TSエロゲ史に名を残すであろう名作。 シナリオ・グラフィック・キャラクター・テキスト・声優の演技といったすべての要素が非常に高いレベルで完成されている。
●はじめに
私はTSファンとして本作に非常に期待しておりました。
なにしろ本作は元アリスソフト所属で現在はフリーである、LIBERTYWORKSの永元千尋さんが企画原案を行っております。
この方は商業TSエロゲの開発の難しさをブログで考察しており、機会があれば自身の企画でTSエロゲを作りたいと度々語っておりました。
ブログの内容は割愛しますが、現状のTSエロゲの課題や問題点を鋭く考察しており、TSエロゲを取り巻く厳しさを実感されていたことがわかります。
「TSモノのまともなエロゲってほとんど出たことない」とすらブログで書かれているほどTSに対する熱意を持っている方でした。
(TSゲーは外れが多い印象ですが、流石にほとんど出たことないは言い過ぎな気もします、夢恋転生みたいな良いTSゲーもありますし……これもう15年前か……)
LIBERTYWORKS名義でLOVE COREというTSエロノベルを出しているのですが、心身ともにTSして女性に堕ちていく描写がリアルに丁寧に描かれておりTSファンの私から見ても本当に素晴らしい作品となっていました。
ですので、LIBERTYWORKSが企画した作品であればTSエロゲの課題を克服しTSファンのツボをついた内容になると確信しておりました。
業界では「TSモノは売れない」というジンクスも存在するようですが、それを覆し更にTSファンの心も掴む作品になってくれると。
しかし、本作は全シナリオを手掛ける予定であったLIBERTYWORKSが事情により開発途中で離脱、企画や資料をもとに別のシナリオライターがシナリオの作成にあたったという経緯があります。
企画やコンセプトは期待できるものの、体験版がなくシナリオやテキストの質が不明なことも発売まで不安な要素でした。
そのような経緯もあり期待半分不安半分の本作でしたが、TSファンの目線から見て極めて満足度の高い内容でした。
私自身TSエロゲはいくつかプレイしているものの、あまりエロゲをプレイしないため的外れな意見もあるかもしれませんが、自分の感想を文章にして残しておくためにも、乱筆乱文ながら感想を記しておこうと思います。
また、前述のLOVE COREは本作の精神的前編ともいえる内容であり、類似点や共通点など多く存在しています。
この感想では本作とLOVECOREの類似点や共通点に対する感想もあります。
LOVECORE本編のネタバレにはならない程度に触れますので、興味のある方はこちらもご覧になることをお勧めします。
TS好きなら、活字が苦手な方でも楽しめると思います。
(本作と比べると幾分ダークな作風ですのでそこは注意してください)
●評価点
・コンセプトに違わぬTSの魅力を前面に押し出した内容
公式HPでは以下の3つをコンセプトにしています。
-女体化していく過程を徹底描写!
-男の感じる、女性の快感!
-原画家ベコ太郎の描く可憐な世界
これら全コンセプトが看板に偽りなしであり、TSエロゲの魅力を存分に楽しめます。
-女体化していく過程を徹底描写!
徐々にTSしていくというコンセプト自体、TSエロゲで取り上げられたことがほとんどないジャンルです。
公式HPを見ればわかるように、主人公のみあには女体化前期後期完全体と3パターンの進行度が用意されています。
女体化前期に華奢になった身体で小さくなってしまった自分の性器をいじるCGや女体化後期に女物の下着を身に着けているCGなど進行度ごとに用意されているCGが変化の没入感を高めてくれます。
今までテキストで表現されたことはあったかもしれませんが実際にCGで表現してもらえるととても嬉しいです。(TSモノで変化を描くには相応のコストが必要なようで省略されがちという事情もあります……)
身体だけでなく心も段々と女性的になっていくことを強く印象付ける内容で本作ならではの長所です。
-男の感じる、女性の快感!
