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dmshさんのいろとりどりのセカイ HD Re:GENERATIONの長文感想

ユーザー
dmsh
ゲーム
いろとりどりのセカイ HD Re:GENERATION
ブランド
FAVORITE
得点
94
参照数
93

一言コメント

不思議ないろとりどりのセカイで展開されるシナリオが非常に魅力的。真紅√以外はおまけ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

⚫︎評価点
・ストーリー
前世や来世、異世界や輪廻転生など、非常に多くの要素が絡み合ったストーリーは面白かったです。
主人公が治癒の魔法を使うと記憶を失う理由や真紅が半透明の理由が判明する怒涛の終盤は特に。
前世の縁や繋がりが今どんな形になって現れたのか、いろとりどりのセカイは真紅たちが最初に住んでいたセカイと何が違うのか、そういう設定は練りに練られていたと思います。
個別のエピソードもセカイの加奈の話は特に良かったです。

・音楽
主題歌からBGMまで捨てる曲がないくらい良曲が揃っており、本作の幻想的なセカイを彩っています。
特にお気に入りの曲は、君に逢えたからとそのアレンジBGM。

・真紅
真紅が幸せそうな姿を見せてくれるだけで癒されます。
主人公との日々や幸せを噛み締めてるだけで心に温かな気持ちが広がります。
赤い瞳では家族3人で幸せいっぱいな毎日を少しは見せてくれたので、セカイとヒカリの積み重ねを見た後だと感動もひとしおです。

ただ、セカイとヒカリでは泣いてるシーンや曇ってるシーンの方が圧倒的に多かったです。
赤い瞳でも半々くらいですかね。
青空も泣き虫なので親子揃って泣き顔が楽しめます(?)。
こんなに真紅が曇り続けるようなゲームだと思わなかったので、少し驚きました。
真紅は自分のことを可愛くないとか女の子らしくないとか自己肯定感の低そうな発言を頻繁にしますけど、十分可愛いかったです。
むしろ、イケメン扱いされたり、優しい人扱いされてる主人公の方こそ大いに難があります。

⚫︎気になった点
・主人公の性格や行動
赤い瞳に映るセカイまでプレイしても、本当に成長したのか怪しいです。
ウジウジと悩んだり、いつまでも同じことを悔やんだり。
相応の事情があるので、セカイやヒカリでの心理は理解できなくはないですけど、行動や言動が受け入れ難いです。
セカイではまだマシだったと思いますが。
ヒカリでは本物の悠馬から説教臭いくらい主人公の過去が責められ、正直見ていてあまり楽しいものではなかったです。
指摘内容が図星過ぎるのか、本物の悠馬も割とネチネチするタイプなのか気が重くなるような話が何時間も続きます。

・冗長なシナリオ
テンポが悪く共通の盛り上がりには欠け、似たようなことを繰り返したりと、あまり意味もなくシナリオが長いです。
テキストも無駄に読みにくく、主人公の性格も相まって大筋のシナリオや舞台設定以外の部分は微妙かもしれません。
実質3作セットの本作は、プレイ時間は並のエロゲの2倍以上は確実に掛かるので気が遠くなりました。
(赤い瞳は10時間くらいで終わりますけど、シナリオやキャラクターの扱いが改善した作品とかではなくヒカリからの延長線上の話なので気分転換にプレイできるかというと別にそうではないです)

⚫︎その他
・落下者が頻繁に発生する灯台
加奈、悠馬、真紅をはじめとして、意図してか事故か落下が多発します。
ヒカリで真紅が落ちた時は悲しいシーンのはずなのにワンパターン過ぎて何故か笑えました。

・Hシーン
真紅がメインヒロインのはずなのにセカイではHシーンが1個しかないです。
ヒカリと赤い瞳でもそれぞれ2個。
Hシーンに期待するようなゲームではないので気にしませんけど、流石に少なすぎませんかね。
ゲーム内で真紅の蕩けた甘い表情を見る機会より、曇ってるシーンの方が印象深いのはこのシーン数の少なさも影響してると思います。
ここまで言っておいてなんですが、淡くて幻想的なグラフィックはゲームの内容には合っているものの、エロいかと言われるとあんまり……。

⚫︎総評
主人公の存在以外はとても良かったです。
シナリオや設定も練られており、感動的でした。
キャラクター面も真紅が好みの人なら楽しめると思いますが、笑顔やイチャイチャを馬鹿正直に楽しめるゲームではないです。
むしろ、泣き顔や曇ってるシーンを見て楽しむゲームなのかもしれません。

ちなみに、リメイク前は一切プレイしていないのでグラフィックやBGMの比較とかはしてないです。