孕ませゲーとしても、エロゲーとしてもトップクラスの出来
はっきり言って、ここ最近の同人ではトップクラスの出来だと思う。
何と言っても、シナリオが抜群に良い。ここまで「エロゲー」の名にふさわしいシナリオを書くことができる作者はまれだろう。読者を上手い具合に現実から飛躍させてくれる。
このシナリオに関して、「主人公の人格が最悪」だとか、「ご都合主義に過ぎる」だとか宣う輩がうじゃうじゃ湧いているが、正直そういう連中は何もわかっていないのだと思う。エロゲーのシナリオというのは、元来これくらいブッ飛んでいるべきものなのである。それを昨今の萌え業界の連中は、やれ感動だとか、やれシリアスだとか、そもそもエロゲ的な文脈のもとでは到底描き切れもしないようなものを、必死こいて追い求めているが、あえて言い切ろう。そんな努力は100%無駄だ。
というよりも、そういう風にエロゲー=ポルノに感動だのなんだのという「不純物」を求めるのは、ひとえに読者側が自分の性的欲求を「きれいな」要素で覆いたい、ごまかしたいという思わくの表れなのではないかとさえ思う。それは自己欺瞞というものだ。そんなひねくれたことをするくらいなら、むしろこのシナリオの主人公みたいに、性欲剥き出しで行動した方がはるかにマシであろう。
最後に、もう一度繰り返させていただこう。エロゲーのシナリオというのは、元来このゲームのシナリオのようにあるべきなのである。
本文の文体も、至って簡潔でよろしい。昨今流行りのやたら冗長なだけのエセ美文より、よほど好印象を受けた。しかし簡潔なだけに、確かにやや分量不足という気もしないでもないが、それでもコストパフォーマンスを考えれば十分すぎるほどであろう。個人的には大満足である。この調子で、今後ともどんどん良いものを作っていって欲しいものだ。