが
選択肢に重みを持たせ、プレイヤーにじっくりと考えさせることで
より現実に則した『恋愛シミュレーションゲーム』に
するためではないでしょうか?

現実であれば、気になる子に対して
 『どんな子なのか、もっと詳しく知りたい』
 『相手の興味を引く話題で楽しませてあげたい』
 『もっと仲良くなりたい』
 『変な話題を振って嫌われたくない』
等々、様々な考えを元に、どんな話題で話しかけようか悩むと思います。

このように悩んでいる状態をゲームに置き換えた形が
Friendパートの選択システムなのだと私は考えています。

また、各ヒロインの個別ルートに入るための攻略難易度はかなり低めに設定されており
選択肢を選ぶ際には、『攻略するための選択』ではなく、『プレイヤーの好きな選択』が可能な点も見逃せません。
全てはプレイヤーの意志に任されているのです。


Friendパートの選択肢を『各ヒロインの個別ルートに入るための作業』と
捉えている方にとっては、とても不評であろうことは目に見えていますが
私は、選択肢を選ぶ度に『どの話題を選択すればヒロインと仲良くなれるのか』や
『ヒロインにこんなことを聞いてみたい』等
じっくり考えてプレイしたので
より一層、恋愛に至るまでの過程である、Friendパートの醍醐味を味わえたと思います。

もし、このレビューをご覧になっている方の中に、『フレラバ』を未プレイの方がいらっしゃったら
是非、私と同じ気持ちでプレイして頂きたいです。
このゲームを数十倍楽しめると思います。



【キャラクター:90点】
恋愛に至るまでの過程をじっくり描いている効果が大きく
各キャラクターどっぷりハマりました。
私個人としては、『ゆずゆ』と『陽茉莉』がお気に入りです。
キャラクターの詳細はネタバレになりますので
最後におまけとして記載します。



【声:90点】
『ゆずゆ』の、初めは粗暴なものの、デレた後との落差をうまく表現されていた、秋野花さんをはじめ
どの声優さんもキャラクターにぴったりでした。



【総評】
私がずっと求めていた、恋愛までの過程をしっかり描いている数少ないゲームである。
この1点だけでも十二分に満足出来ますが
それだけでなく、あらゆるポイントで『恋愛シミュレーションゲーム』に特化したという
こだわりを感じる作品でした。

Friendパートはシステムとしては素晴らしかったと思いますが
毎回ヒロイン会話する場所が校舎の廊下で1:1の状況だったり
会話終了後の、好感度の変動によって出るセリフが
前の会話とうまく繋がらない場合があったり等
演出面ではまだまだ改善できるポイントがたくさん有ると思いますので
SMEEさんには、是非、またこの路線で次回作を作って頂いて
今作のシステムを更に良いものに昇華して貰えたら嬉しく思います。



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以下、少しネタバレを含む、各キャラクターの感想です。
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以下、少しネタバレを含む、各キャラクターの感想です。
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この感想は、私個人の好みに基づいた感想ですので
特定のキャラクターを非難するものではありませんので
悪しからずご了承ください。


【ゆずゆ】
私が最も気に入ったキャラクターです。

出会ったばかりの粗暴な感じと
Loverパートの入ってからのデレっぷりとの落差もツボでした。

また、すごく個人的な話になりますが
本心を隠しているせいで、周りに誤解されて損をしている子を放っておけない質なので
自然とゆずゆに目が向きました。

Loverパートに入ってからの
私(主人公)だけを見てくれる感じが独占欲を満たしてくれましたし
ゲーム全般を通じて、不慣れな人付き合いに徐々に慣れて
ゆずゆが成長していく様を見ているのも楽しかったです。


【陽茉莉】
私が2番目に気に入ったキャラクターです。

キャラクター自体の可愛さはもちろん
しばらく距離を取っていたことによる余所余所しさと
幼馴染としての慣れ慣れしさとの狭間で揺れ動く
陽茉莉の心情の変化がたまりませんでした。

幼馴染としての慣れ慣れしさを描く過程において
主人公と陽茉莉のそれぞれの親が良い働きをしていたと思います。

最後も綺麗にまとまっていますので
広く支持されるキャラクターだったと思います。


【理奈】
プレイ前に最も期待していたキャラクターでした。

友人から始まる恋と言うことで
恋人超えた、まるで夫婦のような、お互いが通じ合った恋愛を期待していました。

Friendパートまでは期待通りだったのですが
Loverパートに入ると、主人公への依存が激しく
私の好みには合いませんでした。

しかしながら、自分に自信がないからこそ、自分を磨くと言う人は良く見かけるので
ある意味、最もリアルなキャラクターだったと思います。


【岬】
岬は、このゲームに最も則していないキャラクターだと思います。
存在自体もそうですがシナリオにも現実味が無く
番外編とも言うべきルートでした。

男子学生が脳内で考えた
理想的な天然キャラを具現化したようなキャラクターとでも言えば良いのでしょうか。

ただし、某おっぱい時計のシーンは、本気でお腹を抱えて大爆笑したので
このルートも必要不可欠だったと思います。