TSエロゲ最大の醍醐味です。(少なくとも私はそう思います)
私がTSエロゲのHシーンに求める要素は概ね以下の通りです。
○心は男なのに身体は女だから、男の時の何倍も感じて快楽の虜になってしまう
○女性の快楽に耐えられず、心では拒否しても身体は逆らえずHなことを求めてしまう
○男にはない未知の器官であるクリトリスや膣や子宮から感じる、暴力的で強烈で圧倒的な快楽に男性としての理性が負けてしまう
○大きくなった胸やクリトリスや膣や子宮から感じる、単純な男性の性的興奮とは違う、多様で複雑な快楽の数々に耐えられず嬌声を上げてしまう
○男みたいに射精すれば終わりじゃないから、絶頂しても身体の熱や興奮が治まらず何度も絶頂してしまう
○男では絶対に得ることのできない強い快楽と多幸感を味わう
本作ではこの要素を満たしたHシーンが多数あります。
CGやテキストの質も高く、細かな心身の変化に合わせたHシーンは非常に満足度の高い内容です。
印象に残ったHシーンやセリフなどは後述します。
-原画家ベコ太郎の描く可憐な世界
ベコ太郎さんのご実績やご活躍は存じませんが、可愛らしさとHさが高レベルでまとまっています。
Hシーンもそれ以外のイベントシーンのCGの質も高いと思います。
後述しますが、相当にこだわり抜かれたイベントCGの数々は必見です。
・TS好きのツボを押さえた数々の日常描写やHシーン
本作の大きな魅力です。
夢の世界ではいきなり女性になってしまった困惑を描き、現実では徐々に女性になることの困惑を描いています。
それぞれの角度からTSを描写することで、TS好き垂涎の多種多様なTSネタが楽しめます。
一色ヒカルさんの演技力の高さを活かして声付き堪能できるのも本作のポイントです。
大きくなった胸の大きさに悩んだり、女物の服を着ることを嫌がる定番描写はもちろん。
以下のように手を替え品を替えTS好きの求めているシチュエーションのオンパレードです。
○仕方なく女性としての作法を身に着けて、少しずつ女性としての作法が普通になってくる
○夢の世界に長くいると、男女の骨格の違いから現実の身体を動かすのに違和感がある。
○食が細くなったことで、女性になったことを実感する
○男性からの性的な目線を感じて自身が女性であることを肌で感じ取る
○男性からの目線を気にし、危険な目に遭わないためと言い訳して女性ものの下着を着ける
○現実のTSが進行し声が変わってしまい恋人に電話しても信じてもらえず焦燥する
○婚約者だったことを証明しようと必死にお互いの誕生日を伝え、初デートの思い出を話す
○筋力が落ちたため恋人をベッドに運ぶこともできず無力な女性の身体を恨む
私の気に入った描写を何点か挙げましたが、とてもじゃありませんが全部は書ききれません。
もちろんHシーンの充実度も非常に高いです。
みあは婚約者持ちで雪へのプロポーズにも成功しているため、精神的に男性としての自尊心が高く、本編開始前から雪とHを何回もした経験がある相当なリア充男性です。
男性の時の姿もメカクレではありますが描写されているので、没入感があり感情移入しやすいです。(公式HPの登場人物紹介では目ありスーツ姿のモノクロラフデザインを見ることができます、はっきりと描写して欲しいという方はこちらを見て補完しましょう)
この婚約者持ちの女性経験のある男性がTSしたからこそ際立つ、TS後のHの数々も本作の特徴です。
女性の身体でHな行為をするたびに、男の時に同じことをした雪がどう感じていたか考えてしまうなど根底に男性としての経験があることがとても良かったです。
男のHを知っているからこそ描ける、男の時とは感じ方も強さも全然違う女性の快楽、耐えることも手放すこともできずに何度も絶頂し、心を置き去りにして身体は快楽を求めてしまうHはTSモノの神髄を余すことなく味わえます。
快楽を否定しようとする必死な姿や、心ではどれだけ拒絶しても女性としての快楽に抗えずHなことを拒絶できないで、怖いくらいイキ続けてしまう女性の身体に翻弄される姿は最高です。
また、女体化前期に前立腺やお尻を弄られるHもあるのですが、後に同じ挿入でもお尻と膣では全然違う、女の身体の方が断然感じやすい!というシーンもあり物語を通して男女の感じ方の違いを懇切丁寧に濃密に描写しています。
精神のTSが進行することも男性とのHに抵抗がなくなっていくことも、女性の身体のせいにすることで自身のアイデンティティを守ろうとする姿も健気で愛らしいです。
またHシーンについては、序盤は快楽調教的な愛撫がメインで、挿入を伴うセックスは中盤、女性の身体となってからのオナニーは後半と、序盤にオナニーイベントの入りやすいTS物としては割と異色の作風かもしれません。
そして、双子の悪魔からの快楽調教が中盤までのメインとなるため3Pが多いです。
攻め役が二人いることによるシチュエーションの多様性やエスカレートしていくHでマンネリ感や水増し感は一切感じませんでした。
みあの感じ方や気持ちの変化によって緩急をつけて行われるHシーンの数々は捨てる所なしていって良いです。
双子の悪魔の掛け合いや押し引きによって主人公の心が巧みに堕とされていく様はTS好き必見です。
