最後の無理矢理な展開がすべてをぶち壊しにしている。伏線を張るなり、中盤からシナリオを進めるなりできなかったのだろうか。
ストーリーはほぼ一本道で、各ヒロインのエンディングらしきものは一応あるが、
攻略順は決まっている。日常パートのショートシナリオの合間に、
訓練と好感度によるフラグが立ち、核となるシナリオが入ってくるが、
シナリオを追おうとすると日常パートが邪魔になり、
日常パートを楽しもうとするとシナリオが邪魔をする。
一言にもあるとおり、シナリオはラスト付近で大きく展開するが、説明不十分のうえ、
いきなり感が強く、ユーザーは置いてきぼりにされる。
序盤から中盤にかけては敵方が影でにやにやしているだけで、
主人公側が個別の事件を追うことはあっても、全体像を少しも把握できていない。
そこで終盤になっていきなり新事実の開陳が続くわけだが、説得力に欠く。
物語の締めかたにも疑問が残る。
確かにこういう締めかたをしている作品はあるのだが、
それらと比べても前述の展開のまずさのせいで、カタルシスを与えるはずの部分で失敗している。
魔法学園ものという舞台設定は悪くないが、終盤がそれを台無しにしている。
日常パート部分を楽しむという風に割り切ってしまえばそう悪くはないかもしれないが。
訓練システムはまずまずだが、シナリオとの関連性が好感度と魔法の習熟による
フラグ立てにしか生かされていないのが残念だ。
せっかく覚えた魔法も使いどころはかなり限定されてしまう。
なお、アニメーションを前面に打ち出してはいるが、くだんのラストを除いては
オープニング、エンディングとその他少しにしか使用されていない。