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dmshさんのきまぐれテンプテーション2 ゆうやみ廻奇譚の長文感想

ユーザー
dmsh
ゲーム
きまぐれテンプテーション2 ゆうやみ廻奇譚
ブランド
シルキーズプラスWASABI
得点
83
参照数
192

一言コメント

テンポが良い会話や飽きさせない探索要素は健在。主人公とアンネが強すぎるのもあり、ホラー要素は薄まった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

⚫雑記
特にこれと言って悪い点はありませんでしたが。
前作のよりも序盤のテンポが悪くなり、シナリオの意外性とホラー要素は減ったと思います。


そもそも、このゲーム。
アンネの可愛い姿や、主人公とアンネの関係性の変化なんかが見たい人。
(このゲームをアンネのファンディスクだと思っている人)
前作と同等のボリュームやシナリオを期待する人。
(このゲームにシナリオや構成を求める人)
どちらを軸にするかで評価が変わるゲームかもしれません。
私は後者よりです。

他の評価にもあるようにシナリオは無難とか安定という言葉がしっくりきます。


前作と異なり。
物語の舞台は、密室から屋外。
能力により、裏世界と現世をノーリスクで往来可能。
千代も美代も故人なので、一刻も早く助ける必要性が薄い。(故人だとわかるの終盤ですけど)

と、外に出られない閉塞感・有限の食料や時間への焦りなどが前作より格段に低いです。
また、対面で会うことができ、協力してくれる現世のコハルとキルトの影響もあって、孤独感も少ないです。
挙句、主人公もアンネも全力を出せれば神も一瞬で倒せます。直接攻撃できるようになったら一切苦戦しません。
序盤は事情もあり主人公が弱体化していますが、ピンチになるかというと特には……。
そのため、あらゆる面でホラー要素はマイルドです。

怖すぎたりショッキングすぎたりするよりかはいいかもしれませんけれど、もう少し心理的恐怖は演出できなかったんでしょうか。


前作は続編が作れるかな?くらいの終わり方でしたが。
今作は神の誕生経緯、陰陽寮の隠蔽、30年前の事件の関係者など、真相不明の出来事が多々残っております
続編への布石でしょうか。


文句みたいなことばかり書きましたがいい点もあります。

探索要素は気になる箇所をクリックする、ポイント指定方式から、調べるコマンドで自動で調べる方式です。
状況を変えるためのコマンドもあり、前作とは違ったテイストでの探索を楽しめます。
これ以上何もなければ、調査済みのマークが出たりとユーザーライクな点も評価できます

前作ではルート分岐や会話の正解が複雑で自力での攻略は難しい面もありましたが、今作は明らかな地雷選択肢を踏まなければ簡単にTRUEENDにいけます。
探索順によってはノーマルエンドに行くこともあると思いますが、違和感を覚える箇所は明白なので自力の再トライは難しくないです。

美代と千代が30年前に既に故人となっており、美代の魂のみ現世に帰還した理由が分かる終盤は面白かったですし、感動的でした。