私は気になりませんでしたが、TS前に男性の身体で触手責めに遭うなど人を選ぶかもしれないシーンもあります。
しかし、この際に受ける快楽こそが女性との違いを感じるための第一歩であり、男性の時の快楽を知っているからこそ女性の快楽がより強調されるというシーンなので必要性は高いです。
(LOVE COREの主人公もTS前後に魔女に触手責めされるという展開があります)
一押しのHシーンを一つ紹介すると、みあの身体のベースとなったクラーナがデミトフとHをしている光景を双子の悪魔に見せられて、クラーナのことを羨ましいと思ってしまうシーンがあります。
散々クラーノとデミトフのエッチを見せられ焦らされ、身体の火照りに我慢できずに乱暴に「分かるだろ!セックスしたいんだよ!」と怒鳴りつけた後、すぐに懇願するような女口調で「犯してください」と女性の身体から湧き上がる甘い誘惑に負ける姿は快楽堕ちを見る楽しさを心ゆくまで満たしてくれます。
しかし、主人公は雪という婚約者がいるからこそ、理性が快楽に負けて嬌声を上げ何度も絶頂し女性としてのHを受け入れたとしても、雪と幸せになることを忘れないため、完全にメス堕ちするのは本当に終盤です。
このため序盤にメス堕ちしてあとは普通の女性と変わらないようなH、というのは本作とは無縁です。
本作は婚約者持ち社会人男性がTSするという設定をうまく活かして、「男性と女性では性的興奮や快楽の大きさが違う」ことだけではなく、「男性と女性ではセックスの役割が違う」「男性と女性では社会での役割が違う」という一歩踏み込んだ内容となっています。
(LOVE COREでも主人公は彼女持ちであり、男女ではセックスや社会的役割が違うことにも触れる内容となっています)
・心身共にTSする過程を描いたシナリオ
みあが女性になっていく困惑と快楽に溺れていく過程がしっかりと描かれています。
前述のようにみあは婚約者持ちの男性ということもあり、元に戻りたいという気持ちが人一倍強いです。
譲れない一線を越えられプライドが失われていくたびに(名前を失ったり、現実の身体のTSが進行したり)、TSの元凶である悪魔に怒鳴り散らして感情を爆発させる姿には物語に引き込まれますし、みあに感情移入しやすい内容となっています。
それほどメインシナリオには期待していなかったのですが、魔女裁判や悪魔や夢の世界をモチーフにしたサスペンス風味のシナリオはTS抜きでも面白いです。
あらすじとしては、雪へのプロポーズは成功したものの彼女と幸せの余韻に浸る間もなく、雪が仕事の都合で帰国することになり、心の隙間や欲求不満に呼応するように夢の世界で悪魔が現れて元の名前を奪われ、みあという名前と女性の身体を与えられることになります。
社会に出て仕事に追われた経験がある人ほどリアリティとフィクションが上手く混在していて本作に引き込まれる導入なのではないでしょうか。
(LOVE COREでも序盤に社会人の主人公が彼女に後回しにされ、肉体的精神的に満たされない心を魔女に付け込まれてTSします)
みあの身体がクラーナをベースにしている理由も、クラーナの魔女裁判の身代わりとなるためにという理由付けがあり、女性の姿になることに関してはそれなりに説得力があります。(メタ的にはみあとクラーナを同一のグラフィックで使い回せるようにするための設定だと思います、TSゲーで変化を丁寧に書くと相当なコストがかかるそうなので)
みあは女の身体にされたことを激しく拒絶しますが、純粋で人を疑うことを知らないクラーナの性格に絆され、人助けということもあり魔女裁判が終わるまで女性として振る舞うことを渋々了承します。
女性が困っている状況を放って置けない、みあの優しさと男らしさが出ており、性格の良さが窺い知れます。
魔女裁判で代役をするクラーナの存在はTSを語る上でも大きく、クラーナの身代わりとなり魔女裁判を切り抜けるために、みあが淑女の振る舞いやテーブルマナーを覚えざるを得ない状況を作ってくれます。
クラーナは本当に善意で主人公に淑女としての振る舞いを覚えてほしいと思っており、その善意に応えようと自ら女性らしい仕草を覚え無意識のうちに女性らしい作法をしてしまうようになることはTS的には必見ポイントです。
快楽で主人公を心身ともに女性にさせようとしてくる悪魔とは異なり、クラーナは立派なレディになれるようにと心からの親切心で接してくれる優しい母親のような女性です。
まるで北風と太陽のような温度差によって、みあの価値観や心の揺れ動きが更に激しくなり男としてのプライドや自尊心がどろどろのぐちゃぐちゃにされていくこともストーリーの見所です。
また、本作の出来事は海外旅行中ということもあり、TSの進行はパスポートや身分証が使えなくなってしまうことに繋がり、日本に逃げることはできないという状況の作成に一役買っています。
TSが進行することで自分を証明するものもなく、元の名前すらも思い出せないという主人公の焦りを増幅させ、早く魔女裁判を終わらせたいという動機付けになっています。
(LOVE COREでも主人公が物語中盤にTSが完了し、以降で社会的肉体的に女性であることを実感し苦悩や葛藤を本格的に味わうことになるという少々異色の構成となっており、TS後に新たな名前を与えられ以前の身分証や名前を失うなどストーリーラインでの類似点は多いです)
