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denkiさんのCAFE LA SUNSETの長文感想

ユーザー
denki
ゲーム
CAFE LA SUNSET
ブランド
BeF
得点
59
参照数
729

一言コメント

BeF流まったり経営SLG。何も考えずゆったりプレイできるお手軽さ・安心感が、今となっては貴重。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

シナリオ3点(×2):雰囲気を崩さないよう、適当に付けただけのような薄っぺらいシナリオ。害のなさが救い。
音楽7点(×2):後方支援に徹した穏やかで心地よいサウンド。強く惹きつけるものはないが、イメージの完成度は手堅い。
画力8点:端正な画風に磨きがかかり、細やかな表情の機微が素晴らしい。ファッションセンスも光る。
キャラ6点:薄味すぎる感もあるが、この色のついていないアッサリした感触には、どこか安らぎを覚える。
エロ6点:各キャラ複数回。シチュ等に意外性はないが、絵がエロい。恥じらいの表情、四肢の乱れ、そして半脱ぎが強力。
操作性8点:経営モードは割りとコンパクトによく纏まっており、意外とストレスなくプレイ出来る。基本機能も充分。
量感4点:経営シミュレーションの導入により、総プレイ時間は恐らくブランド最長。しかしテキスト量の少なさは変らず。
世界観7点:内容がスカスカな分、余計なものが削ぎ落とされ、カジュアルで洒落た雰囲気がよく出ている。

総計59点


(雑感):BeFが何を思ったかSLGに手を出した異色作。とはいえ新たな方針を謳ったものでもなく、内容はいつものBeF。要するに、いつもの超短尺のスカスカなシナリオに、着脱可能なシミュレーションパートがくっついているだけというシンプルな構成。ただし喫茶店を舞台とした題材はBeF持前のセンスのよさを発揮しやすいものになっており、全編を支配する「カジュアルな」雰囲気の完成度は中々のもの。より洗練された厘京太朗氏の絵も申し分なく、最も「BeFらしさ」が出ている作品と言ってもよいかも知れません。

肝の経営パートですが、これが案外侮れない出来。ヴィジュアル、操作性ともに欲張らずコンパクトに整っており、初挑戦とは思えないくらい板についている印象。しかし結果はフラグ構成にまったく反映されず、ゲームとしての目的性は脆弱。何といっても「廃業が決まっている喫茶店の最後の1カ月の店長」という、あまりにも意味のない絶望的な設定が全てを物語っています。結局作品内における位置付けは、ただの暇つぶし以外の何ものでもないのですが、こうしたシミュレーションパートでもBeF特有の洗練されたセンスが浸透しており、全く違和感がないのは驚きです。

詰まるところ本作の特長は、BeFのセンスの良さが最もよく発揮されていると思われる「カジュアルな」雰囲気。そしてなんの緊張感もなくダラダラと、しかも短時間でプレイできるお手軽さ。確かに内容は乏しいですが、その内容のなさが不快感に直結していないところが要点。ただ、ぼ~っと何も考えずプレイできる、一種の安心感。刺激も驚きもないけれど、一切のストレスのない、ゆったりとした時間。そんな或る意味贅沢な「お手軽さ」を備えた作品は割と少ない気がします。転じてBeFというブランドの最大の魅力と存在意義は、そんな「お手軽さ」にこそ、あったのだと思えるのです。