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dontiさんのヤバい! ―復讐・闇サイト―の長文感想

ユーザー
donti
ゲーム
ヤバい! ―復讐・闇サイト―
ブランド
Waffle
得点
85
参照数
5624

一言コメント

よく出来た報復ゲーです。『報復対象を適当にレイプして、相手も自分も気持ち良くなって終わり』と言う、面白くもなんともないスタイリッシュ報復ゲーとは違い、主人公の行動が報復と言う目的に対して一貫した行動を取っているのが印象的。廃墟に監禁してのSM中心のプレイになるので、その手の属性がある方でないと厳しいかもしれません。以下、項目ごとの評価等。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

【グラフィック:75点】
塗りはエロいですが、個人的にあまり好みではないです。


【音楽:80点】
雰囲気が良く出てると思います。


【声:80点】
『美涼』役の東かりんさんが、ウザくてクズくても色気のある声で最高でした。
叫びつつも、可愛さ・綺麗さ・色気等を出せる声優さんは貴重だと思います。
『文乃』もキャラに合った良い声でした。
『利奈』は声に色気がなくて微妙でした。


【キャラクター:85点】
主人公の『報復』に対する首尾一貫した行動。
3人ともクズ揃いの『報復対象』達。
それぞれ個性的で良いキャラクターが揃っています。

特に『美涼』は、クズ・反抗的・デカクリ設定・家庭の事情等々、際立って良いキャラでした。
逆に『利奈』は、報復対象としても微妙、キャラも微妙、おまけにブラコンで気持ち悪い、頭もおかしいと
個人的に様々な意味でどうしようもないキャラでした。
『文乃』は(このゲームの中では)普通(の悪役)です。


【シナリオ:85点】
一言感想でも書きましたが『首尾一貫した報復ゲー』、この一言に尽きます。
『報復対象を適当にレイプして、相手も自分も気持ち良くなって終わり』と言う、似非報復ゲーが溢れている中で、
しっかり最後まで『報復』と言う目的からブレることのない主人公に好感が持てました。

この主人公は、物理的な刺激で快楽を感じることはあっても、決してそれに溺れることはないんですよね。
全てのHシーンも、主人公にとっては、あくまで報復のための行動でしかないのです。

特に印象的なシーンは、『美涼』の巨大ディルド挿入シーンです。
『美涼』が実父に性的虐待を受けていた描写が入り
一プレイヤーとしても、ほんの少し同情したくなるシーンなのですが
そこで主人公が容赦無くディルドを蹴り上げて、ディルドを無理やりねじ込む描写が秀逸でした。
最愛の妹を殺された主人公が、そんなことで同情するわけがないんですよね。


【総括】
最後まで報復を貫き通してくれるゲームは貴重なので、とても満足できました。

エロ方面でも、『美涼』のデカクリ設定等、常時拘束されたシーンが山盛り、暴力描写もしっかり等々
コンセプトがしっかりしていました。

更に、ネット配信のコメント勢に、性的に満足した描写をフォローさせることで
主人公はあくまで報復の化身として描かれている等
ただのエロシーンを盛り込んだ抜きゲーとは思わせない工夫が随所に見られました。

『報復ゲー』として、とても評価しています。


【蛇足】
個人的には『グリムガーデンの少女』に続けてプレイしたいと思わされた作品でした。
『グリムガーデンの少女』では『ルナ』が罪に対する償いの描写がほとんどなく
個人的に『ルナ』を許したいのに、その罪の大きさからどうしても許せないと言う意識から抜け出せずにいました。

本質的なクズさはさておき、犯した罪の重さから考えれば
『ルナ』は『ルナが殺してきた人達の遺族』にとっては、
このゲームにおける『主人公』にとっての『報復対象達』のような存在なんですよね。

どんなことがあろうが決して許すことの出来ない存在。
その不満をこのゲームで気持ち良く解消出来ました。