本作のシナリオはTSモノとして守るべきお約束は守り、破ってもいいお約束を破るのが上手い印象です。
思っていた展開を上手く外しながらも心身ともにTSする過程を描くシナリオに食い入るように見てしまいました。
・生理シーンがある
TS好きのツボを押さえた数々の日常描写の項で触れても良かったのですが、個別項目として評価点に挙げます。
生理シーンは生々しいとか気持ち悪いからいらない、という方もいるでしょう。
TSエロゲでも生理描写がないこともありますが、私は絶対に必要だと断言します。
生理は自分の身体がただの「女性」ではなく「妊娠可能な女性」であることを肉体的にわかる超重要イベントです。
生理から妊娠することを意識して、男性とHをすれば妊娠してしまうということを嫌でも考えることで、心情を強烈に揺さぶるTSモノのマストシチュエーションなのです。
股から血を流して生活する訳にも行かず生理用品を使い、生理痛に耐える。
男ならば絶対に一生経験するはずのない痛みと気持ち悪さを味わい、対処法がわからず慌てふためく姿は女の生活に慣れてきた時期に襲い掛かる新たな壁としてとても重要なイベントなのです。
話を本作に戻します。
本作では立ち絵の差分ではあるものの実際にパンツ越しに生理の血を流すCGも存在します。
クラーナから優しく介抱され生理の対処法を教えてもらい、生理痛に効くお茶を飲んで生理が終わるのを待ち、生理の血で男性の部屋を汚すことがマナー違反であることを教えられたりと、男の時では絶対に経験しようのないことや知識を得るシーンなんて最高です。
生理の痛みを知ったみあは、雪が生理になったときはもっと気を遣ってあげようと思うなど、この経験が雪への愛情に繋がる純愛的フレーバーがあるのも嬉しいです。
そして、夢の世界での生理を経験した後に現実世界での完全な女体化が完了するところも生理至上主義者として見逃せません。
本作の生理描写は1回のみで尺もそこまで長くありませんが、完璧な出来です。
(もちろんLOVE COREにも生理描写があります)
・テキスト
日常からHシーンまで違和感なく読みやすい文章です。
日常の定番シーンやみあと雪の純愛描写はもちろん、困惑しながら行う序盤のHからとろとろに蕩けたHまでテキストを楽しめます。
誤字や脱字もなかったです。(もしあったらすみません)
シナリオ執筆予定のLIBERTYWORKSの離脱や、ライターが二人いることが不安事項でしたが、不満はほとんどありません。
ライターのご実績やご活躍は存じませんが、TSモノの魅力を書ける素晴らしいライターだと思います。
・グラフィック
前述のコンセプトでも書きましたが綺麗で可愛らしくそしてHなCGが目白押しです。
特に違和感を覚えるようなグラフィックなどもなかったです。
喜びや快楽から涙を流しているCG(とテキスト)描写の多さも注目でした。
(LOVE COREでも涙を流して女性の快楽を享受する展開が散見されたため、そのようなCGの指定があったと推測しています)
・声優
エロゲ声優はほとんどわからないのですがどの方もキャラクターに合っており良いと思います。
特筆すべきはみあ役の一色ヒカルさんの演技です。
とてもベテランの方らしく、素人の私が聞いただけでも演技力が高いことがわかりました。(プレイ前にサンプルを聞いたときは少々男らしさが残りすぎてないかと思いましたが、完全に見当違いでした)
心身の変化の過程に合わせた巧みな演じ分けによって細かなニュアンスがよく落とし込まれていると思いました。
夢の世界と現実の世界、女体化前期後期完了後、口調の変化や感情の乗せ方など、心身の変化の過程に合わせて巧みに演じ分けており細かなニュアンスがよく落とし込まれています。
心身の変化を丁寧に描く作品だからこそ、段階や状況に応じた演じ分けの重要度は高く本作の肝ともいえます。
・BGMとSEとBGV
BGMとSEは本作オリジナル、BGVの種類もある方だと思います。
コンシューマーゲーム程度しか音楽の知識はないので深く言及はできませんが、落ち着いた曲が多く古城の雰囲気に合っています。
喘ぎ声、ちゅぱ音、心音(もしかしたら子宮が収縮する音かもしれない……そんなのあるのか?)などで臨場感を盛り上げてくれます。
フリー音源なども使っていないようなのでチープさや違和感はありません。
・システム
一般的なエロゲに搭載されているシステムは全部あると思います。
バックログから少し前のシーンにジャンプできるシステムは便利でした。
唯一不満に思ったことはスキップが少し遅いです。
スキップ機能が早すぎて一瞬で何十もテキスト送りされるのもどうかと思いますので、次の選択肢にジャンプする機能があれば完璧だったと思います。
・コンフィグ
一般的なエロゲに搭載されている設定調整は全部あると思います。
私はウィンドウ透過度と音量調整とフルスクリーン時に余白なしで拡大できる設定さえあれば他はあまり気にしませんので深い言及は避けます。
●気になった点・不満点
TSゲーとして非常に評価点が多い本作ですが、気になった点もあります。
前半に書くものほど気になった点が大きく、後半は「こういうのも見たかったな」程度の不満であると捉えてほしいです。
