シリアスなシナリオゲーです。ハーレムものじゃないにもかかわらず、主人公が無能という極めて稀な作品。今まで戦争に全く無関心だった一般人が、戦争や陰謀等に巻き込まれる中で四苦八苦する様を描いています。私はストーリーが面白いと感じましたが、主人公の暴走が酷いため、自分を主人公に重ねるタイプの方にはオススメできません。逆にストーリーを客観視して楽しめる方にはすごくオススメです。以下、この作品の私の楽しみ方について。
【『弱さ』を楽しむ】
私がこの作品で楽しむべきだと感じたのは、各キャラクターの『弱さ』です。
・『主人公・庫元・唯奈』達の、一般市民という立場での弱さ。
・『ましろ・志乃・恋歌』達の、自衛軍の工科学校生としての弱さ。
・特殊な立場にある『小夜子』独自の弱さ。
各キャラごとに過去の出来事が絡まった複雑な弱さを持っています。
その弱さを抱え、戦闘や陰謀等に巻き込まれた時に
各キャラが何を考え、どのような行動を取るのか。
そこに面白さがあると思います。
当然、弱い人間が必至に考え行動したところで
最適な行動をとるどころか、逆に状況が悪化してしまうことも多々あります。
しかし、それこそがこの作品の醍醐味だと思います。
一連の事件の中で、主人公やヒロイン達が何を考え
それらが終わった後にどのような決意に至るのか?
という点も見逃せません。
【『子供』と『大人』の対比】
上記にあげた7キャラの弱さと対比する形で
『区隊長・環・主人公の母親』等の強さや暖かさも描かれており
『子供』と『大人』の違いを感じる作品でもあります。
この対比があることで、より主人公達の『弱さ』が引き立っています。
【総評】
この作品をプレイし終えた時に感じたのは
「今時珍しいタイプのゲームだな」ということです。
登場人物(特に主人公)が全知全能で、
あっという間に問題を解決してしまうようなストーリーが溢れている昨今において
ここまで弱い主人公や登場人物が描かれたゲームは珍しいと思いました。
主人公が正しい行動をとり続け、問題をさくさく解決していくようなストーリーを期待している方や、
主人公に自分を重ねてゲームをプレイしたい方にとっては期待はずれかもしれませんが
新たな視点でこのようなゲームをプレイしてみるのも、面白いのではないでしょうか?
私個人としては、2012年に発売されたゲームの中で
最も面白いゲームの一つだと思っています。