なんか憎めない作品。身の丈をわきまえたような、手堅くお手軽な萌えゲー。
シナリオ6点(×2):シリアスとコメディの溶け合いが少々ぎこちないですが、王道的で無難。テキストはやや平易すぎ。
音楽7点(×2):非常に綺麗なメロディラインが書ける方なんですが、全体的にムラがあり決め手不足なのが残念。
画力7点:原画は柔らかく人懐っこいい表情が好感度抜群。ただ塗りを含め仕上がりは多少粗があり残念。
キャラ8点:流行の萌えのツボが的確に押えられており、瞬発力も中々。コミカルな絵も楽しく、キャラゲーとして充分。
エロ6点:回数こそ多く用意されてますが、CG使い回しで安上がり。テキストに癖があり、コメディ調傾向なのが難。
操作性7点:SLGは簡素でサクサク進められますが、セーブデータの表示が不親切だったり、微妙に使いにくい。
量感6点:選択肢は一切なく、SLGのスケジュール次第で分岐するため中弛みが著しい。個別ルートの短さも不満。
世界観7点:毒にも薬にもならず。こういう、だらだらした骨の抜けたような雰囲気は結構好きです。
(雑感):プレイしていてリラックスできるというより、骨抜きにされてしまうような変な和み方をしてしまう作品。ここまで中途半端でお手軽でまったりしつつも一応形は整っているような作品は、探すのが難しいので貴重といえば貴重。この半端にコミカルな微妙な雰囲気を生み出しているのはライターの米村氏に拠るところが大きく、代表作『みずいろ』のおまけシナリオの延長のようなノリが延々と続くさまは、呆れつつもどこか憎めません。加えてたまひよ氏の独特の人懐っこい画風がよく合致しており、ゲームデザインという点では意外とカッチリ固まっていたりします。
シナリオはモチーフが脆弱な上に半端に感動を求めてしまっているために全て瓦解気味ですが、意外性という点では春奈エンドの締め括りは結構好きな方。キャラクターについては出来にかなりバラツキが出たのが残念ですが、巫女さんや幼馴染の瞬発力はかなりなもので侮り難いものがあります。特に北都南さんのエセ関西弁は必聴。なんによよ、キャラゲーとしては意外と堅実な出来ですし、なかなかの拾い物だといえます。
[2004年6月 加筆修正]