・魔女裁判を切り抜け男に戻る√がない
みあが夢の世界に呼ばれた理由は、クラーナの魔女裁判を切り抜けるための代役です。
これが終われば現実で男に戻れるという約束のもと物語は展開するのですが、どの√でも魔女裁判は行われず男に戻ることはないです。
夢の世界にいることを望むデミトフ√でも魔女裁判はデミトフがもみ消しクラーナもみあも無事です。
一つくらいは魔女裁判と元に戻ることを主軸にしたルートがあっても良かったのではないでしょうか。
一番男に戻れそうな雪√では女の身体でありながら、男性的な幸せを手に入れるという趣深い内容となっているので、男に戻る展開がないことも納得できるレベルではあります。
・TS後のトイレ描写がない
TSモノの定番はほぼ揃っていますが、なぜか夢の世界や完全なTS後のトイレ描写がないです。
そもそも夢の世界では作られた存在のため、食事や排泄は必要ないという設定付きであり描写が省かれているというより描写しないようにしているようにも感じました。
みあが現実にいる間、夢の世界のみあは眠っているという設定なのでその辻褄合わせなのかもしれませんが、お茶を飲み食事を楽しむシーンはあるので描写できないということはないはずです。
生理と同じく汚いからいらないという人もいるかもしれませんが、自然現象によって男女の身体の違いを大きく感じることになるTS後の最初の重要イベントです。
おしっこが前じゃなく下に落ちる感覚に戸惑ったり、どう拭けばいいのかわからなくて悩んだり、トイレは我慢するわけにもいかないから嫌でも女性の身体構造を理解する、というTSモノのマストだと私は考えます。
現実世界での完全なTS後の尺は短く、夢の世界で1か月以上女性として過ごしているので終盤にトイレで困惑する描写を入れるのもどうかと思いますが、なぜこの定番を外したのか謎です。
(当然ですがLOVE COREでは存在します)
・オナニー描写の少なさ
以下の2回のみです。
女体化前期に小さくなった男の性器で1回
女体化完了後にバイブオナニーで1回
女性になった自分の身体をまじまじと観察してゆっくりと手さぐりに大きくなった胸を触るような定番の描写も見たかったです。
夢の世界でハードプレイを経験しているため、終盤の完全なTS後に初々しく身体を確認するのは不自然かもしれませんが、夢の世界で一人のときに興味本位で自分の身体を触るようなシーンがあればより良かったです。
・夢の世界では処女喪失の痛みを感じたりしない
夢の世界の処女喪失Hはみあが相当に乱れ心の底から犯されることを望んでいたとはいえ、痛みや苦痛を感じるような描写はほぼなし、血も出ないです。
処女の時のHは痛くて訳もわからず苦しいだけ、心が男ならなおさら恐怖感や抵抗感も強い、でも挿入されて慣れていく内に徐々に……というのがTSの定番だと思っていたので。
しかし、夢の世界ではクラーナをベースに作られた身体のため処女ではないのかもしれませんし、何度も指の挿入による快楽調教は行われているので違和感はなかったです。
・現実世界での処女喪失(?)はオナニー限定
完全なTS後、バイブオナニーで処女喪失します。(おもちゃで処女膜を破ることを処女喪失と呼ぶかは人によるとは思いますが)
夢の世界でハードプレイを経験しているとはいえ、処女喪失イベントはもっと大事にしても良かったのではと思いました。
・雪とのHが少ない
TS前と後に1つずつ。
TS後のシーンも雪が双子の悪魔の言葉に唆されて従うかのようにHをする内容で、Hもあっさり気味。
雪にはバイという設定があるため、これを活かしてみあとのHシーンも複数見たかったです。
二人で貝合わせなどしてTS後にも愛し合う描写がないのはエロゲとしてはやや薄味に感じました。
その代わり、みあが雪に膝枕するCG・二人が見つめ合うCG・子供が生まれて二人が幸せそうにしているCGは存在しているので、雪の印象が薄いということはありません。
見つめ合うCGでは雪の指に婚約指輪がはめられていたり、子供が生まれて二人が幸せそうにしているCGではみあが雪の肩を抱き寄せ男性的なポーズをしているなどきめ細かく丁寧な幸せが描かれており、雪√そのものの演出やCGには大変満足しています。
・みあという名前に深い意味はない
本作のみプレイしていれば特に気になることはないため、言いがかりであることは承知の上で書きます。
LOVE COREの主人公もTS後に男の時とは別の名前を魔女から与えられます。
その名前には意味があり、ストーリー的にも別の名前を与えられる重要性は本作より大きいです。
LIBERTYWORKSの離脱があったことを考えるとみあの名前に本来はもう一捻りあったのではないかと考えてしまいました。
※LIBERTYWORKSのブログであくまで企画時の裏設定としてですが、キャラ名の由来が判明したので、個人的には不満点ではなくなりました。
公式な設定ではないため、名前の意味が気になる方は当該記事を自分の目でご確認ください。
しかし、本編内では一切説明がないため一応気になった点として残します。(推測に過ぎないシナリオ不完全燃焼説を補強しているようで少し気が引けますが……)
・ボリュームが不足している?
本作の感想でボリューム不足を指摘する声を何回か見たので一応意見を。
私自身あまりエロゲをプレイしないので価格帯によるプレイ時間やCGの枚数の平均などはよくわからないです。
TSエロゲは何本かプレイしていますが、いかんせん供給が少なくて……。
私はボリュームにも満足していますが、雪√が好きなので雪とのHシーンやその後などはもう少し見たいですね。
スピンオフやファンディスクに期待します。
●各√の感想
本作のテーマは「幸せ」になることであり、EDでは様々な幸せを見ることができます。
・バッド√
どっち付かずの選択を取った場合に迎えるであろう√。
愛する雪を裏切って、みあとしてデミトフを受け入れてしまう自分に耐えられず、おそらく身投げするという内容。
最後に双子の悪魔が手に持っている赤と白の宝石(?)のような物体は夢と現実・男性と女性のどちらにも振り切れなかった、みあの心情を表しているのでしょうか。
後味も悪く一般的な「幸せ」とは程遠い内容です。
死は救済でありもう苦しまなくていいという「幸せ」であることを表しているならば、なかなか皮肉です。
余談ですが、バッド√と雪√分岐の直前に現実世界でホテルのマネージャーにレイプされそうになるという展開があります。
ここで雪と幸せになることを選ぶと、現実の世界に戻されレイプされると思い、初回はデミトフを選びバッド√になったので非常に罪悪感がありました。
(どちらの選択肢をとっても雪が部屋に入ってきて助けてくれます)
・デミトフ√
女の快楽を受け入れ女性であることを望みデミトフに抱かれ続けることを選ぶと迎える√。
デミトフはみあが男口調やため口で話しかけたりしても気にせず、むしろ魔女裁判の代役であるみあを常に気にかけてくれる紳士的な人物かと思いきや……。
みあに生理が来たら、みあが男であることを知った上で自分の子を孕ませようと迫ってくる強引な男であることが判明します。
雪√を見るとクラーナに対して非道な行いをしたことが判明し、こんなDV男みたいなやつに抱かれるのは正直不快な気持ちもあります。
しかし、現実でもDV男がモテたりすることを考えると、そんな強引で屈強な強い男に惹かれてしまうみあの気持ちも共感できます。
みあの考え方やモノの捉え方が女性的になったという証左とも言えるかもしれません。
人格的には難がありますが、Hシーンの充実度は一番高いです。
デミトフはみあが心から愛する男性として描かれておりHの内容も豊富で心情描写も丁寧で女の快楽に溺れる様子を楽しむことができます。
自分は男だから男の悦ぶHをして逆にこっちが手玉にとれるだろうと考えるも、お約束通りメス堕ちの限りを尽くすのも良いです。
以下に挙げたようにTSエロゲのHシーンとしては非常に充実した内容になっており、TS好きな人には堪らない内容となっています。
○自分が今までで一番の女だと言われて喜んでしまう
○男性の気持ちや性器を熟知しているからこそできる、フェラやパイズリ
○相手を気持ちよくできずに自分だけ感じてしまうことに罪悪感を持つ
○相手に気持ち良くなってほしいと卑猥で恥ずかしいセリフを自ら言う
○デミトフがほかの女とHをしていることに嫉妬してしまう
○身体ではなく自分の意志でデミトフを欲してHをしてしまう
○普段は男口調で憎まれ口を叩くのにHの最中は女の子らしく可愛い反応をする
○最後の最後に妊娠中のHでみあの一人称が俺から私になり完全なメス堕ちが完了する
その他にも見どころは大量にあり、心身ともに雌になったみあを楽しめるTSエロゲ好き必見の√です。
逞しい男性に愛してもらい孕ませてもらうという「幸せ」を選んだルートでありメリバ気味ではあるが本作のストーリーを考えればあって然るべき内容です。
Hシーンは充実していますが、一方シナリオ面ではデミトフ√から判明することは少ないです。
気になった点でも書きましたが、魔女裁判は口実でデミトフの目的は初めからみあを娶ることだったのでしょうか?
なぜクラーナの出産機能を奪ってまで悪魔の双子と契約したのかも推測の域を出ません。
彼の行動原理に関する事項であるもののイマイチ読み取ることができませんでした。
しかし、きっと彼は元男の女性をメス堕ちさせて孕ませるのが大好きなタイプのTS好きなのでしょう(笑)
妻と瓜二つの元男とHをしてみたいという特殊性癖の人間ということであれば、彼の行動すべてに説明が付きます(笑)
どちらにせよクラーナを犠牲にするDV男であることには変わりないですが(笑)
・TSビッチ√
女の快楽を受け入れ女性であることを望みデミトフ以外の男性とも関係を持ちたいと思い現実に戻ることを選ぶと迎える√。
シナリオとしてみると、正直突拍子がなく今一つ説得力がないです。
いろいろあって吹っ切れるにしても雪と幸せになることを心の底から望んでいるはずなのに、心変わりの理由になるには弱い気がします。(こう見えてしまうのは私が雪√が好きなだけかもしれません)
バッド√でレイプ未遂をしたホテルのマネージャーに挑発的な言葉をかけて自らレイプ(?)されたり、ストリップショーに出たり、とにかく女性であることを活かして性に奔放に人生を謳歌します。
元男がそれを知らない男性を手玉に取って快楽を享受する展開はTSエロゲとして需要のある√でしょうし、人によってはデミトフ√よりこちらのほうが良いと言う人もいるかもしれません。
一人称も私になり口調や声色も完全に女性的で尻軽な小悪魔になったみあのHは、精神は男のまま女性の快楽を楽しむTSビッチ好きのツボをついており商業エロゲならではの幅広いシチュエーションが楽しめます。
女にして貰えたことを双子の悪魔に自ら感謝している点や、Hの最中も雪のことを忘れていない点は中々にインモラルです。
Hによって自分も他者を「幸せ」にするという選択をしたルートでありこちらもメリバ気味ではあるが刺さる人には大いに刺さるでしょう。
・雪√
先に書きますがこの√の感想はとても長くなります。それほど良かったです。
雪に誠実な態度をとり、雪と幸せになることを選ぶと迎える√。
雪√とバッド√では雪が自身の性的指向はバイセクシャルかもしれないことが雪の口から告白されます。(正確な診断はなく自己判断、あくまでも性自認は女性)
個人的にはこの告白から雪√EDまでが本作のストーリーの最大の見所です。
雪√はHシーンこそ少ないのですがシナリオやCGがとても良いので、本作をTS快楽堕ちゲーという側面だけではなく、TSというトラブルを通じてより婚約者との愛が深まる純愛ゲーとしての側面を与えてくれています。(これだけ夢の世界でハードプレイされて純愛は無理があるかも知れませんが……)
告白の直前、雪は悪魔の言葉に唆されて従うかのようにみあにHをしてしまうのですが、この告白ではその際に悪魔から「女の雪ではもうみあを満足させられない」、「女の幸せを知ったあなたももうみあじゃ満足できない」と囁かれそれを否定するためにも主人公にHなことをしてしまったことを告げます。
続けて、親や社会が求める理想像に自分を合わせ続けていたことが告白されます。
生まれつき女性にしては凛々しく背も高いから、男女と呼ばれたり王子様扱いされていたこと。
仕事ができる女というイメージを崩したくなくて、みあより仕事を優先してしまったこと。
今まで、本当の自分の気持ちは二の次の羨望や嫉妬を受けていたこと。
そんな自分をほかの女性と変わらず接し、自身が自然体でいられるみあと出会えて嬉しかったこと。
みあが他者に与えられた、娘や男女や王子様という認識を変えてくれたこと。
雪が昨今のジェンダー論にも通じる、見た目や性別からくる無責任なレッテル張りに悩んでいたことを涙ながらに告白する姿は、物語に大きな深みを与えてくれています。
二人の馴れ初めもわかり本当に愛し合うカップルであることが描くことで、二人の関係性を補強しストーリー性の上昇に大きく寄与しています。
主人公は自身の肉欲のせいで、雪を傷つけてしまったことを激しく後悔し、誰のためでもなく雪との幸せのために夢の世界との決別を決意する名シーンです。
基本的にエロ重視作品なのですが、このやり取りには不覚にも涙してしまいました。
ここまで書いて、TS好きの方ならお判りでしょう。
雪は周りの価値観に合わせるように人格が形成されたことが読み取れます。
そして、みあの男性の精神も女性の身体に引っ張られ、様々な経験をして徐々に心まで女性になってしまいます。
これは状況の違いこそありますが、肉体や周りの価値観によって人格が形成されていることをとても上手く表現できています。
TS作品全般に対して「TSしたら心まで女になるのはおかしい!」「TSしたから男を好きになるなんておかしい!」という意見を度々見かけますが、雪のようなことは人間なら大小経験があるのではないでしょうか。
肉体や周りの価値観に引っ張られて、精神や性的指向が変容するという本作のストーリーに一貫性を持たせ、身近な題材からTSにアプローチをかけた点は非常に評価できます。
そして、雪とのEDではTS前にしていた中出しHによって雪の妊娠が示唆され実際に二人の間に赤ちゃんが生まれたところまで描写しています。(CGの見所は気になった点で記載した通りです)
雪が言うにはもう二度と婚約者が男に戻らないことから本能的妊娠しやすくなっていた、女の底力だと説明されます。
悪魔もみあが幸せになることを望んでおり、夢の世界と決別した際にも主人公の幸せを願ってくれます。(今まで雪のことを散々邪魔者扱いしてきますが、もしかしたら、悪魔もみあの幸せを願っていたため、雪が妊娠するように最後に手を貸してくれたのかもしれません)
みあは男には戻れないのですが、愛する雪との間に子供が生まれて本当の幸せを手に入れ、心の底から嬉しそうにするという結末でダークさを一切感じない内容となっています。
また、雪√ではレイプ未遂こそあるものの、現実世界で雪以外と性行為をすることはありません。
その点でも、みあの身体を必要以上に傷つけず、二人の純愛関係に水を差すことなく読後感は最も良いです。
みあの一人称も最後まで俺のままであり、男として親としての「幸せ」を得ることができた姿を見ることができます。
幸せを思う存分に味わいくすぐったくなるような二人のやり取りにここでも涙してしまいました。
ED到達条件がやや複雑なことも考えるとこれが真EDでしょう。
余談かつ主観ですが、TS百合は恋人が女になったことを受け入れられず彼女が心変わりしてしまう。
問題なく付き合い続けたとしても主人公が恋人を満たせてあげられず、子供が欲しくても望めない。
そんな不安や焦りを感じさせるビターな展開を予測してしまうため、どこか心の底から祝福できない自分がいました。
しかし、本作の結末はそんなビターエンドを予測させるTS百合における一つの答えとも言えるのではないでしょうか。
この√のTSはあくまでエッセンス、二人の仲がより深まるためのトラブルに過ぎないという見方もできます。
エロ重視ダーク凌辱系の本作のコンセプトとは対極に位置するテーマですが、「幸せの種類」が本作のポイントであることを考えるとこのEDは絶対に絶対に絶対に外せません。
ミドル~フルプライス帯の商業エロゲだからこそ豊富な√を作れるというメリットが最も発揮された√と言えるでしょう。
(エロ重視ダーク凌辱系のTSをロープラや同人で出すとどうしてもこういう純愛√はコストや需要の関係で後回しにされがちだと思いますので)
もし、本作の雪√が実装されていなかった場合、私の評価はここまで高くなかったと思います。
点数ベースで言えば、95点を付けましたが85点くらいの評価にしました。
ED毎の感想を書いて、改めて自分の雪√への思い入れの強さに驚きました。
どの√であっても雪は妊娠する可能性があるストーリーなのですが、二度と会えない婚約者の子供を身籠るというのは相当不幸な気もします。(忘れ形見が産めるのだからむしろ「幸せ」だと囁く悪魔の声が聞こえるのは気のせいでしょうか……)
本当に雪√以外の雪が不憫に思えてきました。
ああ、ますます二人の幸せなTS百合や純愛Hが見たくなってしまう。
●その他
冒頭でも書いたようにTSエロゲを作る上では課題が多く特に作画コスト面での問題が大きいとLIBERTYWORKSのブログでも触れられています。
そのため、本作はTSエロゲの課題を多方面から克服して、商業作品としての成功を目指すために本気で研究されたことが随所に伺えます。
本作のストーリーラインやシナリオの根底もこの課題を克服するための工夫であり、逆算して作られたのではないかと考察しています。
個人の推測の域は出ませんが、TSエロゲの課題とそれに対する本作の工夫されたであろう点を以下に挙げます。
○TSする主人公の変化を描くと作画コストが多量に掛かってしまう→主人公のベースとなった元の女性を描くことでアセットを流用してキャラを増やす
○変化を丁寧に描くと全体のキャラ数やボリュームが減ってしまう→キャラクターを減らしてでも変化の過程を重視し、現実と夢の世界を描くことで世界観を広げる
○変化の描写に多大なコストがかかるのにフェミニンな服装の変化も作画し出したらキリがなくなる→舞台を海外旅行中の古城に限定して服装のレパートリーを抑える
○変化に描写を割かないと精神的に男性のまま男性を受け入れるBLのようになってしまう→心身の変化を最重要視したシナリオにしてBL感を無くす
○商業作品だからこそ幅広く訴求する必要がある→夢と現実の世界を用いて2パターンのTSを表現し間口を広げる
まるでファミコン時代のゲームのように、限られた予算と時間で最大限の多彩さとボリュームを出す創意工夫が見て取れます。
(的外れで意味不明な意見もあると思いますが、あくまで個人の感想としてお読みください)
本作はTS好きの需要に可能な限り応えるために、並々ならぬ研究の末に発売されたものだとするとこの質の高さも納得です。
本作ほどの出来でも売り上げが上がらなかった場合、大変残念ですがTSエロゲの未来はかなり暗いと思います。
もう二度とまともな価格帯の商業TSエロゲが発売されることはないかもしれません。
それほどまでに本作の出来は良く、既存のTSエロゲの問題点を克服しクオリティの追及による売上アップを目指した作りになっています。
●総評
間違いなくTSエロゲ史に名を残すであろう名作です。
シナリオ・グラフィック・キャラクター・テキスト・声優の演技、その全てがTS作品として非常に高いレベルでまとまっています。
TSを前面に押し出しつつも先の気になるシナリオ、ハイクオリティで可愛らしくHなグラフィック、魅力的なキャラクター、日常からHシーンまでTS好きのツボを押さえたテキスト、現実と夢の心身のTSの進行度に合わせて的確に演じ分けた声優。
評価点を挙げれば枚挙に暇がありません。
気になった点も、TSを拗らせたが故の粗探しが主で、本作の開発の背景を勘繰り、LOVE COREからオミットされた要素に目が行ってしまっただけであり、本編のクオリティに問題があるわけではありません。
ここまでTSに対する深い造詣とこだわりを持った作品だからこそ、テキスト一字一句に至るまで100点を出せたんじゃないかと思ってしまっただけです。
ミドル~フルプライス帯の商業エロゲという強みを活かし、全体の要素を高水準に作成された本作は、TS好きにもTSに興味がない人にもどちらにもお勧めできる傑作であることに評価は変わりありません。
●あとがき
TSを拗らせたファンが喜びと勢いで書いた文章ですのでLIBERTYWORKS様の近況を嗅ぎまわり、ブログの内容を引用して勝手な意見をつけ、LOVE COREと比較するような内容が含まれてしまいました。
もしご本人やご関係者様が見て不快に思われる内容が含まれていましたら大変申し訳ございません。
そして、LIBERTYWORKS様、ネクストン様、プロデューサー様、ディレクター様、シナリオライターの武藤真晴様と朝凪軽様、原画家のベコ太郎様、その他多くの関係者の皆様。
本作の開発を諦めずに発売していただけたことにTSファンの1人として心から感謝申し上げます。
TSエロゲ制作の道のりは厳しく、本作の発売にはいくつもの幸運やめぐり逢いや奇跡が重なったことと存じます。
昨今の社会情勢の中でも歩みを止めずTSファンの需要を信じていただいた開発スタッフには感謝の気持ちで胸がいっぱいです。
最後に一言。
この文章がTS好き、エロゲ好き、エロゲ業界の人の目に留まり、気づきや発見を得ていただくことで、TSエロゲの未来に1ミリでも繋がれば幸甚です。